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21. 高宮聖菜検定
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21. 高宮聖菜検定
あれから2週間。世間は4月の終わりを迎えGWになる。あの初デートからオレと聖菜さんはいつも通りの関係を築けていた。周りから見れば仲の良い友達といったところだろうな。
でもオレと聖菜さんはもっと深い『運命的な何か』という関係なんだ。だから焦ることはしない。
聖菜さんが本当に『タイムリープ』していて話が本当ならオレは聖菜さんの旦那様になるはずだからな。
「何ニヤニヤしてんの神坂?」
「姉貴」
「誰が姉貴だし。そこのホウキ貸してくんない」
「おう」
オレは今、姉貴こと西城さんと共に社会準備室を掃除している。あの時は聖菜さんを強引にここに連れ出したのも今では懐かしい思い出だ。
「そう言えば神坂。GWさ聖菜と遊ぶの?」
「いや約束はしてないよ」
「じゃあ聖菜借りていい?」
「借りていいも何も聖菜さんはオレの彼女じゃないし」
「でもヤったんでしょ?」
「ヤってないけど」
「うわあ……そんなんじゃ誰かに聖菜取られるけど?人気あるんだからね聖菜」
……確かに聖菜さんは可愛いし、密かに狙っている男子もいる。しかし、将来の旦那様はオレのはずだ。
「あのさ神坂。性欲があるのは男だけじゃないし、初体験を早くすませたい女の子だって多いからね?」
「え?」
「だからもし聖菜がそう思ってたら、グズグズしてると他の男が手を出しちゃうかもしれないし、聖菜からいっちゃうかもね?今どきセフレだって多いんだし。聖菜はおとなしそうに見えて案外積極的かもよ?」
聖菜さんに限って、まさか……。でも確かに聖菜さんは……オレのことをからかってるとはいえ、そういうことに積極的だ。それなりに経験はあるけど、まだ処女だって言っていた。それは『タイムリープ』をしているからという意味のはず。それなりがオレだけとは限らないけどさ。
それに良く考えたら、聖菜さんが『タイムリープ』をしていてもオレと再会するのは25歳の時。オレはともかく聖菜さんは色々な男とお付き合いしているかもしれない。最終的にはオレと結婚するとは思いたいけど……。
それとオレは聖菜さんのプライベートのことは何も知らない。住んでいる場所や好きなものや嫌いなもの。ましてや連絡先さえすら知らない。
これは未来が変わってしまうのでは?あまりにもオレが聖菜さんに興味がなさすぎるだろ。
「どした神坂?」
「姉貴~オレどうしたら!」
「きっしょ!だから誰が姉貴だし!」
このままではまずい。何か対策を考えないと。
そして翌日。GW前日。今日で学校もしばらく休みになる。隣の席では聖菜さんが帰る準備をしている。オレは意を決して聖菜さんに話しかける。
「あの聖菜さん」
「ん?」
「良かったら駅まで一緒に帰らないか」
「うん。いいよ」
よし。とりあえず聖菜さんを誘うことには成功したぞ。帰り道。オレと聖菜さんは肩を並べて歩く。
そういえば聖菜さんとこうやって歩くのはこの前の初デートの時以来だ。あれからはずっと学校で話すだけだったからな。
今日はあるミッションがある。それは聖菜さんの連絡先を聞くことだ。というか今まで知らなかったのも不思議な話ではあるけど。
「ねぇ優斗君。少しだけお茶していかない?」
「ああ。いいよ」
「ふふ。ありがとう」
聖菜さんは嬉しそうな顔で笑う。その笑顔に癒されながらも、オレと聖菜さんは駅前のカフェに入った。
「ここに来たかったんだよね」
「へぇ。そうなんだ」
聖菜さんに案内されたのは駅の中にある小さな喫茶店。店にはピアノのBGMが流れており、レトロな雰囲気を感じる。オレと聖菜さんはカウンターに座り、コーヒーと紅茶を注文する。
「明日からGWだね」
「世間は7連休らしいぞ」
「そうみたいだね」
「ご予定は?」
「彩音ちゃんと舞子ちゃんと遊ぶくらいかな。あとは家事だね。一人暮しは大変なのですよ。あっ宅配便頼まないと」
そう言ってスマホを取り出していじり始める聖菜さん。ここがチャンス!と思いオレは口を開く。
「あれ。そう言えばオレ、聖菜さんの連絡先知らないような……」
「うん。聞かれてないね」
「えっと……教えてくれる?」
オレがそう言うと、聖菜さんはジト目で見てくる。
「……遅いなぁ。もう1か月立つけど?」
「……だよな。オレが悪い」
「そんなんじゃ高宮聖菜検定に合格できないよ」
「その検定。オレの人生で一番難しいやつだからな。勉強不足だったよゴメン。」
「ふふ。今回はギリギリだけど。3級は合格にしてあげよう。感謝したまえ」
「ありがたき幸せ」
聖菜さんは微笑みながらオレに連絡先を教えてくれた。家に帰り、スマホの電話帳を見る。そこにはしっかり「高宮聖菜」の文字。遅くなったけどオレは聖菜さんの連絡先を聞くことが出来た。
あれから2週間。世間は4月の終わりを迎えGWになる。あの初デートからオレと聖菜さんはいつも通りの関係を築けていた。周りから見れば仲の良い友達といったところだろうな。
でもオレと聖菜さんはもっと深い『運命的な何か』という関係なんだ。だから焦ることはしない。
聖菜さんが本当に『タイムリープ』していて話が本当ならオレは聖菜さんの旦那様になるはずだからな。
「何ニヤニヤしてんの神坂?」
「姉貴」
「誰が姉貴だし。そこのホウキ貸してくんない」
「おう」
オレは今、姉貴こと西城さんと共に社会準備室を掃除している。あの時は聖菜さんを強引にここに連れ出したのも今では懐かしい思い出だ。
「そう言えば神坂。GWさ聖菜と遊ぶの?」
「いや約束はしてないよ」
「じゃあ聖菜借りていい?」
「借りていいも何も聖菜さんはオレの彼女じゃないし」
「でもヤったんでしょ?」
「ヤってないけど」
「うわあ……そんなんじゃ誰かに聖菜取られるけど?人気あるんだからね聖菜」
……確かに聖菜さんは可愛いし、密かに狙っている男子もいる。しかし、将来の旦那様はオレのはずだ。
「あのさ神坂。性欲があるのは男だけじゃないし、初体験を早くすませたい女の子だって多いからね?」
「え?」
「だからもし聖菜がそう思ってたら、グズグズしてると他の男が手を出しちゃうかもしれないし、聖菜からいっちゃうかもね?今どきセフレだって多いんだし。聖菜はおとなしそうに見えて案外積極的かもよ?」
聖菜さんに限って、まさか……。でも確かに聖菜さんは……オレのことをからかってるとはいえ、そういうことに積極的だ。それなりに経験はあるけど、まだ処女だって言っていた。それは『タイムリープ』をしているからという意味のはず。それなりがオレだけとは限らないけどさ。
それに良く考えたら、聖菜さんが『タイムリープ』をしていてもオレと再会するのは25歳の時。オレはともかく聖菜さんは色々な男とお付き合いしているかもしれない。最終的にはオレと結婚するとは思いたいけど……。
それとオレは聖菜さんのプライベートのことは何も知らない。住んでいる場所や好きなものや嫌いなもの。ましてや連絡先さえすら知らない。
これは未来が変わってしまうのでは?あまりにもオレが聖菜さんに興味がなさすぎるだろ。
「どした神坂?」
「姉貴~オレどうしたら!」
「きっしょ!だから誰が姉貴だし!」
このままではまずい。何か対策を考えないと。
そして翌日。GW前日。今日で学校もしばらく休みになる。隣の席では聖菜さんが帰る準備をしている。オレは意を決して聖菜さんに話しかける。
「あの聖菜さん」
「ん?」
「良かったら駅まで一緒に帰らないか」
「うん。いいよ」
よし。とりあえず聖菜さんを誘うことには成功したぞ。帰り道。オレと聖菜さんは肩を並べて歩く。
そういえば聖菜さんとこうやって歩くのはこの前の初デートの時以来だ。あれからはずっと学校で話すだけだったからな。
今日はあるミッションがある。それは聖菜さんの連絡先を聞くことだ。というか今まで知らなかったのも不思議な話ではあるけど。
「ねぇ優斗君。少しだけお茶していかない?」
「ああ。いいよ」
「ふふ。ありがとう」
聖菜さんは嬉しそうな顔で笑う。その笑顔に癒されながらも、オレと聖菜さんは駅前のカフェに入った。
「ここに来たかったんだよね」
「へぇ。そうなんだ」
聖菜さんに案内されたのは駅の中にある小さな喫茶店。店にはピアノのBGMが流れており、レトロな雰囲気を感じる。オレと聖菜さんはカウンターに座り、コーヒーと紅茶を注文する。
「明日からGWだね」
「世間は7連休らしいぞ」
「そうみたいだね」
「ご予定は?」
「彩音ちゃんと舞子ちゃんと遊ぶくらいかな。あとは家事だね。一人暮しは大変なのですよ。あっ宅配便頼まないと」
そう言ってスマホを取り出していじり始める聖菜さん。ここがチャンス!と思いオレは口を開く。
「あれ。そう言えばオレ、聖菜さんの連絡先知らないような……」
「うん。聞かれてないね」
「えっと……教えてくれる?」
オレがそう言うと、聖菜さんはジト目で見てくる。
「……遅いなぁ。もう1か月立つけど?」
「……だよな。オレが悪い」
「そんなんじゃ高宮聖菜検定に合格できないよ」
「その検定。オレの人生で一番難しいやつだからな。勉強不足だったよゴメン。」
「ふふ。今回はギリギリだけど。3級は合格にしてあげよう。感謝したまえ」
「ありがたき幸せ」
聖菜さんは微笑みながらオレに連絡先を教えてくれた。家に帰り、スマホの電話帳を見る。そこにはしっかり「高宮聖菜」の文字。遅くなったけどオレは聖菜さんの連絡先を聞くことが出来た。
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