【たいむりーぷ?】『私。未来であなたの奥様やらせてもらってます!』~隣の席の美少女はオレの奥様らしい。きっと新手の詐欺だと思う……たぶん。~

夕姫

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32. 一番好きだね ~聖菜視点~

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32. 一番好きだね ~聖菜視点~



 私は今。優斗君の家に来ている。そして目の前には怜奈ちゃん。さっき優斗君からメッセージがきた。怜奈ちゃんをお願いと。一応そこは空気を読めるんだぁとか感心している。あとは妹想いの優しい人だなと改めて思った。

「あの。ごめんなさい」

「なんで怜奈ちゃんが謝るのかな」

「だって……おにぃと付き合ってないんですよね?」

「付き合ってはないね」

「迷惑でしたか?」

「私も今日は優斗君と一緒にいようと思っていたから平気だよ」

 そう。優斗君は何も言わないけど今日は大切な日だ。だから一緒にいたかった。そして怜奈ちゃんはそんな優斗君のために私を呼んだ。怜奈ちゃんもお兄さん想いの優しい妹ちゃんだ。

「えっと……」

「あ、ごめんね。それで私は何をすればいいのかな?」

「聖菜さん。お料理得意だと思って、その……」

「ふむふむ。ケーキを作ればいいのかな?」

「はい。私は簡単な料理しか出来ないから……お願いできますか!」

「うん。任せておいてよ」

 今日は優斗君の誕生日。なぜ私に何も言ってくれないのか少し残念な気持ちはあるけど仕方ない。それが優斗君だから。

 怜奈ちゃんは冷蔵庫にある材料を取り出してテーブルの上に並べる。なるほど。誕生日と言えばやっぱりこれだよね。

 きっと怜奈ちゃんは私と優斗君が一緒にいるようにしてくれたんだろう。祝いたい気持ちはあるけど、優斗君には今までそういう人がいなかったから自分が邪魔になる。だからどうしたらいいか分からなかった。なんて健気なんだ。可愛いし本当に良い子すぎる。

「怜奈ちゃんはどんなケーキを作りたいの?」

「おにぃってあんまり甘いもの食べないのでシンプルなやつで大丈夫です」

「そっか。じゃあ私が色々と教えてあげるね。……お義姉さんに任せなさい!」

「はい!よろしくお願いします!」

 それから1時間後。ケーキは完成する。ついでに誕生日会用の料理も作った。私は優斗君にメッセージを送っておいたので、後は優斗君の帰りを待つだけだけだ。その間少しだけ怜奈ちゃん……未来の義妹と話しをしようかな。

「怜奈ちゃんは好きな人いるの?」

「へっ!?いきなりどうしたんですか!?」

「うーん?ちょっと聞いてみたくなってね」

「いますよ。あ。おにぃには内緒にしてください」

「うん。分かった」

 怜奈ちゃんは顔を赤くしてモジモジしながら話し始める。この反応を見るとまだ片思いみたいだ。それにしても怜奈ちゃんみたいな女の子が恋をしている姿はとても絵になるなぁと思う。

「聖菜さんは……おにぃのこと好きなんですか?」

「好きだよ」

「一番ですか?」

「うん。一番好きだね」

「そっか。良かった」

「もしかして心配してたのかな?」

「あっいや!その……おにぃは全然カッコ良くないし、冴えないし、聖菜さんみたいな可愛い人なんかの相手が務まると思わないし、それから……」

「怜奈ちゃん。ストップ。それ以上言われると優斗君ここにいたら泣いちゃうよ?」

 優斗君は確かに見た目はあまりカッコ良くはないかもしれない。だけど中身は凄く素敵な男の子だ。いつも私のことを気にかけてくれる優しさもある。私はそんな彼が大好きだ。

「ねぇ怜奈ちゃん。今のは優斗君には内緒だよ?」

「……はい。聖菜さんがお姉さんだったらなぁ……」

「……そうなるかもね」

「え?」

「ううん。なんでもない。そろそろ優斗君が帰ってくるかな」

「……おにぃ怒ってるかな」

「怒ってるというか心配してるんじゃない」

「……」

「大丈夫。優斗君なら許してくれるよ。私は怜奈ちゃんと同じくらい優斗君のこと理解してるつもりだからさ」

「……はい!」

 そう私に笑顔を見せる。すると玄関が開く音が聞こえてくる。怜奈ちゃんは慌てていた。その姿を見て思わず笑ってしまう。優斗君にそっくり。本当に仲の良い兄妹だと微笑ましくあるのでした。
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