491 / 718
438. 『あかくま50』~オフパート 憧れの先に~
しおりを挟む
438. 『あかくま50』~オフパート 憧れの先に~
時間は23時45分。この後彩芽ちゃんと衣音ちゃんの長時間ゲーム耐久配信が始まる。オレは明日の朝配信の準備を終えて、リビングに飲み物を取りに来ていた。するとタイミング良く、配信が終わった朝比奈さんがやってくる。
「お疲れ様。朝比奈さん」
「お疲れ様です。神崎さん。あの……飲み物を頂いてもいいですか?」
「うん。冷蔵庫は好きに使って。キッチンも好きに使ってご飯とかも作っていいから」
「はい」
なんだか……自分の家に朝比奈さんがいるのが変な感じだな。オフコラボはしたことあるけど、あの時は通話越しだったしな。
「次は2人の長時間配信ですね」
「そうだね。オレも朝比奈さんも今のうちに休んでおかないと」
「はい。正直言うと、私も長時間やってみたいですけどね……でも大体ゲームか歌枠くらいですもんね……」
「確かにジャンルは偏るな」
「私はゲームは長時間やるほど上手いわけじゃないし、歌枠も2期生なら『いのピン』がいるので需要は少なそうですしねwなかなか難しいです」
そうかもしれないな。2期生の箱としての立ち回りを考えるのなら、朝比奈さんがやれるジャンルはないのかもしれない。
「それなら雑談配信やったらいいんじゃない?」
「私は神崎さんみたいに話せないですよ。それに……『伊集院クララ』のテンションのままいるのは疲れますしw神崎さんはそういうのないんですか?」
「あー……確かに『姫宮ましろ』として長時間やるのは疲れるかもなw」
「ですよね?でもそう考えると私と神崎さんは、理由は違えど似た者同士かもしれないですね?」
そう微笑みながら話す朝比奈さん。似た者同士……なのかもな。
「そう言えば……せっかくだから神崎さんに言っておこうかな」
「え?なに……怖いんだけど」
「何でですかwいや……恥ずかしいんですけど、こうやって『姫宮ましろ』とオフコラボをするのが私のデビューの時からの夢だったんです」
「そうなの?」
「はい。ずっと憧れでしたし、ほら『姫宮ましろ』は謎の人でしたから。伊集院クララはライバルポジション。だから1期生の先輩の中でも『姫宮ましろ』は特別ですし、いつかはオフコラボをして、裏でも仲良くなりたいなってずっと思っていました。だから今凄く嬉しいんですよ」
「そっか。結果、男だったけどどう?」
「正直に言うと驚きはありましたけど、どっちかと言うと尊敬が大きかったですよ。神崎さんが『姫宮ましろ』だと気づいて、私が思っているよりも何倍も何倍も努力していたんだなって。だから凄いなって純粋に思いましたし、いつかは追い抜きたいと本当に心から思いました。パラレルワールド雑談の時も、このくらいでヘラってどうすんの!って思い直せましたしね?」
そう言って少し照れた笑顔を見せてくれる朝比奈さん。まさかそんなことを言われるとはな。でも……そう言われるとなんかむず痒いな。でもそう思って貰えていたことが、何だか嬉しい。
「あ。すいません長話をしてしまって」
「いや大丈夫だよ」
「お風呂いただきますね?明日も頑張りましょう。それじゃおやすみなさい」
「うん。おやすみ」
夢が1つ叶ったか……そんな風に誰かの夢になっているなら、オレとしても『姫宮ましろ』としても嬉しい。そんな誰かの憧れの先に、これからも居れるように頑張りたいよな。
「さて……オレも部屋に戻って休むとするか。まだまだ『あかくま50』は始まったばかりだからな」
あの時たまたま『姫宮ましろ』になっただけなのに、こんなにも素晴らしい後輩が増えた。本当に……人生って分からないもんだな。
時間は23時45分。この後彩芽ちゃんと衣音ちゃんの長時間ゲーム耐久配信が始まる。オレは明日の朝配信の準備を終えて、リビングに飲み物を取りに来ていた。するとタイミング良く、配信が終わった朝比奈さんがやってくる。
「お疲れ様。朝比奈さん」
「お疲れ様です。神崎さん。あの……飲み物を頂いてもいいですか?」
「うん。冷蔵庫は好きに使って。キッチンも好きに使ってご飯とかも作っていいから」
「はい」
なんだか……自分の家に朝比奈さんがいるのが変な感じだな。オフコラボはしたことあるけど、あの時は通話越しだったしな。
「次は2人の長時間配信ですね」
「そうだね。オレも朝比奈さんも今のうちに休んでおかないと」
「はい。正直言うと、私も長時間やってみたいですけどね……でも大体ゲームか歌枠くらいですもんね……」
「確かにジャンルは偏るな」
「私はゲームは長時間やるほど上手いわけじゃないし、歌枠も2期生なら『いのピン』がいるので需要は少なそうですしねwなかなか難しいです」
そうかもしれないな。2期生の箱としての立ち回りを考えるのなら、朝比奈さんがやれるジャンルはないのかもしれない。
「それなら雑談配信やったらいいんじゃない?」
「私は神崎さんみたいに話せないですよ。それに……『伊集院クララ』のテンションのままいるのは疲れますしw神崎さんはそういうのないんですか?」
「あー……確かに『姫宮ましろ』として長時間やるのは疲れるかもなw」
「ですよね?でもそう考えると私と神崎さんは、理由は違えど似た者同士かもしれないですね?」
そう微笑みながら話す朝比奈さん。似た者同士……なのかもな。
「そう言えば……せっかくだから神崎さんに言っておこうかな」
「え?なに……怖いんだけど」
「何でですかwいや……恥ずかしいんですけど、こうやって『姫宮ましろ』とオフコラボをするのが私のデビューの時からの夢だったんです」
「そうなの?」
「はい。ずっと憧れでしたし、ほら『姫宮ましろ』は謎の人でしたから。伊集院クララはライバルポジション。だから1期生の先輩の中でも『姫宮ましろ』は特別ですし、いつかはオフコラボをして、裏でも仲良くなりたいなってずっと思っていました。だから今凄く嬉しいんですよ」
「そっか。結果、男だったけどどう?」
「正直に言うと驚きはありましたけど、どっちかと言うと尊敬が大きかったですよ。神崎さんが『姫宮ましろ』だと気づいて、私が思っているよりも何倍も何倍も努力していたんだなって。だから凄いなって純粋に思いましたし、いつかは追い抜きたいと本当に心から思いました。パラレルワールド雑談の時も、このくらいでヘラってどうすんの!って思い直せましたしね?」
そう言って少し照れた笑顔を見せてくれる朝比奈さん。まさかそんなことを言われるとはな。でも……そう言われるとなんかむず痒いな。でもそう思って貰えていたことが、何だか嬉しい。
「あ。すいません長話をしてしまって」
「いや大丈夫だよ」
「お風呂いただきますね?明日も頑張りましょう。それじゃおやすみなさい」
「うん。おやすみ」
夢が1つ叶ったか……そんな風に誰かの夢になっているなら、オレとしても『姫宮ましろ』としても嬉しい。そんな誰かの憧れの先に、これからも居れるように頑張りたいよな。
「さて……オレも部屋に戻って休むとするか。まだまだ『あかくま50』は始まったばかりだからな」
あの時たまたま『姫宮ましろ』になっただけなのに、こんなにも素晴らしい後輩が増えた。本当に……人生って分からないもんだな。
11
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる