109 / 718
94. 『ましポん48』~オフパート 特別な1期生~
しおりを挟む
94. 『ましポん48』~オフパート 特別な1期生~
オープニングからFmすたーらいぶ学園企画の配信を終え、オレは風呂に入り彩芽ちゃんの通常配信を観ながら明日の準備やら、先ほどの配信の反響やらをTwitterで確認している。
そして日咲さんは0時からの配信準備を着々と進めている。配信中に食べるお菓子や飲み物を用意したり、ゲーム機を繋いだり、機材の設定を確認したりと、まぁ大変なようだ。
ちなみに配信はオレのパソコンを使うから、オレはリビングで寝ることになっている。さすがに桃姉さんの部屋で眠るのは気が引けるからな。
「ん?颯太お菓子食べる?」
「いや。もう寝るから大丈夫」
「え?寝るの?あたしと彩芽ちゃんの配信観てくれないの?」
「オレの休憩時間をなくすつもりか日咲さんは」
「睡眠と可愛い同期と後輩の配信、どっちが大事なの?」
「睡眠」
「あはは。正直者だね。配信は始まったばかりだからゆっくり休んで頑張ろうね!」
日咲さんは優しく微笑みかけ、また配信準備を始めていく。ふと、日咲さんと2人きりで自分の部屋にいることに緊張してしまう。
今までこんな状況になったことはなかったしな……。なんというか、今更だけど異性の女の子と同じ部屋で2人でいるということを意識してしまう。
それに日咲さんが真面目な顔で準備をしている姿はいつもより少しだけ大人びて見える。いや、もちろん見た目は普段通りなのだが、なんというか雰囲気が違うというか、そんな感じだ。
「ん?どした?」
「え?いや何でもない……」
「もしかしてあたしに惚れた?」
「いやそれは絶対にない」
「うわー。即答されると傷つくんですけど……あたし女の子だよ?」
「ごめん。でもそういう意味じゃなくて、ただ見慣れない表情してたから、ちょっと驚いたというか……」
「あーね。まぁそりゃあ仕事だからさ。こう見えてもあたしVtuberの仕事に誇りを持ってるんだよね」
日咲さんは少し照れくさそうな笑顔を見せる。当たり前のことなんだろうけど、オレにはそれがとても輝いて見えた。
「颯太はさ。成り行きでVtuber『姫宮ましろ』になったじゃん?今は真剣にやってると思うけど?」
「そう見えてると嬉しいけどな」
「あたしさ……最近思うんだ。もし1期生が最初から仲良かったら、今の関係みたいに上手くいってないんじゃないかなって。あの頃は『数字』がすべてみたいなところもあったし、誰かが伸びれば他のみんなが切られるかもしれない。だからライバル同士って言うのかな?もっとギスギスしてたと思う」
確かに気心が知れていたら、あの時の状況なら他の人の言葉なんて聞かないと思うし、仲がいいからこそのプレッシャーもあっただろう。ここまでの関係性は作れていなかったかもしれない。
「まぁこれはあくまで想像の話なんだけどね?」
「いや。きっとそうだと思う。オレも真剣にやっていたら、それこそ辞めてたかもしれないしな。だってリリィさんはモチベーションが高くて色々挑戦して一番最初にチャンネル登録者を増やしてVtuberというものを世の中に広めてくれるきっかけを作ってくれた。ひなたさんは元イラストレーターだから絵が上手いという武器があって、日咲さんはゲームが好きで長時間配信をする。でもオレには何もなかったからさ」
「それが今の雑談配信に繋がってるんだもんね?」
「そうだな。1期生は得意なことや好きなことをやってここまで来てるんだと思うんだよ。その中で無意識にお互いを模索しながら自分の得意なものを見つけた。それが今の形なんだと思う。」
1期生はそれぞれ個性があり、得意分野もある。その得意分野で勝負することで人気が出てきているのだと思っている。だからFmすたーらいぶの1期生は特別なんだ。
「あ。なんかこの話、明日のリリィママのオフコラボ配信ですれば良かったね?」
「リスナーには恥ずかしくて言いたくないんだが……」
「でも話すのは『姫宮ましろ』だからさ?」
「今は『姫宮ましろ』もオレだよ。本当にそう思っている」
「……そうだね。それがあたしにも良く分かるよ」
そう言って笑顔をくれる日咲さん。それを見てオレはVtuber『姫宮ましろ』として頑張れていることを誇りに思ったのだった。
