【たいむりーぷ?】『私。未来であなたの奥様やらせてもらってます!』~隣の席の美少女はオレの奥様らしい。きっと新手の詐欺だと思う……たぶん。~

夕姫

文字の大きさ
上 下
81 / 85

81. 知らないところで何かが起こる

しおりを挟む
81. 知らないところで何かが起こる



 そして夕飯。怜奈はピザとポテトをパクついている。いつものことだが幸せそうな顔をしている。そして相変わらず美味しそうに食べるな。オレもポテトをつまむ。

「ねぇおにぃ」

「なんだ?」

「聖菜さんって何でおにぃのこと好きなの?なんか全然イメージと違うんだけど」

「それは聖菜さんに聞いてくれないか」

「気にならないの?」

 そりゃ気になる。前に少し話してくれたけど、確かに深く聞いたことはない。そもそもなんでオレのことが好きなのかなんて考えたこともなかったな。

「やっぱりおにぃのどこに惚れたのか……とか知りたくない?」

「オレが紳士だからじゃないか?」

「あっそ。そう言えばおにぃさ、告白出来たんだもんね。まさか聖菜さんからじゃないよね?」

「お前。兄貴をなんだと思ってんだよ。もちろんオレから付き合ってくださいって言ったぞ」

「どこで告白したの?」

 どこで?そんなの重要なのかよ……。この前も西城さんや東雲さん、それこそ聖菜さんにも言われたけど。場所じゃないだろ!気持ちだ気持ち!

「駅前の近くの静かな公園だけど?」

「……はぁ。聖菜さん可哀想」

「おい。なにが可哀想なんだよ」

「そういう雰囲気が似合わないところだよ。私ならムードのある場所でロマンチックな雰囲気の中で言って欲しいけどね。例えばこの前の花火大会の花火が打ち上がった瞬間に……みたいな?」

「お前!花火大会は禁句だぞ!」

 くそ。みんなしてオレをバカにしやがって。別にいいもんね。花火が打ち上がる中、キスしたいとか考えてないし。いや、これは嘘だ。めちゃくちゃ雰囲気がいい。それに比べて静かな公園って……今思うとオレはとんでもない恋愛弱者だったのか……。怜奈が呆れた様子でため息をつく。なんだ?その反応は。

「なんだよ?」

「別になんでもないけど?」

「お前。今オレを恋愛弱者だと思ってるだろ?」

「思ってないよ。女心が分からない馬鹿者だとは思ってるけど」

「ちっちっち。甘いぞ怜奈。オレはきちんと聖菜さんに再告白するから。明日のキャンプファイアの時に」

「ふーん。次は振られたら面白いよね」

「お前なぁ……」

 そんなことは絶対にあり得ない……はず。いざ付き合ってみたけど、聖菜さんは優しいからオレを傷つけないように振る舞ってくれている可能性もある……のか?いやいやそれはないだろ。オレは未来の旦那様なんだから。

 そして翌日。文化祭2日目が始まる。今日も一般公開日ということもあり生徒だけでなく一般の人もたくさんいる。オレたちのクラスは昨日に引き続き喫茶店をしている。そして聖菜さんの接客態度が素晴らしかった。1年生のみならず3年生の男子まで列をなしているほどだ。しかしオレにとっては複雑な気分である。

「いらっしゃいませご主人様。こちらの席へどうぞ」

 案内される男どもが聖菜さんをイヤらしい目で見ているのがよく分かる。オレの聖菜さんだぞ!彼女だぞ!未来の奥様だぞ!

「聖菜。大人気じゃん。大丈夫神坂?」

「何がだ?」

「オレの嫁に変なことしたら許さないぞ!って顔してるじゃん」

「別にそんなこと考えてねぇよ!」

「えっ考えてないの?聖菜への愛が足りないんじゃね?」

「そんなことないだろ」

 すると西城さんはニヤリと笑ってからオレの耳元に口を近づける。あと近すぎて胸元が見えるんだが……

「まぁ妬くな妬くな。あたしに任せときな神坂」

「何をするつもりだ?」

「まぁ見てなって」

 そう言うと西城さんはオレから離れ聖菜さんの方へと向かっていく。オレの知らないところで何かが起こる気がする。少し不安ではあるが西城さんを見守ろう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

浦島子(うらしまこ)

wawabubu
青春
大阪の淀川べりで、女の人が暴漢に襲われそうになっていることを助けたことから、いい関係に。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

処理中です...