【たいむりーぷ?】『私。未来であなたの奥様やらせてもらってます!』~隣の席の美少女はオレの奥様らしい。きっと新手の詐欺だと思う……たぶん。~

夕姫

文字の大きさ
上 下
82 / 85

82. 一人占め出来て良かったね

しおりを挟む
82. 一人占め出来て良かったね



 何かをしようとしてる西城さんはそのまま接客をしている聖菜さんに話しかける。なんか面倒なことにならないといいけど。

「おーい聖菜」

「ん?どうしたの彩音ちゃん」

「あんまり他の男に色目使うと旦那がめちゃくちゃ怒っちゃうんじゃね?」

「え?」

「裏ですごく不機嫌だったし。ありゃ泣き出すかもね?」

 は?待て待て。オレは全然怒っていないし泣き出しそうでもない。何でオレが怒る必要があるんだよ。聖菜さんもチラッとオレがいる教室のすみにあるバックヤード的なほうを見て不思議そうな顔をしている。

「あたしがこのテーブル代わってやるから休憩がてら誤解を解きに行ってきな」

「あ、ありがとう?彩音ちゃん」

 聖菜さんは軽く頭を下げてからオレのところに駆け寄ってくる。変な振りをされたんだが……

「優斗君。なんで怒ってるの?」

「いや……オレは怒ってないよ」

「彩音ちゃんが怒ってるって言ってたけど?」

「西城さんの勘違いだよ。オレは全然そんなつもりないし」

「でも不機嫌そうだけど?ほっぺ膨らんでるよ?」

「そんなことないよ……子供じゃんそれじゃ」

 聖菜さんはクスクス笑っている。またオレのことをからかって……。なんか悔しいな。聖菜さんはオレの頬を指先でツンツンしてくる。やめてくれ。なんか恥ずかしい。

「優斗君は子供だね?」

「いつも膨れてるのは聖菜さんのほうでしょ」

「そりゃ不機嫌になってるからね」

「素直だね聖菜さんは」

「他の女の子と仲良くしてたら不機嫌になるよ?優斗君は違うのかな?」

「違わないけどさ……」

 聖菜さんはいつものように笑顔で答える。なんだこれ。めちゃくちゃ恥ずかしいぞ。ここは教室のすみで、周りから見えないようになっているとはいえ、なんかすごい視線を感じるような気がする。それこそ聖菜さん目当ての男子の殺気のこもった眼差しとか……。見えないけど絶対そんな気がする。

 それに気づいたのか聖菜さんはオレの腕を組んでくる。いや……ちょっと……これはヤバいだろ。胸当たってるって。

「いや聖菜さん……胸当たってるんだけどさ」

「いつも触ってるじゃん」

「学校では触ってないでしょ」

「我慢出来なくなった?」

「いやオレの理性警察はベテランで優秀だからさ」

「ほう。久しぶりに出勤してるんだね関心関心」

 そう言って聖菜さんは小悪魔のような微笑みを浮かべながら耳元で囁いてくる。

「ふふ。ご主人様、もう少しだけ待っててくださいね。私はあなただけのメイドですから」

 これはダメだ。このままだと心臓が持たないかもしれない。すると聖菜さんはオレにウインクをしてから西城さんのところへ戻る。あんなことをされて平常心なんて保てるわけがないぞ。

 そして文化祭2日目が終わりクラスの喫茶店にも多くの人が来てくれた。今日も大成功だろう。中庭にはキャンプファイアの準備が出来ており、あとは火を灯すだけになっている。オレは聖菜さんが着替え終わるのを待ってから一緒に中庭に出る。

 キャンプファイアの周りには既にたくさんの人がいて、写真を撮ったり会話をしたりと思い思いの時間を過ごしていた。

 聖菜さんと肩を並べてその様子を眺めていると不意にオレの手を握ってきた。びっくりして隣を見ると聖菜さんがオレの顔を覗き込んでくる。

「聖菜さん?」

「優斗君。私を一人占め出来て良かったね?」

「そうじゃなきゃ困るでしょ」

「そうだね」

 聖菜さんは嬉しそうに笑う。その笑顔につられてオレも自然と笑ってしまう。そしていよいよキャンプファイアに火が灯る。炎が大きく燃え上がりゆらめいて見える。聖菜さんの顔もその炎に照らされているせいか普段よりさらに綺麗に見えた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

浦島子(うらしまこ)

wawabubu
青春
大阪の淀川べりで、女の人が暴漢に襲われそうになっていることを助けたことから、いい関係に。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

処理中です...