【たいむりーぷ?】『私。未来であなたの奥様やらせてもらってます!』~隣の席の美少女はオレの奥様らしい。きっと新手の詐欺だと思う……たぶん。~

夕姫

文字の大きさ
上 下
27 / 85

27. 幸せな時間

しおりを挟む
27. 幸せな時間



 その後リビングに戻ると聖菜さんの姿はなく、部屋に行くとベッドの上で座ってスマホをいじっていた。

「なにしてんの?」

「メッセージを送ってるんだよ」

「そっか」

 オレがそう言うと聖菜さんは顔をあげ、微笑みながらオレに言う。

「あれあれ?もしかして気になるのかな?」

「まぁ多少は」

「愛しの彼とやり取りしてるかもね」

「おかしいな。オレのスマホ電源落ちてたかな?」

「じゃあ愛しの彼じゃないかもね」

「嫉妬心を煽ると、オレもメンヘラになるよ」

「ふふ。それは困るなぁ」

 聖菜さんはまたクスクスと笑う。なんか今日の聖菜さんはいつもより表情豊かというか、生き生きしているように見える。

 そんなことを思いながら、オレは部屋のソファーに腰かける。すると聖菜さんがオレの隣に来て、肩を寄せてきた。いや……近いんだけど。

 そして、オレの顔を覗き込むように見て、笑顔で言う。

「ねぇ……今日は一緒に寝よう?」

「……へっ?」

 聖菜さんが急に変なことを言い出すものだから驚いてしまう。オレの反応を見て聖菜さんは楽しげにしていた。

「私、今日は一人で寝たくない気分かも」

「いやオレは床で寝ますよ」

「じゃあ私も。一緒じゃダメかな?」

「……楽しんでるでしょ」

「ううん。本心だよ。私、自分に正直に生きてるからね」

「どこが?いつもオレをからかってるでしょ?」

「あれはからかってるんじゃなくて……愛だよ?」

 そう言って聖菜さんはニコニコしている。やっぱり聖菜さんには敵わないし、ズルい。

「……分かった」

「ずいぶん素直だね」

「どうせ別々に寝ても聖菜さんはオレの隣にくるでしょ?」

「よくご存じで」

 いつものオレなら困るところだが、今日は違う。そういう流れがくれば、オレだって男として覚悟を決めるしかない。誰かに聖菜さんの初めてを奪われるくらいなら、オレが貰う!

 こうしてオレたちは同じベッドで寝ることになった。とはいえ緊張する。でも隣にいる聖菜さんの体温が伝わってきて温かい。

「ねぇ優斗君」

「なんだ」

「手を握ってくれない?」

「いいけど」

 オレは右手を聖菜さんの方に差し出す。聖菜さんも左手を差し出しオレの手を握る。聖菜さんの温もりが手に伝わってくる。

「ドキドキしてるね」

「そりゃあ……な」

「私はもっとドキドキしてるよ」

 聖菜さんは握っている手を離すと、今度は身体を密着させてきた。柔らかい感触がオレに伝わる。

「ちょっ……」

 そして、オレの首に両手を回し抱き着いてきた。心臓がバクバク言っているのが分かる。このままだとオレの心音が聞こえてしまう。

「あの……柔らかいものが当たってるんだけどさ」

「当ててるんだよ。触ってもいいよ?」

「いや……そんなこと言われると余計意識しちゃうんですが……」

 聖菜さんの吐息と囁く声が耳元で聞こえてエロい。もうオレの理性は限界を迎えていた。

「……おや?」

「これは生理現象だから」

「つまり欲情していると」

「……まぁ……そうとも言う」

「ふふ。でもごめん優斗君。今日は女の子の日なんだ」

 それを聞いてオレはほっとしたような残念な気持ちになった。

「もしかして期待したかな?」

「かなりね」

「最近素直だね。何か気持ちの変化があったのかな?」

「きっとこうなったのは、聖菜さんのせいだろうな。いつでも聖菜さんのことばかり考えてるし。……嫉妬もするようになったしな」

 すると聖菜さんはオレの耳元でこう言った。

「そっか……なら責任とらないとね?」

「聖菜さん?」

「大丈夫。私は結構尽くすタイプなんだからね旦那様?」

 そのまま聖菜さんは布団に潜っていく。そのあとオレは今まで味わったことのない幸福感を味わって眠りについた。

 ――――朝起きると、目の前に可愛い顔が見えた。オレの胸に顔を埋めている。とりあえず起き上がろうとすると、オレの胸板に顔を押し付けられていて動けない。

「えっと……おはようございます」

「ん。おはよう」

「とりあえず横にズレたいのですが」

「んー。もう少しだけこのままいさせて」

 そう言いながら、さらに強く押し付けられる。聖菜さんの身体が押し付けられると、その柔らかい胸の感触が伝わってきて、また興奮してしまう。

「……おやおや?」

「完全不可抗力だよ。朝だから」

「それはズルいなぁ」

「いつもズルいのは聖菜さんでしょ」

「女は少しズルいほうが可愛いから」

 聖菜さんはクスクスと笑う。こんな可愛い姿はオレ以外の誰にも見せたくない。そんなことを思いながら、オレはこの幸せな時間を過ごすのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

浦島子(うらしまこ)

wawabubu
青春
大阪の淀川べりで、女の人が暴漢に襲われそうになっていることを助けたことから、いい関係に。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

処理中です...