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230. 姫は『姫』らしいです
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230. 姫は『姫』らしいです
オレは彩芽ちゃんと共にえるるちゃん、ラビさんと焼き肉会をしている。オレもえるるちゃんこと明日香ちゃんとは初対面だから、ある意味助かっている。もちろん『姫宮ましろ』の正体は明かせないけど。
「神崎マネージャー。ビールでいいですか?」
「あっ一ノ瀬さん。ありがとう」
「彩芽ちゃんは何にしますか?」
「えっと……牛乳で」
「凛花さん……めっちゃお姉さんだ……」
「え?こんぐらい普通ですがら。実際お姉さんですし。明日香ちゃんは何飲みますか?」
一ノ瀬さんもいつもの訛りが出てるな。緊張がほぐれて来たようで良かった。
「あ。あの神崎マネージャーさん」
「ん?どうかした?」
「凛花さんから聞いてるんですけど、すごくVtuberに詳しくて、アドバイスしてくれるって。アタシもアドバイスほしいです!」
「え?アドバイス?」
「神崎マネージャーは、何も分からない私に色々教えてくれましたし、感謝しでます」
「大袈裟だよ。今こうして一ノ瀬さんが楽しみながら配信してるのは、一ノ瀬さんが頑張ったからだよ」
「でも……神崎マネージャーがアドバイスしでくれなかっだら今の私はないんで」
そんな真面目な顔で言わないでくれよ……照れるじゃんか。そう言われてオレは少し口元が緩む。それになんかこうして褒められるのは悪い気がしないな。
「何のアドバイスがほしいの?」
「アタシ。この前の学力王選手権で東大卒業してるって、みんなに知られたじゃないですか?これからどう立ち回ればいいのかなって思って。アタシはゲームとか歌とか絵とか色々ヘタなんで」
「別にそのままでいいと思うよ。オレはそんな色々ヘタなところが、『八神えるる』の魅力だと思うし。『八神えるる』のコンセプトはみんなの応援団長なんだから、いつも通りリスナーさんと協力して楽しむ配信をやればいいんじゃない?確かに高学歴なのは武器になるから、上手く企画とかで活かせばいいと思うけど、今みたいなありのままの自分でいる方がいいと思うよ」
「そうなんですけどね。それでいいのか不安で……」
「まぁでも、上手くいかないこともあるかもしれないからその時は、同期やそれこそ先輩に相談したらいいよ。Fmすたーらいぶのライバーはみんな優しいし、いつでも話は聞いてくれるから」
「神崎マネージャーさん……ありがとうございます!なんか自信が湧いてきました!」
明日香ちゃんはそう言って爽やかな笑顔を浮かべる。大したことは言ってないけど、少しでも明日香ちゃんが自信を持てたならよかった。
「なんが……神崎マネージャー、元旦の初演説の時のましろ先輩みたいですね?的確にアドバイスしてくれるところとか」
「えっ!?」
「確かにそうかも!姫先輩も同じこと言ってくれそう。やっぱり『ましのん』で一緒だからかな?そう思わない彩芽ちゃん?」
「うっうん……そうだね……」
彩芽ちゃんはおどおどしながら牛乳を一気飲みしている。落ち着こう……オレが『姫宮ましろ』とバレた訳じゃない。とりあえず何か反応しておかないと……
「そっそうかな?確かに一緒にいる時間もあるし、良く彩芽ちゃんもアドバイスもらってるからかもな?ね?彩芽ちゃん?」
「はっはい。そうです……」
「そっそれより、そろそろデザート頼む?」
「あ。そうしますか!アタシはパフェ食べたいです!凛花さんはどうしますか?」
「そうですねえっと……」
そう言って2人はメニュー表とにらめっこを始める。どうやらバレてないみたいだ。少し冷や汗をかいてしまった……
そのあともデザートを食べながら色々雑談し、初めての焼き肉会は和やかに過ぎていった。
オレは今、彩芽ちゃんと共に家に帰ろうとしている。焼き肉会でも彩芽ちゃんは思った以上に打ち解けたみたいで、普通に話せるようになっていたな。ちなみに、オレの横で歩いている彩芽ちゃんは少し眠たそうな表情を浮かべている。どうやら緊張の糸が切れてしまったようだ。そりゃ4時間以上も緊張してたらそうなるよな……
「彩芽ちゃん。コンビニでコーヒーでも買って少し休憩しようか?」
「はい……」
そしてコンビニでコーヒーを買い、近くにあった公園のベンチに2人並んで座る。彩芽ちゃんはコーヒーを口に含むとホッと一息つく。寒空の下2人の吐く息が白い。しばらくそのまま座っていると、彩芽ちゃんが口を開く。
「あの……ドキドキしましたね?」
「そうだね。まさかあんなこと言われると思わなかったよ」
「……やっぱり……ましろん先輩はましろん先輩です。だから颯太さんはましろん先輩なんです」
彩芽ちゃんはオレの目を見てそう言う。そうか……オレは本当に『姫宮ましろ』になれているんだな。そう思うと自然と口元が緩むのが分かる。
「あっあの……その……もうすぐ……バレンタインですね?颯太さんは……チョコレート好きですか?」
「彩芽ちゃんが作ってくれるなら好きかな?」
「えっと……その言い方は……ずるいです」
「あはは。期待してもいい?オレが貰う初めての本命チョコレート?」
「が……頑張ります……」
