【たいむりーぷ?】『私。未来であなたの奥様やらせてもらってます!』~隣の席の美少女はオレの奥様らしい。きっと新手の詐欺だと思う……たぶん。~

夕姫

文字の大きさ
上 下
58 / 85

58. ブラコンとシスコン

しおりを挟む
58. ブラコンとシスコン



 8月中旬。蝉の声がうるさく響く。夏休みも残り半分。あのあと聖菜さんの誕生日プレゼントはちゃんと買いに行き、普段使い出来そうなアクセサリーを買った。聖菜さんはすごく喜んでいた。

 ちなみに『プレゼントを買うのが先かな。順番が逆だなぁ』と言われたけど、すべては聖菜さんが可愛いすぎるのが悪い。そう。聖菜さんが悪いんだ。

 そして今日は週末行われる花火大会に着ていく浴衣を買いに来ている。怜奈と。

「この色どうかなおにぃ」

「ん?ああ。似合うんじゃないか?」

「適当すぎでしょ!」

「オレにファッションの美学を求めるな」

 その花火大会に今回はバッチリ聖菜さんを誘ったのだ。オレだってできる男なんだとか思っていたら、そのまま話の流れで姉貴とチャッカマンも来ることになり、なぜか怜奈も誘われた。ワケわからん。オレと聖菜さんのデートはどこへ行ったのか。まぁたまにはみんなで出かけてもいいんだけどさ。

「おにぃ。聞きたいことあるんだけどさ……」

「なんだ?」

 なぜか少し恥ずかしそうにモジモジしながら聞いてくる。なんだよ気持ち悪い。

「私とおにぃって……仲良すぎなのかな」

「は?」

「普通の兄妹はこうやって出掛けたりしないのかな?」

「そんなことはないだろ」

「でも。学校でよくみんなから『お兄さんと仲良すぎ』って言われて……ブラコンとか思われてるのかな……」

 確かに頻度は多いかもしれない。コイツも思春期だからブラコンとか周りに思われるのが嫌なんだろうな。でもコイツは最近生意気だから、少し懲らしめてやるか。

「お前ブラコンだろ」

「え!?違うよ!」

「違うのか?だってオレからお前を誘うことはないだろ?」

「え?」

「いつもお前があれしたいこれしたいって言ってくるんだろうに。今日だって浴衣買いたいから付き合ってって言って……」

 オレがそこまで言うと怜奈は顔を赤くして涙目になっている。ありゃ言い過ぎたか?

「じゃあ断ればいいじゃん。1人で行けって言ったらいいじゃん」

「いやお前中学生が1人では危ないだろうが。最寄りのコンビニとかじゃないんだからよ」

「心配してるの?」

「当たり前だろ。お前はオレの妹だろ」

「じゃあおにぃがシスコンじゃん」

「は?」

「自分のこと棚に上げて、私が心配だから一緒に来るんでしょ?おにぃは最初は面倒とか言うけど、結局来てくれるもん!」

「それは兄の優しさだろうが!」

 何言ってんだコイツ?やっぱり反抗期?

「ったく。そんなこと言ってないで早く浴衣を選べよ」

「分かってるよ!」

 怜奈は色々見ているがなかなか決められないようだ。コイツ学級委員のくせに決断力が無さすぎだぞ?

「うーん……」

「そのオレンジで白い花の柄の浴衣でいいんじゃね?お前らしいだろ」

「……なに私らしいって?」

「お前はいつもやかましいくらい元気だ。黒とか藍とかシックなものに背伸びをするなよ。そういう明るい色のほうが似合うと思うしお前のイメージにぴったりだろう」

「……それおにぃのイメージじゃん」

「お前はそのオレと浴衣を買いに来てるんだろ?ほら買ってこい」

「……分かったよ。うるさいなぁ。仕方ないからこれにする」

 うるさい、仕方ないとはなんだ妹よ。まったく生意気で困るぞ本当に。そんなこんなで怜奈の浴衣を買うことは出来た。そして帰り道。夕飯の食材を買いにいくことにした。

「あー。腹減ったな」

「おにぃ。なに食べたい?」

「怜奈に任せる」

「作るのは私なんだからそのくらい意見ちょうだいよ」

「なら選択肢をくれよ選ぶの大変だから」

「じゃあいい……オムライスにする」

「またオムライス?お前、いつも出掛けたあとの夕飯オムライス率が高くないか?この前も食べたけど。別に好きだからさいいけどさ」

「おにぃが好きだからじゃん……」

「なんだって?」

「もう!文句言うなら作らない!」

「すいません。何でもありません」

 そう言って怜奈は頬を膨らませる。本当にめんどくせぇ妹だよな。まぁ……それでもオレにとっては可愛い妹なんだけどな。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

浦島子(うらしまこ)

wawabubu
青春
大阪の淀川べりで、女の人が暴漢に襲われそうになっていることを助けたことから、いい関係に。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

処理中です...