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56. 初めての友達
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56. 初めての友達
オレはなぜか小一時間前に会ったばかりの怜奈のクラスメート、日柳花音さんと共に花屋で聖菜さんへの花を選ぶことになった。
「その方はお兄様にとってどんな方でしょうか?」
「オレの運命の人かな。最高のパートナー。これからの人生ずっと一緒にいると思う。そのくらいの存在。」
「素敵ですね。そういう人と出会えることは奇跡に近いことですから……。人は出会いと別れを繰り返して成長する生き物です。だからこそ、出会った人や物を大切にするべきなんですね。それが自分を変えるきっかけになるかもしれませんし、自分が変わっていく過程を見ることは、かけがえのない宝物となりますから」
そう言った日柳さん。どこか不思議な雰囲気があった。というよりやっぱり詩人みたいだな。
「あ。すみません。本題に参りましょうか。愛を伝えるお花はバラやチューリップなどが定番ではございますが、他にもたくさんございます。例えば……」
そう言って日柳さんは嬉しそうに白い花を指さす。
「これはアザレアというお花です。そしてこの白のアザレアに意味があるのですよ。」
「愛を伝える花なのか?」
「ええ。白いアザレアの花言葉は『あなたに愛されて幸せ』」
「あなたに愛されて幸せ……」
「ぼっちのお兄様のような恋愛に受け身の方が想いを伝えるのであれば、こういう飾らない精一杯の気持ちが込められた素敵なお花のほうがお似合いかと思います」
そう言った日柳さんはとても生き生きしていた。まるで自分のことのように。不思議な子だな。さっき会ったばかりの人間なのに。
「ありがとう。なら、そうしようかな」
「ぜひ。彼女様もお喜びになりますよ」
オレはその白いアザレアを購入することにする。日柳さんの言う通りオレにぴったりのような気がしてきた。花を包んでもらっている間に、オレはもう一輪、花を買うことにした。
「すいません。このヒマワリをもらえますか」
「まぁ。お兄様。ヒマワリは『あなたを見つめてる』という情熱的なお花なのですよ?」
「これは日柳さんにプレゼント」
「え?」
「花言葉は知らなかったけど、さっき会った時の君の瞳、そしてお花について話すその姿。まるでヒマワリのように明るかったからさ」
「私がヒマワリ……?」
「そう見えたって話。友達記念なんだろ?受け取ってくれ」
「私にも友達……お兄様が友達……わ~い。私にも友達ができました~」
なんだ?急にはしゃぎだしたぞ。まぁ喜んでくれたならいいか。日柳さんは終始ニコニコしながら歩いていた。
そしてそのあとは日柳さんを無事に家に連れて帰り、夏休みの自由研究を一生懸命やっていた。さすがに帰りは怜奈に送ってもらったけど。
オレは包んでもらった白いアザレアを見ながら聖菜さんのことを考える。
「花言葉は『あなたに愛されて幸せ』か……。」
本当にオレにぴったりの花だよな。日柳花音さん。本当に不思議な子だったな。そんなことを考えていると怜奈が部屋に入ってくる。
「おにぃさ。日柳さんとなんかあったの?」
「お前。まさかオレが変なことしたとか思ってないよな?」
「さすがにそこは信じてるよ。いやさぁ。なんか学校の時より明るいと言うか、今日の自由研究の時も喋ること多かったから」
「ふっ。またダイヤモンドの原石を磨いちまったようだな」
「キモッ。何それ?」
妬くな妬くな。我が妹よ。
「まぁいいや。それと日柳さんがおにぃに伝えてほしいことがあるって」
「伝えてほしいこと?」
「お花の花言葉はあげる本数でも意味があるものがあって、ヒマワリ一輪は『一目惚れ』。勘違いされないように注意してくださいませ。って言ってたよ」
……ならあの時言って欲しかったのだが?あの天然ちゃん。
「あとおにぃのこと友達って言ってたけど?」
「それは成り行きだろ」
「でも良かったじゃん。初めての友達ができて」
「は?オレにだって友達くらい……」
「春くんは幼馴染み、聖菜さんは彼女。彩音さんと舞子さんは聖菜さんのお友達でしょ?おにぃが話すのってそのくらいで、ほら。いないじゃん」
「いないな。良かった友達出来た~わーい。」
「おにぃ。キモいんだけど」