オープニングからFmすたーらいぶ学園企画の配信を終え、オレは風呂に入り彩芽ちゃんの通常配信を観ながら明日の準備やら、先ほどの配信の反響やらをTwitterで確認している。
そして日咲さんは0時からの配信準備を着々と進めている。配信中に食べるお菓子や飲み物を用意したり、ゲーム機を繋いだり、機材の設定を確認したりと、まぁ大変なようだ。
ちなみに配信はオレのパソコンを使うから、オレはリビングで寝ることになっている。さすがに桃姉さんの部屋で眠るのは気が引けるからな。
「ん?颯太お菓子食べる?」
「いや。もう寝るから大丈夫」
「え?寝るの?あたしと彩芽ちゃんの配信観てくれないの?」
「オレの休憩時間をなくすつもりか日咲さんは」
「睡眠と可愛い同期と後輩の配信、どっちが大事なの?」
「睡眠」
「あはは。正直者だね。配信は始まったばかりだからゆっくり休んで頑張ろうね!」
日咲さんは優しく微笑みかけ、また配信準備を始めていく。ふと、日咲さんと2人きりで自分の部屋にいることに緊張してしまう。
今までこんな状況になったことはなかったしな……。なんというか、今更だけど異性の女の子と同じ部屋で2人でいるということを意識してしまう。
それに日咲さんが真面目な顔で準備をしている姿はいつもより少しだけ大人びて見える。いや、もちろん見た目は普段通りなのだが、なんというか雰囲気が違うというか、そんな感じだ。
「ん?どした?」
「え?いや何でもない……」
「もしかしてあたしに惚れた?」
「いやそれは絶対にない」
「うわー。即答されると傷つくんですけど……あたし女の子だよ?」
「ごめん。でもそういう意味じゃなくて、ただ見慣れない表情してたから、ちょっと驚いたというか……」
「あーね。まぁそりゃあ仕事だからさ。こう見えてもあたしVtuberの仕事に誇りを持ってるんだよね」
日咲さんは少し照れくさそうな笑顔を見せる。当たり前のことなんだろうけど、オレにはそれがとても輝いて見えた。
「颯太はさ。成り行きでVtuber『姫宮ましろ』になったじゃん?今は真剣にやってると思うけど?」
「そう見えてると嬉しいけどな」
「あたしさ……最近思うんだ。もし1期生が最初から仲良かったら、今の関係みたいに上手くいってないんじゃないかなって。あの頃は『数字』がすべてみたいなところもあったし、誰かが伸びれば他のみんなが切られるかもしれない。だからライバル同士って言うのかな?もっとギスギスしてたと思う」
確かに気心が知れていたら、あの時の状況なら他の人の言葉なんて聞かないと思うし、仲がいいからこそのプレッシャーもあっただろう。ここまでの関係性は作れていなかったかもしれない。
「まぁこれはあくまで想像の話なんだけどね?」
「いや。きっとそうだと思う。オレも真剣にやっていたら、それこそ辞めてたかもしれないしな。だってリリィさんはモチベーションが高くて色々挑戦して一番最初にチャンネル登録者を増やしてVtuberというものを世の中に広めてくれるきっかけを作ってくれた。ひなたさんは元イラストレーターだから絵が上手いという武器があって、日咲さんはゲームが好きで長時間配信をする。でもオレには何もなかったからさ」
「それが今の雑談配信に繋がってるんだもんね?」
「そうだな。1期生は得意なことや好きなことをやってここまで来てるんだと思うんだよ。その中で無意識にお互いを模索しながら自分の得意なものを見つけた。それが今の形なんだと思う。」
1期生はそれぞれ個性があり、得意分野もある。その得意分野で勝負することで人気が出てきているのだと思っている。だからFmすたーらいぶの1期生は特別なんだ。
「あ。なんかこの話、明日のリリィママのオフコラボ配信ですれば良かったね?」
「リスナーには恥ずかしくて言いたくないんだが……」
「でも話すのは『姫宮ましろ』だからさ?」
「今は『姫宮ましろ』もオレだよ。本当にそう思っている」
「……そうだね。それがあたしにも良く分かるよ」
そう言って笑顔をくれる日咲さん。それを見てオレはVtuber『姫宮ましろ』として頑張れていることを誇りに思ったのだった。
10
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる