【たいむりーぷ?】『私。未来であなたの奥様やらせてもらってます!』~隣の席の美少女はオレの奥様らしい。きっと新手の詐欺だと思う……たぶん。~

夕姫

文字の大きさ
上 下
19 / 85

19. おかげでいい夢見られたよ?

しおりを挟む
19. おかげでいい夢見られたよ?



 そして土曜日。ついに聖菜さんとのデートの日だ。待ち合わせは駅前に10時。のはずなのに、オレは緊張のあまり、まだ9時なのに駅に着く。

「早すぎだよな……」

「おやおや?そこにいるのは私の愛しの旦那様じゃないですか?」

「え?聖菜さん」

 そこには髪型もメイクも服も全ていつもより気合が入っている……気がする聖菜さんがいた。いつもは制服だけど、改めて私服だとまた雰囲気が違う。オレは聖菜さんに見惚れていた。そんなオレを見て聖菜さんはクスクス笑う。

「優斗君。見すぎだよ」

「あ……悪い」

「それにしても早いね」

「思い立ったらすぐ行動するのが持論だからさ」

「なるほど。楽しみで仕方なかったんだね」

「それは聖菜さんもだろ」

「私はすごく楽しみにしてたよ?」

 ……それはズルい。可愛すぎる。オレは聖菜さんの顔を見れず、駅の方を見ていた。すると聖菜さんはオレの手を握ってくる。

「せ、聖菜さん?」

「手を繋ぐくらいはいいでしょ?今日はデートなんだし」

「あ、ああ……」

 今日は手を繋いで歩くのか。オレ……手汗とか大丈夫か?これは慣れるしかないのか?

 そしてオレと聖菜さんは電車に乗って映画館に向かった。

 オレたちが観るのは最近話題になっている恋愛映画である。原作小説は読んだことないが、ドラマ化もされたことあるやつで、なんでも幼馴染同士のラブストーリーらしい。

 チケットを買って、ポップコーンとドリンクを購入してシアターに入る。座席は中央あたりの真ん中辺り。隣同士で座ることになる。

「ふむふむ。優斗君の割にはセンスあるものを選んだね」

「いやオレはセンスの塊だから」

 聖菜さんは恋愛物が好き。という情報は昨日西城さんと東雲さんから聞いている。特にこの映画は聖菜さんが観たいと言っていたらしいし。

 映画が始まってから数十分。お互い映画に集中していたが、物語がクライマックスに差し掛かる頃、突然聖菜さんがオレの肩にもたれかかってきた。

 え?なに?どういう状況?いきなりの出来事で頭がパニックになる。

「すぅー……すぅー……」

 寝てる!?いやいやいやいや!なんで!?なんでオレの隣で!? オレの疑問など知らずに聖菜さんはそのままオレの肩でスヤスヤ眠っている。

 どうしようか。起こすべきだろうか? 起こすにしてもどうやって? オレは横目でチラッと聖菜さんを見る。綺麗な顔立ちだ。まつ毛長いし、唇の形もいい。

 この唇と2回もキスを……そんなことを考えていると、映画の主人公がヒロインの頬に触れて顔を近づけていく。

 それに合わせてオレも無意識に聖菜さんの唇に向かって自分の顔を寄せてしまう。そして軽く唇が触れ、ふと我に返る。

「……っ」

 すると聖菜さんが目を覚ましてしまう。まだ眠そうな聖菜さん。その姿を見てしまったオレは咄嵯に聖菜さんから離れるが、聖菜さんはゆっくりと起き上がりながら言う。

「ごめん寝ちゃった」

「そ、そうだな」

「……でもね。おかげでいい夢見られたよ?」

「へぇ……どんな夢?」

「え?……ふふ。内緒」

 そう言って軽く微笑むと聖菜さんは席を立って、先にシアターを出て行ってしまう。

「……マジかよ」

 オレはその場で頭を抱える。絶対にバレてる。しかも今回は聖菜さんからでもなく、からかわれたわけでもなく、間違いなくオレの意思で聖菜さんにキスをしてしまった……。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

浦島子(うらしまこ)

wawabubu
青春
大阪の淀川べりで、女の人が暴漢に襲われそうになっていることを助けたことから、いい関係に。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

処理中です...