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82. 一人占め出来て良かったね
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82. 一人占め出来て良かったね
何かをしようとしてる西城さんはそのまま接客をしている聖菜さんに話しかける。なんか面倒なことにならないといいけど。
「おーい聖菜」
「ん?どうしたの彩音ちゃん」
「あんまり他の男に色目使うと旦那がめちゃくちゃ怒っちゃうんじゃね?」
「え?」
「裏ですごく不機嫌だったし。ありゃ泣き出すかもね?」
は?待て待て。オレは全然怒っていないし泣き出しそうでもない。何でオレが怒る必要があるんだよ。聖菜さんもチラッとオレがいる教室のすみにあるバックヤード的なほうを見て不思議そうな顔をしている。
「あたしがこのテーブル代わってやるから休憩がてら誤解を解きに行ってきな」
「あ、ありがとう?彩音ちゃん」
聖菜さんは軽く頭を下げてからオレのところに駆け寄ってくる。変な振りをされたんだが……
「優斗君。なんで怒ってるの?」
「いや……オレは怒ってないよ」
「彩音ちゃんが怒ってるって言ってたけど?」
「西城さんの勘違いだよ。オレは全然そんなつもりないし」
「でも不機嫌そうだけど?ほっぺ膨らんでるよ?」
「そんなことないよ……子供じゃんそれじゃ」
聖菜さんはクスクス笑っている。またオレのことをからかって……。なんか悔しいな。聖菜さんはオレの頬を指先でツンツンしてくる。やめてくれ。なんか恥ずかしい。
「優斗君は子供だね?」
「いつも膨れてるのは聖菜さんのほうでしょ」
「そりゃ不機嫌になってるからね」
「素直だね聖菜さんは」
「他の女の子と仲良くしてたら不機嫌になるよ?優斗君は違うのかな?」
「違わないけどさ……」
聖菜さんはいつものように笑顔で答える。なんだこれ。めちゃくちゃ恥ずかしいぞ。ここは教室のすみで、周りから見えないようになっているとはいえ、なんかすごい視線を感じるような気がする。それこそ聖菜さん目当ての男子の殺気のこもった眼差しとか……。見えないけど絶対そんな気がする。
それに気づいたのか聖菜さんはオレの腕を組んでくる。いや……ちょっと……これはヤバいだろ。胸当たってるって。
「いや聖菜さん……胸当たってるんだけどさ」
「いつも触ってるじゃん」
「学校では触ってないでしょ」
「我慢出来なくなった?」
「いやオレの理性警察はベテランで優秀だからさ」
「ほう。久しぶりに出勤してるんだね関心関心」
そう言って聖菜さんは小悪魔のような微笑みを浮かべながら耳元で囁いてくる。
「ふふ。ご主人様、もう少しだけ待っててくださいね。私はあなただけのメイドですから」
これはダメだ。このままだと心臓が持たないかもしれない。すると聖菜さんはオレにウインクをしてから西城さんのところへ戻る。あんなことをされて平常心なんて保てるわけがないぞ。
そして文化祭2日目が終わりクラスの喫茶店にも多くの人が来てくれた。今日も大成功だろう。中庭にはキャンプファイアの準備が出来ており、あとは火を灯すだけになっている。オレは聖菜さんが着替え終わるのを待ってから一緒に中庭に出る。
キャンプファイアの周りには既にたくさんの人がいて、写真を撮ったり会話をしたりと思い思いの時間を過ごしていた。
聖菜さんと肩を並べてその様子を眺めていると不意にオレの手を握ってきた。びっくりして隣を見ると聖菜さんがオレの顔を覗き込んでくる。
「聖菜さん?」
「優斗君。私を一人占め出来て良かったね?」
「そうじゃなきゃ困るでしょ」
「そうだね」
聖菜さんは嬉しそうに笑う。その笑顔につられてオレも自然と笑ってしまう。そしていよいよキャンプファイアに火が灯る。炎が大きく燃え上がりゆらめいて見える。聖菜さんの顔もその炎に照らされているせいか普段よりさらに綺麗に見えた。
何かをしようとしてる西城さんはそのまま接客をしている聖菜さんに話しかける。なんか面倒なことにならないといいけど。
「おーい聖菜」
「ん?どうしたの彩音ちゃん」
「あんまり他の男に色目使うと旦那がめちゃくちゃ怒っちゃうんじゃね?」
「え?」
「裏ですごく不機嫌だったし。ありゃ泣き出すかもね?」
は?待て待て。オレは全然怒っていないし泣き出しそうでもない。何でオレが怒る必要があるんだよ。聖菜さんもチラッとオレがいる教室のすみにあるバックヤード的なほうを見て不思議そうな顔をしている。
「あたしがこのテーブル代わってやるから休憩がてら誤解を解きに行ってきな」
「あ、ありがとう?彩音ちゃん」
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「いや……オレは怒ってないよ」
「彩音ちゃんが怒ってるって言ってたけど?」
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「でも不機嫌そうだけど?ほっぺ膨らんでるよ?」
「そんなことないよ……子供じゃんそれじゃ」
聖菜さんはクスクス笑っている。またオレのことをからかって……。なんか悔しいな。聖菜さんはオレの頬を指先でツンツンしてくる。やめてくれ。なんか恥ずかしい。
「優斗君は子供だね?」
「いつも膨れてるのは聖菜さんのほうでしょ」
「そりゃ不機嫌になってるからね」
「素直だね聖菜さんは」
「他の女の子と仲良くしてたら不機嫌になるよ?優斗君は違うのかな?」
「違わないけどさ……」
聖菜さんはいつものように笑顔で答える。なんだこれ。めちゃくちゃ恥ずかしいぞ。ここは教室のすみで、周りから見えないようになっているとはいえ、なんかすごい視線を感じるような気がする。それこそ聖菜さん目当ての男子の殺気のこもった眼差しとか……。見えないけど絶対そんな気がする。
それに気づいたのか聖菜さんはオレの腕を組んでくる。いや……ちょっと……これはヤバいだろ。胸当たってるって。
「いや聖菜さん……胸当たってるんだけどさ」
「いつも触ってるじゃん」
「学校では触ってないでしょ」
「我慢出来なくなった?」
「いやオレの理性警察はベテランで優秀だからさ」
「ほう。久しぶりに出勤してるんだね関心関心」
そう言って聖菜さんは小悪魔のような微笑みを浮かべながら耳元で囁いてくる。
「ふふ。ご主人様、もう少しだけ待っててくださいね。私はあなただけのメイドですから」
これはダメだ。このままだと心臓が持たないかもしれない。すると聖菜さんはオレにウインクをしてから西城さんのところへ戻る。あんなことをされて平常心なんて保てるわけがないぞ。
そして文化祭2日目が終わりクラスの喫茶店にも多くの人が来てくれた。今日も大成功だろう。中庭にはキャンプファイアの準備が出来ており、あとは火を灯すだけになっている。オレは聖菜さんが着替え終わるのを待ってから一緒に中庭に出る。
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「聖菜さん?」
「優斗君。私を一人占め出来て良かったね?」
「そうじゃなきゃ困るでしょ」
「そうだね」
聖菜さんは嬉しそうに笑う。その笑顔につられてオレも自然と笑ってしまう。そしていよいよキャンプファイアに火が灯る。炎が大きく燃え上がりゆらめいて見える。聖菜さんの顔もその炎に照らされているせいか普段よりさらに綺麗に見えた。
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