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61. また君に恋をする
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61. また君に恋をする
花火大会。夏の風物詩ともいえる一大事イベント。色々な屋台が出て、行き交う人々は浴衣に身を包む。カップルは手を繋ぎ楽しそうにしている。なのにオレは妹と共に花火大会の屋台を回っていた。
「なんで私なの?聖菜さんと回ればいいじゃん」
「オレもそう言ったんだけど、相方が笑いを求めていてね」
「なにそれ?」
聖菜さんはオレと怜奈。そして自ら東雲さんを選ぶことで面白がってるんだ。
「まぁおにぃのほうが気をつかわないからいいけどさ」
そう言って怜奈はいつもとは違う可愛いらしい笑顔を向ける。こう見ると我が妹ながら可愛いかもしれないな。たまには優しくしてやるか。
「怜奈。なんか食べるか?」
「え?別にお腹空いてないし」
「遠慮するなって」
「……チョコバナナ。あと焼きそば」
「じゃあ買ってくるから待っとけよ」
「……うん」
屋台のおっちゃんからチョコバナナを受け取り、違う屋台で焼きそばを買う。オレは近くのベンチに座り、それを怜奈に渡す。すると嬉しそうな顔をしながら食べ始める。
「おいしい」
「そりゃ良かった」
なんか懐かしいな。昔は家族で近所のお祭りに出掛けた時はオレは金魚とか掬ったりしてたな。怜奈とは普段一緒だけど、こうやって外で2人きりっていうのもいいものだな。
「おにぃ。焼きそば食べる?」
「ああ。ありがとう」
そして焼きそばを食べながら怜奈と話しているとそこに聖菜さんと東雲さんがやってくる。
「あっいたいた。優斗君!怜奈ちゃん!」
「聖菜さん」
「ごめんね。邪魔しちゃったかな?」
「この組み合わせにしたのは聖菜さんだろ。ところであの2人は?」
「さっき屋台で彩音が何十個もスーパーボールをすくって楽しんでたわよ。今のところ問題ないんじゃないかしら」
「そうなんですね。上手くいくといいですね」
まぁそこは西城さんの気持ち次第だから何とも言えないところではあるが。すると東雲さんはオレを一度睨み付けてから怜奈に話す。
「さて。怜奈さん。私たちはそろそろ行きましょうか」
「舞子ちゃん?」
「いつまでも聖菜を独占するのは悪いしね。花火大会デート楽しんでちょうだい。神坂君。聖菜のこと頼んだわよ」
「じゃあ私も行くねおにぃ。2人で楽しんで」
そう言って東雲さんと怜奈は行ってしまう。なんか……東雲さんもいい人だよな結局。
「じゃあ仕切り直してオレたちも花火大会デートしようか奥様」
「ならエスコートはよろしくね旦那様」
聖菜さんはそう言ってオレの腕を掴んでくる。そしてオレたちは花火の時間まで、屋台を見て回ることにする。横を歩く聖菜さんはとても楽しそうにしている。
「ねぇ優斗君。私たこ焼き食べたいな」
「ああ」
たこ焼きを買って近くのベンチに腰掛ける。オレが買ってきたたこ焼きを渡すと聖菜さんはニコニコしながらオレに言う。その笑顔がまた可愛い。
「優斗君。ふぅーふぅーしてほしいかな。あと、あーんも」
「え?」
「にゃんにゃん」
だからそれなに!?可愛すぎるんだけどさ!
「あのさ。甘えればなんでもすると思ってない?」
「してくれないの?」
「聖菜さんだってしないだろ」
「私はお願いされたらするよ。優斗君のこと大好きだもん」
その言い方は本当にズルいよな。オレはそのまま、たこ焼きを冷まして聖菜さんに食べさせてあげる。聖菜さんはハフハフしながら美味しそうに食べていた。
夏祭りの雰囲気がオレと聖菜さんの距離感を縮めているのか、いつもより距離が近い気がする。横を見れば、いつも通りの可愛い顔がある。でも今だけは特別なように感じた。
「もう1ヶ月が経つんだね。私と優斗君が付き合って」
「そうだな」
「優斗君は私と付き合えて良かった?」
「言わなきゃダメ?」
「ダメ。女の子はきちんと言葉がほしい生き物なのだよ優斗君。覚えておきたまえ」
そう言われると言い返すことができない。まぁオレの答えは決まっているのだが。
「正直最初は戸惑ったよ。こんな可愛い子と付き合うなんて思ってなかったからさ」
「今はどう?まだ慣れない?」
「まぁ最初に比べたらだいぶ慣れてきたよ」
「そう。良かった。でも……」
聖菜さんはそう言ってオレに近づく。いつもの聖菜さんの柔らかい感触、甘い匂いがオレの鼻腔をくすぐる。そして、聖菜さんは耳元で囁くように言った。
「もっと好きになってね。私のこと」
オレは思わずドキッとする。聖菜さんはオレから離れるといつも通りの笑顔を見せる。本当に聖菜さんはズルいよな……。
