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38. 存じてはいる。でも……
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38. 存じてはいる。でも……
そしてそのままカラオケ屋を出て歩いていく。後ろからは西城さんの笑い声と「頑張ってきな神坂!」という応援の声が聞こえた気がする。
しばらく歩くと誰もいない公園があったのでそこに入っていく。
「ここなら大丈夫かな」
「あの少し痛いかな」
「あっごめん」
「ううん。いいよ」
そう言って笑う聖菜さん。やっぱり聖菜さんには笑っていてほしい。そんなことを思っているオレに聖菜さんが真剣な眼差しで見つめてくる。
「ねぇ優斗君」
「なに」
「もしかして今日の見てた?」
「見てしまったが正しいと思うが」
「覗きは感心しないなぁ」
「不可抗力だよ。あれは事故」
そう言って苦笑すると聖菜さんも釣られて笑みを浮かべる。そしてそのままベンチに腰掛ける。
「それで?焦っちゃったのかな?」
「人生最大のピンチだと思ったね」
「ならどうするのかな?」
オレはそのまま聖菜さんのほうを向き、見つめる。
「聖菜さん」
「はい」
静寂がオレと聖菜さんを包む。オレの心臓がバクバク鳴っている。聖菜さんの『うん』ではなく『はい』という返事が更に緊張感を増していく。言葉が上手く出てこない。それでもオレは……。
「聖菜さんのことが好きなんだ。オレと付き合ってほしい!」
言えた。ずっと伝えたかった言葉を。オレの気持ちを。そして少しだけ間を空けてから聖菜さんは口を開く。
「……はい」
たった一言。それでも横にいる聖菜さんの顔はオレと同じように晴れやかに見えた。
「ふふ。優斗君はいつも遅いなぁ?」
「恋愛弱者なもので」
「でも良かったね?今ならまだ私の処女がもらえるよ?」
そう悪戯っぽく微笑む聖菜さん。それが目的ではないし、別に疑っていたわけじゃないけど、まだ処女なんだというどこか安心感もあった。
「それはオレが貰えるでオッケー?」
「今ならね」
「そりゃ大切にしないとな」
「それは私のセリフでしょ」
「もらう側も気持ちは大事なんだよ」
そしてオレは聖菜さんの肩を抱き寄せキスをする。4回目の触れ合う唇。やっぱり柔らかい。温かくて心地良い。ゆっくりと離すと聖菜さんは照れくさそうにしている。
「……ここ外だけどなぁ?」
「なら拒んでほしいかな。今は理性警察も忙しくて出払っているからさ」
「拒む理由がないかな」
「その言い方はズルいよ聖菜さん」
「だって嬉しいもん」
そしていつものように可愛い笑顔をオレに向ける聖菜さん。本当に幸せだと思う。
「聖菜さん」
「なに?」
「好きだ」
「私も好きだよ。初めからね」
爽やかな初夏の風が吹き、葉桜が揺れている。桜が咲き誇る季節に出会ったオレと聖菜さん。そして聖菜さんはその先の未来のオレのことを知っている……。
でもそんなことは関係ない。
聖菜さんは風で乱れた黒髪を耳にかけながらオレを見つめ、あの時と同じ言葉をオレに投げ掛ける。
「……実は私ね……『タイムリープ』してるの。将来は君の奥様やらしてもらってます。……ご存じない?」
「存じてはいる。でももう関係ないかな」
「え?」
「だってオレは今の聖菜さんが好きだから。そしてきっとこの先も好きでいる自信があるから」
「ふふ。高宮聖菜検定はとりあえずギリギリ合格にしてあげよう!感謝したまえ優斗君!」
そう言ってそのままオレに抱きついてくる聖菜さん。まったく……ここは外なんだけどな。
こうしてオレと聖菜さんは恋人同士になることが出来たのだった。
そしてそのままカラオケ屋を出て歩いていく。後ろからは西城さんの笑い声と「頑張ってきな神坂!」という応援の声が聞こえた気がする。
しばらく歩くと誰もいない公園があったのでそこに入っていく。
「ここなら大丈夫かな」
「あの少し痛いかな」
「あっごめん」
「ううん。いいよ」
そう言って笑う聖菜さん。やっぱり聖菜さんには笑っていてほしい。そんなことを思っているオレに聖菜さんが真剣な眼差しで見つめてくる。
「ねぇ優斗君」
「なに」
「もしかして今日の見てた?」
「見てしまったが正しいと思うが」
「覗きは感心しないなぁ」
「不可抗力だよ。あれは事故」
そう言って苦笑すると聖菜さんも釣られて笑みを浮かべる。そしてそのままベンチに腰掛ける。
「それで?焦っちゃったのかな?」
「人生最大のピンチだと思ったね」
「ならどうするのかな?」
オレはそのまま聖菜さんのほうを向き、見つめる。
「聖菜さん」
「はい」
静寂がオレと聖菜さんを包む。オレの心臓がバクバク鳴っている。聖菜さんの『うん』ではなく『はい』という返事が更に緊張感を増していく。言葉が上手く出てこない。それでもオレは……。
「聖菜さんのことが好きなんだ。オレと付き合ってほしい!」
言えた。ずっと伝えたかった言葉を。オレの気持ちを。そして少しだけ間を空けてから聖菜さんは口を開く。
「……はい」
たった一言。それでも横にいる聖菜さんの顔はオレと同じように晴れやかに見えた。
「ふふ。優斗君はいつも遅いなぁ?」
「恋愛弱者なもので」
「でも良かったね?今ならまだ私の処女がもらえるよ?」
そう悪戯っぽく微笑む聖菜さん。それが目的ではないし、別に疑っていたわけじゃないけど、まだ処女なんだというどこか安心感もあった。
「それはオレが貰えるでオッケー?」
「今ならね」
「そりゃ大切にしないとな」
「それは私のセリフでしょ」
「もらう側も気持ちは大事なんだよ」
そしてオレは聖菜さんの肩を抱き寄せキスをする。4回目の触れ合う唇。やっぱり柔らかい。温かくて心地良い。ゆっくりと離すと聖菜さんは照れくさそうにしている。
「……ここ外だけどなぁ?」
「なら拒んでほしいかな。今は理性警察も忙しくて出払っているからさ」
「拒む理由がないかな」
「その言い方はズルいよ聖菜さん」
「だって嬉しいもん」
そしていつものように可愛い笑顔をオレに向ける聖菜さん。本当に幸せだと思う。
「聖菜さん」
「なに?」
「好きだ」
「私も好きだよ。初めからね」
爽やかな初夏の風が吹き、葉桜が揺れている。桜が咲き誇る季節に出会ったオレと聖菜さん。そして聖菜さんはその先の未来のオレのことを知っている……。
でもそんなことは関係ない。
聖菜さんは風で乱れた黒髪を耳にかけながらオレを見つめ、あの時と同じ言葉をオレに投げ掛ける。
「……実は私ね……『タイムリープ』してるの。将来は君の奥様やらしてもらってます。……ご存じない?」
「存じてはいる。でももう関係ないかな」
「え?」
「だってオレは今の聖菜さんが好きだから。そしてきっとこの先も好きでいる自信があるから」
「ふふ。高宮聖菜検定はとりあえずギリギリ合格にしてあげよう!感謝したまえ優斗君!」
そう言ってそのままオレに抱きついてくる聖菜さん。まったく……ここは外なんだけどな。
こうしてオレと聖菜さんは恋人同士になることが出来たのだった。
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