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26. 姫はJKちゃんと『デート』する

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26. 姫はJKちゃんと『デート』する



 そして無事に『ましのん』ユニット発表配信は終了する。終わった瞬間、鈴町さんはガクッと机に突っ伏してしまった。

「お疲れ様。鈴町さん」

 オレがそう言うと、鈴町さんはゆっくりと身体を起こしてこちらを見た。その表情はどこか吹っ切れたような清々しい笑顔をしていた。こうして『ましのん』にとって大きな一歩を踏み出した配信は幕を閉じた。

 ちなみに後日、SNSではこの配信のことで話題になっていたらしくトレンド入りした。そして他のFmすたーらいぶのライバーたちも自分の配信などで話題として上げてくれていた。中には面白がって拡散してくれる人もいて嬉しい限りだ。

 今まで以上に応援してくれているファンたちが増えた気がする。これも全て鈴町さんのおかげだろう。本当に感謝してもしきれない。だから、今度はオレが彼女に恩返しをする番である。それが何なのかはまだ分からない。でもいつかきっと……。

 事務所での配信が終わって数日が経った。オレは『双葉かのん』のマネージャーとして案件の仕事を確認し、スケジュールを調整したりと仕事に追われる日々を送っていた。そして明日の『姫宮ましろ』の配信のことを考えながら事務所から帰ろうとしていた時だった。

「颯太さん」

 オレが振り向くと、そこにはFmすたーらいぶ3期生の『葉桐ソフィア』ちゃんがいた。

 葉桐ソフィア。鈴町さんこと『双葉かのん』の同期でFmすたーらいぶの3期生。透き通るほどの白の長い髪の幼女ハーフエルフ。コンセプトは『Fmすたーらいぶに迷い込んだみんなの妹はぐれハーフエルフ』その可愛さと萌え萌えのロリ声と毒舌を使いこなす雑談やゲーム配信が人気で3期生では一番チャンネル登録者も多いライバーさんだ。

「えっと確かソフィアちゃんだっけ?どうしたの?」

「いや私のマネージャーがちょっと急用があって打ち合わせがなくなったんですよ。それで暇になったから帰ろうとしたら颯太さんが見えたので」

「なるほど。そういうことか」

「あの良かったらお茶に付き合ってもらえませんか?わざわざ事務所に来たのにこのまま帰るのもなんか勿体無いなって思って。」

「ああ。別に構わないよ。丁度オレも今日はもう終わりだし」

「やった。じゃあデートですね。行きましょう」

 ソフィアちゃんはそう言ってオレの袖を掴んで歩き始めた。ちょうど1人で帰るつもりだったので、断る理由もなく承諾したが……良く考えたら……ほぼ初対面のJKとお茶とかヤバすぎないか……!?オレ大丈夫かな……これ犯罪とかにならないよな?

「颯太さんっていつも忙しいんですか?」

「うーんどうだろうね。人によっては大変かもしれないけど、オレはマネージャーになってまだ日が浅いし、勉強することばかりだよ」

 本当は毎日が忙しいけどな。『姫宮ましろ』の配信は朝だけにしているからそこまでは忙しくないが、今度は『ましのん』の配信もあるし、『双葉かのん』のスケジュールの管理もあるからな。

「あ。そうだ、私の本名は佐伯玲奈っていうんです。せっかくなので名前で呼んでください。あと敬語もなしでお願いします」

「玲奈ちゃんか。でもなんでオレに本名を教えてくれるんだ?」

「だって会社のマネージャーさんだし、同期のマネージャーでもあるし、私の相談にも乗ってくれたらいいなって期待を込めてますから」

 若いのに抜け目がない子だ。オレたちは近くのカフェに入り、そこでコーヒーを飲みながら少し話をすることにした。一応玲奈ちゃんもオレからしたら同じFmすたーらいぶのVtuberで後輩なんだよな……

「やっぱりこういう落ち着いた雰囲気の店は落ち着きますね」

「え?ああそうだね」

「颯太さん。もしかして緊張してますか?」

「そりゃJKと2人きりだからな……周りから変に思われてないかな……」

「あはは。気にし過ぎですよ。仲の良い兄妹にしか見えませんよ」

「そっか……なら良いんだけどさ」

 そう言って玲奈ちゃんはコーヒーを一口飲んでから、少し間を置いてオレに聞いてきた。
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