そう言ってお互い笑い合う。もう、こんなのバレンタインが楽しみでしょうがないだろ。そしてその後は手を繋いで家に帰ったのであった。
オレは彩芽ちゃんと共にえるるちゃん、ラビさんと焼き肉会をしている。オレもえるるちゃんこと明日香ちゃんとは初対面だから、ある意味助かっている。もちろん『姫宮ましろ』の正体は明かせないけど。
「神崎マネージャー。ビールでいいですか?」
「あっ一ノ瀬さん。ありがとう」
「彩芽ちゃんは何にしますか?」
「えっと……牛乳で」
「凛花さん……めっちゃお姉さんだ……」
「え?こんぐらい普通ですがら。実際お姉さんですし。明日香ちゃんは何飲みますか?」
一ノ瀬さんもいつもの訛りが出てるな。緊張がほぐれて来たようで良かった。
「あ。あの神崎マネージャーさん」
「ん?どうかした?」
「凛花さんから聞いてるんですけど、すごくVtuberに詳しくて、アドバイスしてくれるって。アタシもアドバイスほしいです!」
「え?アドバイス?」
「神崎マネージャーは、何も分からない私に色々教えてくれましたし、感謝しでます」
「大袈裟だよ。今こうして一ノ瀬さんが楽しみながら配信してるのは、一ノ瀬さんが頑張ったからだよ」
「でも……神崎マネージャーがアドバイスしでくれなかっだら今の私はないんで」
そんな真面目な顔で言わないでくれよ……照れるじゃんか。そう言われてオレは少し口元が緩む。それになんかこうして褒められるのは悪い気がしないな。
「何のアドバイスがほしいの?」
「アタシ。この前の学力王選手権で東大卒業してるって、みんなに知られたじゃないですか?これからどう立ち回ればいいのかなって思って。アタシはゲームとか歌とか絵とか色々ヘタなんで」
「別にそのままでいいと思うよ。オレはそんな色々ヘタなところが、『八神えるる』の魅力だと思うし。『八神えるる』のコンセプトはみんなの応援団長なんだから、いつも通りリスナーさんと協力して楽しむ配信をやればいいんじゃない?確かに高学歴なのは武器になるから、上手く企画とかで活かせばいいと思うけど、今みたいなありのままの自分でいる方がいいと思うよ」
「そうなんですけどね。それでいいのか不安で……」
「まぁでも、上手くいかないこともあるかもしれないからその時は、同期やそれこそ先輩に相談したらいいよ。Fmすたーらいぶのライバーはみんな優しいし、いつでも話は聞いてくれるから」
「神崎マネージャーさん……ありがとうございます!なんか自信が湧いてきました!」
明日香ちゃんはそう言って爽やかな笑顔を浮かべる。大したことは言ってないけど、少しでも明日香ちゃんが自信を持てたならよかった。
「なんが……神崎マネージャー、元旦の初演説の時のましろ先輩みたいですね?的確にアドバイスしてくれるところとか」
「えっ!?」
「確かにそうかも!姫先輩も同じこと言ってくれそう。やっぱり『ましのん』で一緒だからかな?そう思わない彩芽ちゃん?」
「うっうん……そうだね……」
彩芽ちゃんはおどおどしながら牛乳を一気飲みしている。落ち着こう……オレが『姫宮ましろ』とバレた訳じゃない。とりあえず何か反応しておかないと……
「そっそうかな?確かに一緒にいる時間もあるし、良く彩芽ちゃんもアドバイスもらってるからかもな?ね?彩芽ちゃん?」
「はっはい。そうです……」
「そっそれより、そろそろデザート頼む?」
「あ。そうしますか!アタシはパフェ食べたいです!凛花さんはどうしますか?」
「そうですねえっと……」
そう言って2人はメニュー表とにらめっこを始める。どうやらバレてないみたいだ。少し冷や汗をかいてしまった……
そのあともデザートを食べながら色々雑談し、初めての焼き肉会は和やかに過ぎていった。
オレは今、彩芽ちゃんと共に家に帰ろうとしている。焼き肉会でも彩芽ちゃんは思った以上に打ち解けたみたいで、普通に話せるようになっていたな。ちなみに、オレの横で歩いている彩芽ちゃんは少し眠たそうな表情を浮かべている。どうやら緊張の糸が切れてしまったようだ。そりゃ4時間以上も緊張してたらそうなるよな……
「彩芽ちゃん。コンビニでコーヒーでも買って少し休憩しようか?」
「はい……」
そしてコンビニでコーヒーを買い、近くにあった公園のベンチに2人並んで座る。彩芽ちゃんはコーヒーを口に含むとホッと一息つく。寒空の下2人の吐く息が白い。しばらくそのまま座っていると、彩芽ちゃんが口を開く。
「あの……ドキドキしましたね?」
「そうだね。まさかあんなこと言われると思わなかったよ」
「……やっぱり……ましろん先輩はましろん先輩です。だから颯太さんはましろん先輩なんです」
彩芽ちゃんはオレの目を見てそう言う。そうか……オレは本当に『姫宮ましろ』になれているんだな。そう思うと自然と口元が緩むのが分かる。
「あっあの……その……もうすぐ……バレンタインですね?颯太さんは……チョコレート好きですか?」
「彩芽ちゃんが作ってくれるなら好きかな?」
「えっと……その言い方は……ずるいです」
「あはは。期待してもいい?オレが貰う初めての本命チョコレート?」
「が……頑張ります……」
そう言ってお互い笑い合う。もう、こんなのバレンタインが楽しみでしょうがないだろ。そしてその後は手を繋いで家に帰ったのであった。
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