こうしてオレは不思議な天然ちゃんこと日柳花音という初めての友達が出来たのだった。
オレはなぜか小一時間前に会ったばかりの怜奈のクラスメート、日柳花音さんと共に花屋で聖菜さんへの花を選ぶことになった。
「その方はお兄様にとってどんな方でしょうか?」
「オレの運命の人かな。最高のパートナー。これからの人生ずっと一緒にいると思う。そのくらいの存在。」
「素敵ですね。そういう人と出会えることは奇跡に近いことですから……。人は出会いと別れを繰り返して成長する生き物です。だからこそ、出会った人や物を大切にするべきなんですね。それが自分を変えるきっかけになるかもしれませんし、自分が変わっていく過程を見ることは、かけがえのない宝物となりますから」
そう言った日柳さん。どこか不思議な雰囲気があった。というよりやっぱり詩人みたいだな。
「あ。すみません。本題に参りましょうか。愛を伝えるお花はバラやチューリップなどが定番ではございますが、他にもたくさんございます。例えば……」
そう言って日柳さんは嬉しそうに白い花を指さす。
「これはアザレアというお花です。そしてこの白のアザレアに意味があるのですよ。」
「愛を伝える花なのか?」
「ええ。白いアザレアの花言葉は『あなたに愛されて幸せ』」
「あなたに愛されて幸せ……」
「ぼっちのお兄様のような恋愛に受け身の方が想いを伝えるのであれば、こういう飾らない精一杯の気持ちが込められた素敵なお花のほうがお似合いかと思います」
そう言った日柳さんはとても生き生きしていた。まるで自分のことのように。不思議な子だな。さっき会ったばかりの人間なのに。
「ありがとう。なら、そうしようかな」
「ぜひ。彼女様もお喜びになりますよ」
オレはその白いアザレアを購入することにする。日柳さんの言う通りオレにぴったりのような気がしてきた。花を包んでもらっている間に、オレはもう一輪、花を買うことにした。
「すいません。このヒマワリをもらえますか」
「まぁ。お兄様。ヒマワリは『あなたを見つめてる』という情熱的なお花なのですよ?」
「これは日柳さんにプレゼント」
「え?」
「花言葉は知らなかったけど、さっき会った時の君の瞳、そしてお花について話すその姿。まるでヒマワリのように明るかったからさ」
「私がヒマワリ……?」
「そう見えたって話。友達記念なんだろ?受け取ってくれ」
「私にも友達……お兄様が友達……わ~い。私にも友達ができました~」
なんだ?急にはしゃぎだしたぞ。まぁ喜んでくれたならいいか。日柳さんは終始ニコニコしながら歩いていた。
そしてそのあとは日柳さんを無事に家に連れて帰り、夏休みの自由研究を一生懸命やっていた。さすがに帰りは怜奈に送ってもらったけど。
オレは包んでもらった白いアザレアを見ながら聖菜さんのことを考える。
「花言葉は『あなたに愛されて幸せ』か……。」
本当にオレにぴったりの花だよな。日柳花音さん。本当に不思議な子だったな。そんなことを考えていると怜奈が部屋に入ってくる。
「おにぃさ。日柳さんとなんかあったの?」
「お前。まさかオレが変なことしたとか思ってないよな?」
「さすがにそこは信じてるよ。いやさぁ。なんか学校の時より明るいと言うか、今日の自由研究の時も喋ること多かったから」
「ふっ。またダイヤモンドの原石を磨いちまったようだな」
「キモッ。何それ?」
妬くな妬くな。我が妹よ。
「まぁいいや。それと日柳さんがおにぃに伝えてほしいことがあるって」
「伝えてほしいこと?」
「お花の花言葉はあげる本数でも意味があるものがあって、ヒマワリ一輪は『一目惚れ』。勘違いされないように注意してくださいませ。って言ってたよ」
……ならあの時言って欲しかったのだが?あの天然ちゃん。
「あとおにぃのこと友達って言ってたけど?」
「それは成り行きだろ」
「でも良かったじゃん。初めての友達ができて」
「は?オレにだって友達くらい……」
「春くんは幼馴染み、聖菜さんは彼女。彩音さんと舞子さんは聖菜さんのお友達でしょ?おにぃが話すのってそのくらいで、ほら。いないじゃん」
「いないな。良かった友達出来た~わーい。」
「おにぃ。キモいんだけど」
こうしてオレは不思議な天然ちゃんこと日柳花音という初めての友達が出来たのだった。
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