【たいむりーぷ?】『私。未来であなたの奥様やらせてもらってます!』~隣の席の美少女はオレの奥様らしい。きっと新手の詐欺だと思う……たぶん。~

夕姫

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52. 手はまだ穢れていない

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52. 手はまだ穢れていない



 8月上旬。今日は高校の登校日。まぁ部活のないオレには久しぶりの学校だった。夏休み中に非行に走らないように学校側がチェックする。要は顔合わせみたいなものだな。

 そして今オレは何をしてるかと言うと……

 バッゴーンッ!ものすごい音を立てて、10本のピンが弾けとんだ。そうボウリング場に来ているのだ。

「こんなものかしら」

「おお!すごいじゃん舞子。」

「舞子ちゃんストライクだよ」

「すげぇパワーボールなんだけど……」

 オレの隣にいるのは聖菜さん。あとは西城さんと東雲さんの4人だ。久しぶりの聖菜さんの制服姿はめちゃくちゃ可愛い。すると聖菜さんはオレの視線に気づいたのか可愛く微笑む。

 西城さんの気まぐれにまた巻き込まれる形で、みんなでボウリング場に来ていた。西城さんが『聖菜が来るからどうせ来るでしょ』とかまた言ってたけど……もちろん行くに決まっている。

「舞子。ボウリング上手いじゃん」

「それは神坂君のおかげよ」

「は?オレ?」

「あのピンを神坂君に見立てて思い切り投げたらストライクが結構出るのよ。ストレス発散かしらね。」

「よし。あと30ゲームはやろう。東雲さんのストレス発散しよう!」

「さすがにそんなには投げられないかな優斗君」

 キッとオレを睨み付ける東雲さん。無言だが『聖菜さんから離れろ』的な目線を感じる。

「舞子。いつまでも執着すんなし。いいじゃん聖菜は神坂のこと好きなんだからさ。よし次は聖菜行ってきな!」

「私あまりボウリング得意じゃないんだよね」

「簡単よ聖菜。球を転がしてあそこにいる神坂君を弾き飛ばすの」

 なんかピンがオレになってないか?どうしよう聖菜さんもいつもニコニコしてるけど、東雲さんに負けないくらいのパワーボールとかでピンが弾けとんだら……。

「あはは。聖菜が得意なのは神坂のだけか!」

 まだ昼間だぞ姉貴?下ネタすぎだろ。

「彩音!あなた下品よ!聖菜の手はまだ穢れていないわ!」

「じゃあ口なんじゃね?」

「口!?聖菜!?神坂君!?」

 なんでオレを睨むんだ東雲さんは。しかも敵意剥き出しだし。あと声が大きい。

「ふふ。どうなのかなぁ優斗君?私お上手なのかなぁ?」

「なんでオレに聞くの?」

「今後の参考にと思ってね」

「というかもう否定しないんだね」

「なにをかな?」

「わざと楽しんでるでしょ聖菜さん」

「さて。じゃあ投げてこようかな」

「無視は良くないぞ聖菜さん」

 くっ。この前の冷やし中華のときのやつか。さすがは最強のツッコミ。ボケもいけるのか聖菜さん。

 そして聖菜さんは1投目を投げる。ゴロゴロとゆっくり転がる。しかも両手投げとか可愛すぎるだろ。そのまま真っ直ぐ進んでいくが勢いがないのかピンに当たらず、ガーターになってしまう。

「あはは。聖菜おもしろ!」

「うーん。難しいね」

 2投目は慎重にゆっくりと投げる。今度は真ん中辺りまで進んだが、少し左寄りだったせいかピンが2本しか倒れなかった。

「惜しかったわね聖菜。あとで手取り足取り教えてあげるわ。静かな場所で2人きりで」

「ふふ。今教えてほしいかな舞子ちゃん」

「ほら。次あたしだよ!見てなよ聖菜」

「頑張ってね彩音ちゃん」

「おうよ」

 そして西城さんはボールを持ち構えようとする。……スカート短すぎ。あれじゃパンツ見えるぞ。オレはこっそり近づいて西城さんに伝える。

「西城さん」

「なに神坂?」

「いや……投げたらさ。パンツが見えそうなんだけど……。」

「あはは。なら聖菜の顔見てればいいじゃん!」

「そっちのほうがもっと困るだろ!」

「大丈夫。見せパンだからさ」

 そう言って、西城さんは豪快にボールをぶん投げる。その瞬間にオレの目には見えてしまったのだ。西城さんのパンチラが。……そもそも見せてもいいパンツってなんなんだよ。

「優斗君。こっち見ようか」

「声が低くない聖菜さん?」

「夏風邪かなぁ。安心して、これは絶対うつらないからさ?」

「ごめんなさい」

 オレは聖菜さんの方を向くと、聖菜さんはニコニコしていたが目は笑っていなかった。本当に西城さんには勘弁してほしいものである。
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