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517. 姫は『誓った』そうです

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517. 姫は『誓った』そうです



 9月下旬。色々と案件やら配信やら忙しい日々を送って、気付けば夏の長時間耐久配信『あかくま50』からもう1ヶ月が経とうとしている。そして今日は配信が休みなのでオレは何をしているかと言うと……

「彩芽ちゃん!そっちいったよ!」

「はい……たぁ!」

 ブンッと心地よい風切り音が聞こえ、彩芽ちゃんの足元にシャトルが転がる。

「あはは。彩芽ちゃんウケるw」

「あまり笑わないの七海ちゃん」

「頑張ってください彩芽先輩!」

「彩芽ちゃん私と代わろうか?」

 となぜか、スポーツができるアミューズメント施設にいる。ちなみにメンバーは日咲さんと月城さん、あとは高坂さんと衣音ちゃん、オレと彩芽ちゃんの6人。今はバドミントンをやっている。

 Vtuberなのでたまには運動しようとノリと勢いで日咲さんが誘ってきた。まぁ確かに普段は配信ばかりで運動不足は否めないしな……ライブ前とかはダンスレッスンとかあるけど。そのくらいしか運動という運動はしないし。

 というわけで、バドミントンをやっているわけなのだが……意外と楽しい。本当に軽く遊ぶ程度に動くのもいいもんだ。

「全然当たらない……」

「あはは。まぁ私のプレイ見ててよ彩芽ちゃん」

「彩芽ちゃんの代わりに衣音が入るの?」

「ダメですか?」

「いや……いいの?『あるましろ』になるけど、彩芽ちゃん怒らないw」

「怒らないだろ別に。配信じゃないんだから……」

 そしてバドミントンの試合が始まる。バシン!と良い音が鳴り、シャトルが宙を舞う。上手くラリーが続いており、スパン!と気持ちのいい音を立てていたが……

「衣音受けてみろ!バドミントンの神に愛されてる美少女こと七海ちゃんのスーパーウルトラショット!」

「何ですかそれw遅すぎですよ七海さん!余裕で取れます!」

「ぐぬぬ……じゃあこれならどうだ!スーパーウルトラハイパーショット!」

「はい。私の勝ちですね」

 とまぁ、シャトルは日咲さんと衣音ちゃんのラリーが続いており、そのまま軽くスマッシュで打ち返す。というか……途中からオレと月城さんは完全に蚊帳の外だったけど。

「くそぉ!負けた!」

「弱すぎます。七海さんw」

「お前こっち先輩だぞ!煽んな!」

「知りませんねぇw」

「もう1回行くぞクソガキ!」

 と再びバシン! と良い音が鳴り、シャトルが宙を舞う。オレと月城さんは完全に蚊帳の外なので休憩することにする。

「元気だねあの2人w」

「そうですね。というか月城さんもこういうの参加するんですね?」

「え?あー颯太君、私のことオバサンだと思ってるんでしょ?」

「いやそんなこと思ってないですよ!ただ……ちょっと意外で……」

「ふふっ。確かに私もそう思うかもw普段運動なんてしないのにね?」

 そして、バシン!バシン!と激しいラリーが続いていく。……なんかさっきまで普通にやってたのに急にガチになり始めたんだが?これ遊びじゃないのか?

「あたしの奥の手だぁ!スーパーウルトラハイパーアルティメットショット!!」

「はぁ……残念ですよ」

 衣音ちゃんは日咲さんの奥の手(?)のスーパーウルトラハイパーアルティメットショットを軽くバックハンドで打ち返す。そしてそのままシャトルは日咲さんの横を通り過ぎ……バシン!とコートに転がる。

「えぇ~!?あたしの奥の手がぁ!」

「そのコース……私。1番得意なんですよねw」

「衣音。なんかバドミントン上手くない?もしかしてやってた?」

「中学生の時やってました」

「お前言えよw……性格悪いなw」

「バドミントンの神に愛されてる美少女じゃなかったんですかw」

 ……なんか、日咲さんと衣音ちゃんって本当に姉妹みたいだよな。

「冷めた。衣音お前、陽葵と代われよ」

「え?私ですか?」

「ボコボコにしてやるからな!ここは1期生の先輩として、負けられない戦いがあんだよ!」

「えぇ……困ったなぁ。あの……私も実はバドミントンやってましたw」

「なんでそんなにバドミントン人気なんだよw」

 そしてその後、1期生VS後輩でチームを組んだりして充実した休日を過ごすのだった。まぁたまにはこうやって運動するのもいいかもしれない。

 ……その2日後全身筋肉痛になったのだが。もう激しいバドミントンは2度とやらないと誓ったオレがいた。
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