604 / 718
544. 姫は『目標』らしいです
しおりを挟む
544. 姫は『目標』らしいです
そして配信が終わり、オレはそのまま旅館の外に酔い醒ましの為に散歩に出ることにした。
外は少し肌寒い。昼間は紅葉を楽しめたけど……夜は冷えるなぁ……オレは旅館の外のベンチに座って夜空を見上げながらボーッとしながら酔いを醒ましていた。
「もう10月か……今年もあと2ヶ月で終わりか……早いな」
そんなことを考えていると、視界の先に1人浴衣姿の女性が見える。
「あ。いた。マネージャーさん、ここにいたんですね」
「一ノ瀬さん」
「良がったら少しお話しませんか?あ。これ酔い醒ましのコーヒーです」
「ありがとうございます」
そう言って、一ノ瀬さんは缶コーヒーを手渡しオレの隣に座る。少し冷たい風に吹かれて、少し肌寒いけど……これはこれで悪くない。
オレはその缶コーヒーを一口飲む。コーヒーの温かさが身体に染み渡る。静かだ……たまに吹く風が夜の音を鳴らしている。
少しの沈黙が続き、風で揺れる髪を押さえながら、一ノ瀬さんは小さく微笑みながら言う。
「もう1年になるんですね。私がデビューして、マネージャーさんと出会って」
「そう言えば4期生はもう1周年ですか……本当に時間が経つのが早いです」
「そうですね……私がここにいられるのもマネージャーさんのおかげですし、感謝しかないです」
「そんなことないですよ。一ノ瀬さんは頑張ってます。これからも仲間として応援してます」
オレがそう伝えると、一ノ瀬さんは少し顔を赤らめて照れているように見える。
……浴衣の隙間から綺麗な鎖骨が見えている……ちょっと目のやり場に困るな。そんなオレの視線に気づいたのか、一ノ瀬さんは少し照れた様子でまた微笑む。その笑顔にドキッとしたオレは慌てて視線を外し夜空を見上げる。
「マネージャーさん。実は私、ずっと色々我慢して生きできたんです」
「え?」
「本当は好きな漫画やゲーム、アニメ……でも周りにはそういうのに興味ない子が多ぐて……頑張って隠してました。だから……今は自分の好きなことを話せるのは……とても楽しいんです」
「それがVtuberの良いところでもありますからね」
「正直今でも驚いてます。夢だったVtuberになって、大好きなものを自由に話すことができる。さらには可愛い女の子になれるなんて……」
一ノ瀬さんは28歳だもんな、夢を追いかけるのは楽じゃなかっただろう。でも……諦めなかったから今の『園崎ラビ』としての活動があるんだ。一ノ瀬さんはきちんと夢を叶えたんだ。すごいと思うし、本当に尊敬できる人だと思う。
「そう言えば知ってました?来年から土日の20時から公式チャンネルに『バラエティー枠』というのが出来るらしいですよ?」
「そうなの?初耳ですけど……」
「マネージャーさんは『ましのん』がありますがら、きっと『ましのん』もその枠になるんじゃないですか?」
まぁ確かに忙しくなってきたからな、正直『ましのん』の配信も最近は隔週とかになってるしな……
「とりあえず土曜日を4期生、日曜日を5期生が担当するらしぐて、企画内容とコンセプトを考えて、隔週で配信するんです……」
「そうなんだ。おめでとうございます」
「それで……どんな企画がいいと思いますかね?良かったらアドバイスとか貰いたくで」
「それは1人でやるんですか?コラボ?複数人?」
「何でもいいみたいです。ただ、コラボや複数人になるとそのライバーさんとしばらく絡むことになるので、そのライバーさんのスケジュールとか色々大変ですよね……?」
「でも収録なら問題ないんじゃないですか?まぁ……収録なのでオレは難しいと思いますけどw」
なるほど。若い4期生と5期生がメインとなって公式の枠だけど自分たちで考えた企画をやるのか。確かに箱としての立ち回りを考えれば露出も増えるしファンも増える。これはライバーとしての企画力や成長のチャンスでもあるよな……忙しくはなると思うけど。
「ちなみに他の4期生はどうなんですか?」
「かなえちゃんとえるるちゃんは悩んでますwジャンヌちゃんはこの前のあかくまの『華麗なる一族三姉妹』やりたいなぁって言ってましだ」
「あれは反響ありましたからね。コンセプト配信はある意味バラエティーよりなんで。まぁやっぱり園崎ラビと言えばバニーガールですから、その辺りを上手くいかせるものがいいとおもいますけどね。それこそ『アンケート$ラビラビカジノ』でも良い気はしますよ?」
「そうですね……ちょっと考えてみます!ありがとうございますマネージャーさん」
そう言って一ノ瀬さんはベンチから立ち上がり手を振りながら先に旅館のほうに戻って行った。
オレはまた1人になり、夜空を見上げながら考える。一ノ瀬さんも1年か……5期生も加入して、どんどん成長していくんだな。オレも頑張らないと……みんなの目標であり続けるために!
そのまま缶コーヒーを一気に飲み干して、酔い醒ましも終わったので部屋に戻ったのだった。
そして配信が終わり、オレはそのまま旅館の外に酔い醒ましの為に散歩に出ることにした。
外は少し肌寒い。昼間は紅葉を楽しめたけど……夜は冷えるなぁ……オレは旅館の外のベンチに座って夜空を見上げながらボーッとしながら酔いを醒ましていた。
「もう10月か……今年もあと2ヶ月で終わりか……早いな」
そんなことを考えていると、視界の先に1人浴衣姿の女性が見える。
「あ。いた。マネージャーさん、ここにいたんですね」
「一ノ瀬さん」
「良がったら少しお話しませんか?あ。これ酔い醒ましのコーヒーです」
「ありがとうございます」
そう言って、一ノ瀬さんは缶コーヒーを手渡しオレの隣に座る。少し冷たい風に吹かれて、少し肌寒いけど……これはこれで悪くない。
オレはその缶コーヒーを一口飲む。コーヒーの温かさが身体に染み渡る。静かだ……たまに吹く風が夜の音を鳴らしている。
少しの沈黙が続き、風で揺れる髪を押さえながら、一ノ瀬さんは小さく微笑みながら言う。
「もう1年になるんですね。私がデビューして、マネージャーさんと出会って」
「そう言えば4期生はもう1周年ですか……本当に時間が経つのが早いです」
「そうですね……私がここにいられるのもマネージャーさんのおかげですし、感謝しかないです」
「そんなことないですよ。一ノ瀬さんは頑張ってます。これからも仲間として応援してます」
オレがそう伝えると、一ノ瀬さんは少し顔を赤らめて照れているように見える。
……浴衣の隙間から綺麗な鎖骨が見えている……ちょっと目のやり場に困るな。そんなオレの視線に気づいたのか、一ノ瀬さんは少し照れた様子でまた微笑む。その笑顔にドキッとしたオレは慌てて視線を外し夜空を見上げる。
「マネージャーさん。実は私、ずっと色々我慢して生きできたんです」
「え?」
「本当は好きな漫画やゲーム、アニメ……でも周りにはそういうのに興味ない子が多ぐて……頑張って隠してました。だから……今は自分の好きなことを話せるのは……とても楽しいんです」
「それがVtuberの良いところでもありますからね」
「正直今でも驚いてます。夢だったVtuberになって、大好きなものを自由に話すことができる。さらには可愛い女の子になれるなんて……」
一ノ瀬さんは28歳だもんな、夢を追いかけるのは楽じゃなかっただろう。でも……諦めなかったから今の『園崎ラビ』としての活動があるんだ。一ノ瀬さんはきちんと夢を叶えたんだ。すごいと思うし、本当に尊敬できる人だと思う。
「そう言えば知ってました?来年から土日の20時から公式チャンネルに『バラエティー枠』というのが出来るらしいですよ?」
「そうなの?初耳ですけど……」
「マネージャーさんは『ましのん』がありますがら、きっと『ましのん』もその枠になるんじゃないですか?」
まぁ確かに忙しくなってきたからな、正直『ましのん』の配信も最近は隔週とかになってるしな……
「とりあえず土曜日を4期生、日曜日を5期生が担当するらしぐて、企画内容とコンセプトを考えて、隔週で配信するんです……」
「そうなんだ。おめでとうございます」
「それで……どんな企画がいいと思いますかね?良かったらアドバイスとか貰いたくで」
「それは1人でやるんですか?コラボ?複数人?」
「何でもいいみたいです。ただ、コラボや複数人になるとそのライバーさんとしばらく絡むことになるので、そのライバーさんのスケジュールとか色々大変ですよね……?」
「でも収録なら問題ないんじゃないですか?まぁ……収録なのでオレは難しいと思いますけどw」
なるほど。若い4期生と5期生がメインとなって公式の枠だけど自分たちで考えた企画をやるのか。確かに箱としての立ち回りを考えれば露出も増えるしファンも増える。これはライバーとしての企画力や成長のチャンスでもあるよな……忙しくはなると思うけど。
「ちなみに他の4期生はどうなんですか?」
「かなえちゃんとえるるちゃんは悩んでますwジャンヌちゃんはこの前のあかくまの『華麗なる一族三姉妹』やりたいなぁって言ってましだ」
「あれは反響ありましたからね。コンセプト配信はある意味バラエティーよりなんで。まぁやっぱり園崎ラビと言えばバニーガールですから、その辺りを上手くいかせるものがいいとおもいますけどね。それこそ『アンケート$ラビラビカジノ』でも良い気はしますよ?」
「そうですね……ちょっと考えてみます!ありがとうございますマネージャーさん」
そう言って一ノ瀬さんはベンチから立ち上がり手を振りながら先に旅館のほうに戻って行った。
オレはまた1人になり、夜空を見上げながら考える。一ノ瀬さんも1年か……5期生も加入して、どんどん成長していくんだな。オレも頑張らないと……みんなの目標であり続けるために!
そのまま缶コーヒーを一気に飲み干して、酔い醒ましも終わったので部屋に戻ったのだった。
23
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる