32 / 85
32. 一番好きだね ~聖菜視点~
しおりを挟む
32. 一番好きだね ~聖菜視点~
私は今。優斗君の家に来ている。そして目の前には怜奈ちゃん。さっき優斗君からメッセージがきた。怜奈ちゃんをお願いと。一応そこは空気を読めるんだぁとか感心している。あとは妹想いの優しい人だなと改めて思った。
「あの。ごめんなさい」
「なんで怜奈ちゃんが謝るのかな」
「だって……おにぃと付き合ってないんですよね?」
「付き合ってはないね」
「迷惑でしたか?」
「私も今日は優斗君と一緒にいようと思っていたから平気だよ」
そう。優斗君は何も言わないけど今日は大切な日だ。だから一緒にいたかった。そして怜奈ちゃんはそんな優斗君のために私を呼んだ。怜奈ちゃんもお兄さん想いの優しい妹ちゃんだ。
「えっと……」
「あ、ごめんね。それで私は何をすればいいのかな?」
「聖菜さん。お料理得意だと思って、その……」
「ふむふむ。ケーキを作ればいいのかな?」
「はい。私は簡単な料理しか出来ないから……お願いできますか!」
「うん。任せておいてよ」
今日は優斗君の誕生日。なぜ私に何も言ってくれないのか少し残念な気持ちはあるけど仕方ない。それが優斗君だから。
怜奈ちゃんは冷蔵庫にある材料を取り出してテーブルの上に並べる。なるほど。誕生日と言えばやっぱりこれだよね。
きっと怜奈ちゃんは私と優斗君が一緒にいるようにしてくれたんだろう。祝いたい気持ちはあるけど、優斗君には今までそういう人がいなかったから自分が邪魔になる。だからどうしたらいいか分からなかった。なんて健気なんだ。可愛いし本当に良い子すぎる。
「怜奈ちゃんはどんなケーキを作りたいの?」
「おにぃってあんまり甘いもの食べないのでシンプルなやつで大丈夫です」
「そっか。じゃあ私が色々と教えてあげるね。……お義姉さんに任せなさい!」
「はい!よろしくお願いします!」
それから1時間後。ケーキは完成する。ついでに誕生日会用の料理も作った。私は優斗君にメッセージを送っておいたので、後は優斗君の帰りを待つだけだけだ。その間少しだけ怜奈ちゃん……未来の義妹と話しをしようかな。
「怜奈ちゃんは好きな人いるの?」
「へっ!?いきなりどうしたんですか!?」
「うーん?ちょっと聞いてみたくなってね」
「いますよ。あ。おにぃには内緒にしてください」
「うん。分かった」
怜奈ちゃんは顔を赤くしてモジモジしながら話し始める。この反応を見るとまだ片思いみたいだ。それにしても怜奈ちゃんみたいな女の子が恋をしている姿はとても絵になるなぁと思う。
「聖菜さんは……おにぃのこと好きなんですか?」
「好きだよ」
「一番ですか?」
「うん。一番好きだね」
「そっか。良かった」
「もしかして心配してたのかな?」
「あっいや!その……おにぃは全然カッコ良くないし、冴えないし、聖菜さんみたいな可愛い人なんかの相手が務まると思わないし、それから……」
「怜奈ちゃん。ストップ。それ以上言われると優斗君ここにいたら泣いちゃうよ?」
優斗君は確かに見た目はあまりカッコ良くはないかもしれない。だけど中身は凄く素敵な男の子だ。いつも私のことを気にかけてくれる優しさもある。私はそんな彼が大好きだ。
「ねぇ怜奈ちゃん。今のは優斗君には内緒だよ?」
「……はい。聖菜さんがお姉さんだったらなぁ……」
「……そうなるかもね」
「え?」
「ううん。なんでもない。そろそろ優斗君が帰ってくるかな」
「……おにぃ怒ってるかな」
「怒ってるというか心配してるんじゃない」
「……」
「大丈夫。優斗君なら許してくれるよ。私は怜奈ちゃんと同じくらい優斗君のこと理解してるつもりだからさ」
「……はい!」
そう私に笑顔を見せる。すると玄関が開く音が聞こえてくる。怜奈ちゃんは慌てていた。その姿を見て思わず笑ってしまう。優斗君にそっくり。本当に仲の良い兄妹だと微笑ましくあるのでした。
私は今。優斗君の家に来ている。そして目の前には怜奈ちゃん。さっき優斗君からメッセージがきた。怜奈ちゃんをお願いと。一応そこは空気を読めるんだぁとか感心している。あとは妹想いの優しい人だなと改めて思った。
「あの。ごめんなさい」
「なんで怜奈ちゃんが謝るのかな」
「だって……おにぃと付き合ってないんですよね?」
「付き合ってはないね」
「迷惑でしたか?」
「私も今日は優斗君と一緒にいようと思っていたから平気だよ」
そう。優斗君は何も言わないけど今日は大切な日だ。だから一緒にいたかった。そして怜奈ちゃんはそんな優斗君のために私を呼んだ。怜奈ちゃんもお兄さん想いの優しい妹ちゃんだ。
「えっと……」
「あ、ごめんね。それで私は何をすればいいのかな?」
「聖菜さん。お料理得意だと思って、その……」
「ふむふむ。ケーキを作ればいいのかな?」
「はい。私は簡単な料理しか出来ないから……お願いできますか!」
「うん。任せておいてよ」
今日は優斗君の誕生日。なぜ私に何も言ってくれないのか少し残念な気持ちはあるけど仕方ない。それが優斗君だから。
怜奈ちゃんは冷蔵庫にある材料を取り出してテーブルの上に並べる。なるほど。誕生日と言えばやっぱりこれだよね。
きっと怜奈ちゃんは私と優斗君が一緒にいるようにしてくれたんだろう。祝いたい気持ちはあるけど、優斗君には今までそういう人がいなかったから自分が邪魔になる。だからどうしたらいいか分からなかった。なんて健気なんだ。可愛いし本当に良い子すぎる。
「怜奈ちゃんはどんなケーキを作りたいの?」
「おにぃってあんまり甘いもの食べないのでシンプルなやつで大丈夫です」
「そっか。じゃあ私が色々と教えてあげるね。……お義姉さんに任せなさい!」
「はい!よろしくお願いします!」
それから1時間後。ケーキは完成する。ついでに誕生日会用の料理も作った。私は優斗君にメッセージを送っておいたので、後は優斗君の帰りを待つだけだけだ。その間少しだけ怜奈ちゃん……未来の義妹と話しをしようかな。
「怜奈ちゃんは好きな人いるの?」
「へっ!?いきなりどうしたんですか!?」
「うーん?ちょっと聞いてみたくなってね」
「いますよ。あ。おにぃには内緒にしてください」
「うん。分かった」
怜奈ちゃんは顔を赤くしてモジモジしながら話し始める。この反応を見るとまだ片思いみたいだ。それにしても怜奈ちゃんみたいな女の子が恋をしている姿はとても絵になるなぁと思う。
「聖菜さんは……おにぃのこと好きなんですか?」
「好きだよ」
「一番ですか?」
「うん。一番好きだね」
「そっか。良かった」
「もしかして心配してたのかな?」
「あっいや!その……おにぃは全然カッコ良くないし、冴えないし、聖菜さんみたいな可愛い人なんかの相手が務まると思わないし、それから……」
「怜奈ちゃん。ストップ。それ以上言われると優斗君ここにいたら泣いちゃうよ?」
優斗君は確かに見た目はあまりカッコ良くはないかもしれない。だけど中身は凄く素敵な男の子だ。いつも私のことを気にかけてくれる優しさもある。私はそんな彼が大好きだ。
「ねぇ怜奈ちゃん。今のは優斗君には内緒だよ?」
「……はい。聖菜さんがお姉さんだったらなぁ……」
「……そうなるかもね」
「え?」
「ううん。なんでもない。そろそろ優斗君が帰ってくるかな」
「……おにぃ怒ってるかな」
「怒ってるというか心配してるんじゃない」
「……」
「大丈夫。優斗君なら許してくれるよ。私は怜奈ちゃんと同じくらい優斗君のこと理解してるつもりだからさ」
「……はい!」
そう私に笑顔を見せる。すると玄関が開く音が聞こえてくる。怜奈ちゃんは慌てていた。その姿を見て思わず笑ってしまう。優斗君にそっくり。本当に仲の良い兄妹だと微笑ましくあるのでした。
0
お気に入りに追加
225
あなたにおすすめの小説

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。


切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる