30 / 85
30. 妹ちゃんの悩み事
しおりを挟む
30. 妹ちゃんの悩み事
梅雨。それは心まで憂鬱にさせる。雨のせいで外に出たくないという気持ちになる。それでも学校には行かなくてはならない。
「はぁ~……」
ふとため息が出る。しかし、それはオレではなく目の前にいる。妹の怜奈からだった。
「うーん……」
「なんだよ。ウザいんだが?女の子の日か?」
「違うよ!デリカシーないねおにぃは!」
「悪いな。生まれてこの方モテたためしがないんでね」
「……そんなんで良く聖菜さんと仲良くできるね?」
「深い関係だからな」
「やっぱりセフレなんだ。ヤるならホテルに行ってよね」
「おい。お前こそデリカシーねぇよ。てか、なんでオレが聖菜さんとヤったことになってんだよ!」
「はぁ!?まだなの!?おにぃは一回死んだ方がいいよ」
こらこら。実の兄にそんなことを言うなよ。それにしてもどうしたんだ?中学校三年生という難しい年頃だが、こいつは一応オレには懐いているほうだと思ってたんだが……
「なぁ怜奈。悩みがあるなら相談してくれよ。オレにできることがあれば何でもするからさ」
「なんでも?」
「あ、ああ」
「じゃあ……明日聖菜さんを呼んで欲しい」
「は?なんで?」
「……じゃあいい」
「いや……理由言えよ」
「やだ」
なんだこいつ……。オレは怜奈との会話を終え、支度をして学校に向かう。それにしても一体なんだと言うんだ。
まさか男が出来たとか!?いやいや。あいつに限ってそんなことはないだろう。とりあえず聖菜さんに相談してみるか。するとタイミング良く聖菜さんが登校してくる。
「おはよう優斗君」
「おはよう聖菜さん。少しいい?」
「熱烈な愛の言葉をくれるのかな」
「それはまた今度ね。明日予定ある?良かったらオレの家に来てくれない?」
「デリバリーかな」
「常連なのでサービスしてね」
「無償の愛をあげてるんだけどな?足りないかなぁ?」
「人間とは欲深い生き物だからさ」
とかふざけるのもほどほどにして、オレは今朝の怜奈との話を聖菜さんにする。
「というわけなんだよ」
「うん。明日でしょ?私も優斗君に会いたかったから良かった」
可愛いすぎる。抱きしめたい。もう怜奈とか放っておきたい……。
「心当たりがないんだよな。一応家族だし心配だよな」
「心当たりがない?本当に?」
「ないよ。本当に」
「優斗君は私がおあずけしたから、我慢できなくなって怜奈ちゃんのことイヤらしい目で見たとか?」
「聖菜さん。ドラマとか漫画とか見すぎだよ。妹だよ?」
「妹だね」
「あり得ないぞ」
「私。信じてるからね」
それは疑ってる人の言葉なんだよな……。まぁとりあえず聖菜さんが来てくれるみたいだし。良かった。
そして学校が終わり、家に帰る。怜奈は友達と遊びに行くみたいで、まだ帰ってきてなかった。そのままオレはリビングのソファで横になると、うとうととしてしまう。
「おにぃ」
「……ん……んん……?」
オレは誰かの声を聞き、目が覚める。時計を見ると1時間くらい寝ていたようだ。
「こんなところで寝たら風邪引くよ」
「……あ、ああ。ありがとう……」
オレは体を起こしながら、隣にいる怜奈を見る。
「……あ、あれ?なんか用事があったんじゃ……」
「ないよ」
「そ、そうか……」
沈黙が流れる。いつもならここで『じゃ、じゃあオレ部屋に戻るわ』と言って立ち去るのだが、今日はなぜかそれができない。
「お、お茶でも飲むか?それともコーヒーとか……」
「いらない」
「じ、じゃあオレの部屋行くか?」
「なんで?」
「えっと……ほら。ゲームでもするか?」
「しない」
「ええと……明日聖菜さん来てくれるってさ」
「……分かった」
そう言うと怜奈は自分の部屋に戻っていく。ダメだ。どうしたらいいんだ?怜奈の考えていることがわからない。オレはそのまま何もできずに呆然としていたのだった。
梅雨。それは心まで憂鬱にさせる。雨のせいで外に出たくないという気持ちになる。それでも学校には行かなくてはならない。
「はぁ~……」
ふとため息が出る。しかし、それはオレではなく目の前にいる。妹の怜奈からだった。
「うーん……」
「なんだよ。ウザいんだが?女の子の日か?」
「違うよ!デリカシーないねおにぃは!」
「悪いな。生まれてこの方モテたためしがないんでね」
「……そんなんで良く聖菜さんと仲良くできるね?」
「深い関係だからな」
「やっぱりセフレなんだ。ヤるならホテルに行ってよね」
「おい。お前こそデリカシーねぇよ。てか、なんでオレが聖菜さんとヤったことになってんだよ!」
「はぁ!?まだなの!?おにぃは一回死んだ方がいいよ」
こらこら。実の兄にそんなことを言うなよ。それにしてもどうしたんだ?中学校三年生という難しい年頃だが、こいつは一応オレには懐いているほうだと思ってたんだが……
「なぁ怜奈。悩みがあるなら相談してくれよ。オレにできることがあれば何でもするからさ」
「なんでも?」
「あ、ああ」
「じゃあ……明日聖菜さんを呼んで欲しい」
「は?なんで?」
「……じゃあいい」
「いや……理由言えよ」
「やだ」
なんだこいつ……。オレは怜奈との会話を終え、支度をして学校に向かう。それにしても一体なんだと言うんだ。
まさか男が出来たとか!?いやいや。あいつに限ってそんなことはないだろう。とりあえず聖菜さんに相談してみるか。するとタイミング良く聖菜さんが登校してくる。
「おはよう優斗君」
「おはよう聖菜さん。少しいい?」
「熱烈な愛の言葉をくれるのかな」
「それはまた今度ね。明日予定ある?良かったらオレの家に来てくれない?」
「デリバリーかな」
「常連なのでサービスしてね」
「無償の愛をあげてるんだけどな?足りないかなぁ?」
「人間とは欲深い生き物だからさ」
とかふざけるのもほどほどにして、オレは今朝の怜奈との話を聖菜さんにする。
「というわけなんだよ」
「うん。明日でしょ?私も優斗君に会いたかったから良かった」
可愛いすぎる。抱きしめたい。もう怜奈とか放っておきたい……。
「心当たりがないんだよな。一応家族だし心配だよな」
「心当たりがない?本当に?」
「ないよ。本当に」
「優斗君は私がおあずけしたから、我慢できなくなって怜奈ちゃんのことイヤらしい目で見たとか?」
「聖菜さん。ドラマとか漫画とか見すぎだよ。妹だよ?」
「妹だね」
「あり得ないぞ」
「私。信じてるからね」
それは疑ってる人の言葉なんだよな……。まぁとりあえず聖菜さんが来てくれるみたいだし。良かった。
そして学校が終わり、家に帰る。怜奈は友達と遊びに行くみたいで、まだ帰ってきてなかった。そのままオレはリビングのソファで横になると、うとうととしてしまう。
「おにぃ」
「……ん……んん……?」
オレは誰かの声を聞き、目が覚める。時計を見ると1時間くらい寝ていたようだ。
「こんなところで寝たら風邪引くよ」
「……あ、ああ。ありがとう……」
オレは体を起こしながら、隣にいる怜奈を見る。
「……あ、あれ?なんか用事があったんじゃ……」
「ないよ」
「そ、そうか……」
沈黙が流れる。いつもならここで『じゃ、じゃあオレ部屋に戻るわ』と言って立ち去るのだが、今日はなぜかそれができない。
「お、お茶でも飲むか?それともコーヒーとか……」
「いらない」
「じ、じゃあオレの部屋行くか?」
「なんで?」
「えっと……ほら。ゲームでもするか?」
「しない」
「ええと……明日聖菜さん来てくれるってさ」
「……分かった」
そう言うと怜奈は自分の部屋に戻っていく。ダメだ。どうしたらいいんだ?怜奈の考えていることがわからない。オレはそのまま何もできずに呆然としていたのだった。
0
お気に入りに追加
225
あなたにおすすめの小説


切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる