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第3章 最強無敵の英雄譚 ~ロデンブルグ防衛戦~
7. 最強無敵の英雄譚②
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7. 最強無敵の英雄譚②
私はロデンブルグの街の北の入り口に向かう。そこは壮絶なる光景が広がっていた。折れた武器、地面に飛び散る鮮血。その負傷者の数は多く、前線で戦っている騎士たちも疲労の色が見えていた。
「おい状況はどうなっている?」
「隊長!現在、戦況は拮抗しています。敵の残数が多く、こちらの被害も甚大です」
「なるほど……うむ。私は前線に向かう。回復魔法士は回復魔法とポーションで負傷者を救護しろ。重傷者を優先に頼む。」
的確に指示をだすルーベット隊長。私が思っているよりもずっと優秀な指揮官だな。この人は人の名前を覚えるのが苦手なだけだ。
「ということだ。エレン殿。ここは任せるぞ」
「惜しい……分かりました。ルーベット隊長もお気をつけて」
「ふっ……心配には及ばん。では行ってくる!」
そう言ってルーベット隊長は前線に向かっていった。さて、私も仕事をしないと。まずは負傷者の治療からだよね。怪我の度合いによって回復魔法騎士が回復魔法をかけていく。私はポーションでの回復を行うことにした。
何とか間に合った。これが王国特級任務依頼。改めて危険なことを思い知らされる……。ブレイドさんとアティは無事だといいけど……私はそんなことを考えてしまっていた。
◇◇◇
-ロデンブルグ東-
東側の入り口の防衛戦は熾烈を極めた。最初は防衛ラインをあげていたが、今ではギリギリの状態をなんとか保っていた。しかし、それも限界を迎えようとしていた。
騎士団側の戦力は100程度であるが、それに対して魔物の軍勢は軽く1000を超えていたのである。
しかし精鋭部隊と呼ばれるほどの副隊長ロイが率いる騎士団はその差を覆すほどの圧倒的な力があったのだが、それを上回る勢いで魔物が増え続けていたのだ。さらに問題なのは魔物の数が減らないことである。いくら倒しても後から湧いて出てくるのだ。まるで無限に出てくるかのように……
「くそっ!一体何なんだこいつらは!?」
「おい!また来たぞ!」
「キリがねぇぞ!」
ロデンブルグの街の防備は簡単な堀と柵がある程度で、いわゆる城壁のようなものがあるわけではない。最終防衛ラインを超えられれば、もはや魔物の蹂躙を防ぐ術はなく、街は瞬く間に崩壊してしまう。
「副隊長!戦力の3割が消耗しています!なんとかギリギリ持ちこたえるのが精いっぱいで、どんどん防衛ラインが崩されてます!」
「わかっている!救援はまだなのか……このままだと……」
すでに騎士団は満身創痍だった。それでも彼らは戦うことをやめない。それは誇り高き騎士団としての意地であり、彼らの使命なのだから……
しかし騎士団の士気は下がっていく一方であった。このまま戦い続けてもジリ貧になるだけだろう。
もう終わりなのか……?
誰もがそう思い始めた時だった。後方から一瞬で目の前にいるコボルトの軍勢を一振でなぎ倒す、美しい長い金髪の見た目清らかな聖女のような女性が現れたのだ。彼女は次々とその大きな獲物で魔物たちをなぎ倒していく。その様子はまさに無双という言葉が相応しいものだった。
「私はローゼンシャリオのギルド冒険者のアティ=ホワイトロックです!みなさん!まだこれからですよ!戦える人は私に続いてください!防衛ラインを押し上げますよ!」
その言葉を聞いて騎士団の騎士たちは奮起する。そして彼女を中心に再び陣形を組みなおす。
「おお……やるぞ!」
「ローゼンシャリオ騎士団の力見せるぞ!」
「みんなあの嬢ちゃんに続け!」
「「「おおぉー!!!」」」
騎士団は再び戦意を取り戻し、前線を押し上げていく。あれは聖女なのか?突然現れた魔物を倒す姿に副隊長のロイは驚きを隠せなかった。
「あの子は一体……」
「アティのやつ、前に出るなと言っておいたのに。まぁいい。お前が副隊長か?」
「はい。あなたは?」
「話はあとだ。ここはオレとアティが引き受ける。お前は隊列を指示しろ。一気にかたをつける。よし、行くぞ!アティ!」
「はい!ブレイドさん!」
二人は武器を構え、迫りくる魔物たちに向き合う。そして同時に走り出すと一瞬にして眼前にいた魔物たちが吹き飛んだ。
「アティ、いけるか?」
「もちろんです。この程度の敵なら余裕ですね!」
二人が前線を押し上げると魔物たちの勢いが衰えてきた。この機を逃すわけにはいかない。副隊長のロイは号令をかける。
「今だ全軍突撃せよ!我らはローゼンシャリオ騎士団!恐れることなどない!」
『おおお!!』
騎士たちの声が響き渡る。そしてついに魔物の軍勢を撃破しながら進んでいく。騎士団の勢いを止めるものはもはやいない。そのまま前線は押し上がり、遂に防衛ラインを押し上げることに成功した。
そこから先はあっという間だった。魔物たちは次々に倒されていき、一時は10倍近くの数の差があったがそれをひっくり返すことに成功したのである。
「ふぅ……これで一安心だな」
「はい。一時はどうなるかと思いましたけどね」
こうして魔物が大量発生したロデンブルグ東側の入り口は、ブレイドとアティの活躍により魔物の殲滅を続けていくのだった。
私はロデンブルグの街の北の入り口に向かう。そこは壮絶なる光景が広がっていた。折れた武器、地面に飛び散る鮮血。その負傷者の数は多く、前線で戦っている騎士たちも疲労の色が見えていた。
「おい状況はどうなっている?」
「隊長!現在、戦況は拮抗しています。敵の残数が多く、こちらの被害も甚大です」
「なるほど……うむ。私は前線に向かう。回復魔法士は回復魔法とポーションで負傷者を救護しろ。重傷者を優先に頼む。」
的確に指示をだすルーベット隊長。私が思っているよりもずっと優秀な指揮官だな。この人は人の名前を覚えるのが苦手なだけだ。
「ということだ。エレン殿。ここは任せるぞ」
「惜しい……分かりました。ルーベット隊長もお気をつけて」
「ふっ……心配には及ばん。では行ってくる!」
そう言ってルーベット隊長は前線に向かっていった。さて、私も仕事をしないと。まずは負傷者の治療からだよね。怪我の度合いによって回復魔法騎士が回復魔法をかけていく。私はポーションでの回復を行うことにした。
何とか間に合った。これが王国特級任務依頼。改めて危険なことを思い知らされる……。ブレイドさんとアティは無事だといいけど……私はそんなことを考えてしまっていた。
◇◇◇
-ロデンブルグ東-
東側の入り口の防衛戦は熾烈を極めた。最初は防衛ラインをあげていたが、今ではギリギリの状態をなんとか保っていた。しかし、それも限界を迎えようとしていた。
騎士団側の戦力は100程度であるが、それに対して魔物の軍勢は軽く1000を超えていたのである。
しかし精鋭部隊と呼ばれるほどの副隊長ロイが率いる騎士団はその差を覆すほどの圧倒的な力があったのだが、それを上回る勢いで魔物が増え続けていたのだ。さらに問題なのは魔物の数が減らないことである。いくら倒しても後から湧いて出てくるのだ。まるで無限に出てくるかのように……
「くそっ!一体何なんだこいつらは!?」
「おい!また来たぞ!」
「キリがねぇぞ!」
ロデンブルグの街の防備は簡単な堀と柵がある程度で、いわゆる城壁のようなものがあるわけではない。最終防衛ラインを超えられれば、もはや魔物の蹂躙を防ぐ術はなく、街は瞬く間に崩壊してしまう。
「副隊長!戦力の3割が消耗しています!なんとかギリギリ持ちこたえるのが精いっぱいで、どんどん防衛ラインが崩されてます!」
「わかっている!救援はまだなのか……このままだと……」
すでに騎士団は満身創痍だった。それでも彼らは戦うことをやめない。それは誇り高き騎士団としての意地であり、彼らの使命なのだから……
しかし騎士団の士気は下がっていく一方であった。このまま戦い続けてもジリ貧になるだけだろう。
もう終わりなのか……?
誰もがそう思い始めた時だった。後方から一瞬で目の前にいるコボルトの軍勢を一振でなぎ倒す、美しい長い金髪の見た目清らかな聖女のような女性が現れたのだ。彼女は次々とその大きな獲物で魔物たちをなぎ倒していく。その様子はまさに無双という言葉が相応しいものだった。
「私はローゼンシャリオのギルド冒険者のアティ=ホワイトロックです!みなさん!まだこれからですよ!戦える人は私に続いてください!防衛ラインを押し上げますよ!」
その言葉を聞いて騎士団の騎士たちは奮起する。そして彼女を中心に再び陣形を組みなおす。
「おお……やるぞ!」
「ローゼンシャリオ騎士団の力見せるぞ!」
「みんなあの嬢ちゃんに続け!」
「「「おおぉー!!!」」」
騎士団は再び戦意を取り戻し、前線を押し上げていく。あれは聖女なのか?突然現れた魔物を倒す姿に副隊長のロイは驚きを隠せなかった。
「あの子は一体……」
「アティのやつ、前に出るなと言っておいたのに。まぁいい。お前が副隊長か?」
「はい。あなたは?」
「話はあとだ。ここはオレとアティが引き受ける。お前は隊列を指示しろ。一気にかたをつける。よし、行くぞ!アティ!」
「はい!ブレイドさん!」
二人は武器を構え、迫りくる魔物たちに向き合う。そして同時に走り出すと一瞬にして眼前にいた魔物たちが吹き飛んだ。
「アティ、いけるか?」
「もちろんです。この程度の敵なら余裕ですね!」
二人が前線を押し上げると魔物たちの勢いが衰えてきた。この機を逃すわけにはいかない。副隊長のロイは号令をかける。
「今だ全軍突撃せよ!我らはローゼンシャリオ騎士団!恐れることなどない!」
『おおお!!』
騎士たちの声が響き渡る。そしてついに魔物の軍勢を撃破しながら進んでいく。騎士団の勢いを止めるものはもはやいない。そのまま前線は押し上がり、遂に防衛ラインを押し上げることに成功した。
そこから先はあっという間だった。魔物たちは次々に倒されていき、一時は10倍近くの数の差があったがそれをひっくり返すことに成功したのである。
「ふぅ……これで一安心だな」
「はい。一時はどうなるかと思いましたけどね」
こうして魔物が大量発生したロデンブルグ東側の入り口は、ブレイドとアティの活躍により魔物の殲滅を続けていくのだった。
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