花火大会の夜。オレはまた聖菜さんに恋をしてしまったようだ。
花火大会。夏の風物詩ともいえる一大事イベント。色々な屋台が出て、行き交う人々は浴衣に身を包む。カップルは手を繋ぎ楽しそうにしている。なのにオレは妹と共に花火大会の屋台を回っていた。
「なんで私なの?聖菜さんと回ればいいじゃん」
「オレもそう言ったんだけど、相方が笑いを求めていてね」
「なにそれ?」
聖菜さんはオレと怜奈。そして自ら東雲さんを選ぶことで面白がってるんだ。
「まぁおにぃのほうが気をつかわないからいいけどさ」
そう言って怜奈はいつもとは違う可愛いらしい笑顔を向ける。こう見ると我が妹ながら可愛いかもしれないな。たまには優しくしてやるか。
「怜奈。なんか食べるか?」
「え?別にお腹空いてないし」
「遠慮するなって」
「……チョコバナナ。あと焼きそば」
「じゃあ買ってくるから待っとけよ」
「……うん」
屋台のおっちゃんからチョコバナナを受け取り、違う屋台で焼きそばを買う。オレは近くのベンチに座り、それを怜奈に渡す。すると嬉しそうな顔をしながら食べ始める。
「おいしい」
「そりゃ良かった」
なんか懐かしいな。昔は家族で近所のお祭りに出掛けた時はオレは金魚とか掬ったりしてたな。怜奈とは普段一緒だけど、こうやって外で2人きりっていうのもいいものだな。
「おにぃ。焼きそば食べる?」
「ああ。ありがとう」
そして焼きそばを食べながら怜奈と話しているとそこに聖菜さんと東雲さんがやってくる。
「あっいたいた。優斗君!怜奈ちゃん!」
「聖菜さん」
「ごめんね。邪魔しちゃったかな?」
「この組み合わせにしたのは聖菜さんだろ。ところであの2人は?」
「さっき屋台で彩音が何十個もスーパーボールをすくって楽しんでたわよ。今のところ問題ないんじゃないかしら」
「そうなんですね。上手くいくといいですね」
まぁそこは西城さんの気持ち次第だから何とも言えないところではあるが。すると東雲さんはオレを一度睨み付けてから怜奈に話す。
「さて。怜奈さん。私たちはそろそろ行きましょうか」
「舞子ちゃん?」
「いつまでも聖菜を独占するのは悪いしね。花火大会デート楽しんでちょうだい。神坂君。聖菜のこと頼んだわよ」
「じゃあ私も行くねおにぃ。2人で楽しんで」
そう言って東雲さんと怜奈は行ってしまう。なんか……東雲さんもいい人だよな結局。
「じゃあ仕切り直してオレたちも花火大会デートしようか奥様」
「ならエスコートはよろしくね旦那様」
聖菜さんはそう言ってオレの腕を掴んでくる。そしてオレたちは花火の時間まで、屋台を見て回ることにする。横を歩く聖菜さんはとても楽しそうにしている。
「ねぇ優斗君。私たこ焼き食べたいな」
「ああ」
たこ焼きを買って近くのベンチに腰掛ける。オレが買ってきたたこ焼きを渡すと聖菜さんはニコニコしながらオレに言う。その笑顔がまた可愛い。
「優斗君。ふぅーふぅーしてほしいかな。あと、あーんも」
「え?」
「にゃんにゃん」
だからそれなに!?可愛すぎるんだけどさ!
「あのさ。甘えればなんでもすると思ってない?」
「してくれないの?」
「聖菜さんだってしないだろ」
「私はお願いされたらするよ。優斗君のこと大好きだもん」
その言い方は本当にズルいよな。オレはそのまま、たこ焼きを冷まして聖菜さんに食べさせてあげる。聖菜さんはハフハフしながら美味しそうに食べていた。
夏祭りの雰囲気がオレと聖菜さんの距離感を縮めているのか、いつもより距離が近い気がする。横を見れば、いつも通りの可愛い顔がある。でも今だけは特別なように感じた。
「もう1ヶ月が経つんだね。私と優斗君が付き合って」
「そうだな」
「優斗君は私と付き合えて良かった?」
「言わなきゃダメ?」
「ダメ。女の子はきちんと言葉がほしい生き物なのだよ優斗君。覚えておきたまえ」
そう言われると言い返すことができない。まぁオレの答えは決まっているのだが。
「正直最初は戸惑ったよ。こんな可愛い子と付き合うなんて思ってなかったからさ」
「今はどう?まだ慣れない?」
「まぁ最初に比べたらだいぶ慣れてきたよ」
「そう。良かった。でも……」
聖菜さんはそう言ってオレに近づく。いつもの聖菜さんの柔らかい感触、甘い匂いがオレの鼻腔をくすぐる。そして、聖菜さんは耳元で囁くように言った。
「もっと好きになってね。私のこと」
オレは思わずドキッとする。聖菜さんはオレから離れるといつも通りの笑顔を見せる。本当に聖菜さんはズルいよな……。
花火大会の夜。オレはまた聖菜さんに恋をしてしまったようだ。
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