【追放29回からの最強宣言!!】ギルドで『便利屋』と呼ばれている私。~嫌われ者同士パーティーを組んだら、なぜか最強無敵になれました~

夕姫

文字の大きさ
上 下
37 / 43
第3章 最強無敵の英雄譚 ~ロデンブルグ防衛戦~

6. 最強無敵の英雄譚①

しおりを挟む
6. 最強無敵の英雄譚①



 私たちを乗せた馬車は今、北にあるロデンブルグへと走らせている。ブレイドさんと話した後、ミーユとアティにも話して王国特級任務依頼を受けることになった。

 改めてギルドの受付で伝えた時、ルナレットさんは少し寂しそうな顔をしていたけど、最後は笑顔で私たちパーティーを送り出してくれた。ルナレットさんのためにも無事で帰らないとね。

 馬車の窓には見渡す限りの山。ロデンブルグは山に囲まれた土地なのだ。だから魔物の襲撃に備えるのは難しい立地で早めの救援要請が出て騎士団は先に向かっているようだった。

「ねぇすごい山ばかりだね!」

「ミーユ。あまりはしゃぐな。遊びじゃないんだぞ危機感を持て」

「だって私はずっとお城にいたんだもん!少しくらい、いいじゃん!」

 ミーユは膨れているがブレイドさんの言うことはもっともだ。王国特級任務依頼。その危険度はかなり高いものだと思う。

「あのそう言えば、ブレイドさんは王国特級任務依頼を受けたことあるんですか?」

 アティはブレイドさんに聞く。ピンポイントで答えたくないことを聞いてる!アティ恐るべし。

「ああ?……ああ……まぁな。王国特級任務依頼は通常のギルドの依頼とは違う。危険を感じたら離脱しろ。いいな?」

「そんな危険なんですね……。エルンさん大丈夫ですか?」

「うん。大丈夫。それくらいは理解してるからさ!」

 そう理解している。誰も危険な目には合わせない。それが私の選んだ道だから。私は改めて決意を固めて目的地であるロデンブルグを目指したのだった。

 ◇◇◇

 -ロデンブルグ-

「ふぅ……着いたー!!」

 ミーユは大きく伸びをしている。ここはロデンブルグの街。山に四方を囲まれた場所で、私たちが来た南の入り口以外には北、東、西の3つの入り口があり、そこからの魔物襲撃を防いでいるらしい。

 馬車は街の中心に止まる。街の中は避難する人で溢れていた。

「あわただしいですね……」

「どうやら、警戒レベルが上がっているようだな」

「ええ!?それじゃこのロデンブルグ危ないってこと!?」

「かもしれんな」

 すると私たちの元に1人の騎士がやってくる。

「すまない。もしかしてローゼンシャリオのギルドの救援の者か?」

「あっはい。エルンです。私たちパーティーもロデンブルグの防衛に来ました」

「おお!助かるぞ!隊長が待っているついてきてくれ」

 私たちはその騎士につれられロデンブルグの街を歩いていく。街は慌ただしく人々が右往左往していた。騎士団も避難をさせているが、混乱を抑えられていないようだった。

「ひどい有様だね……」

「エルン。今は何も考えるな。まずは隊長のルーベットに会って状況を聞くぞ」

 しばらく歩くと大きな広場に出る。そして一軒の大きな屋敷が見える。どうやらあそこを騎士団の拠点としているらしい。

「ここが拠点となる場所だ。隊長はこちらにいる」

 私たちは案内された部屋に入る。すると各々、ルーベット隊長に報告をしているところだった。

「住民の避難に関しては多少混乱はありますが、問題なく進んでいます。」

「西の入り口の魔物は殲滅完了。北の入り口もあらかた倒していますが被害が大きいようでこのままでは被害が拡大します」

「東の入り口に魔物が大量発生!至急応援要請との連絡がロイ副隊長から有り!」

「分かったご苦労。東の入り口には西に配置している騎士団を至急向かわせろ。それまで耐えるようにロイ副隊長に伝えてくれ!北の入り口には私が救援に向かう。空いてる回復魔法士に声をかけろ!それとできる限りポーションを持つように伝えろ!」

 次々と指示を出していくルーベット隊長。その姿はとても凛々しく見えた。

「ここが勝負だ。決して怯むな!ローゼンシャリオ騎士団の名にかけて!」

「「「はっ!」」」

 士気を下げることなく全員を鼓舞する。正に隊長の鑑。私も見習わなければと思う。その時ルーベット隊長が私に気付いて声をかけてくれる。

「おお!エルナ殿来てくれたのか!感謝するぞ!」

 エルンだけどね……。もうルーベット隊長が「エ」を最初に呼んだなら、私と認識することにしよう。うんそれがいい。

「聞かせてもらったが戦況は思わしくないようだな」

「ああ。魔物の数が多すぎる。今はなんとか持ちこたえているが時間の問題かもしれん……。でも最後まで諦めんぞ我がローゼンシャリオ騎士団は。」

「どうしますかブレイドさん?」

「ああ。そうだな……エルンは北の入り口に援護に行け、そしてミーユは住民達の避難を手伝う。オレとアティで東側の魔物討伐に向かう。これでい……」

 するとブレイドさんは突然黙る。きっとあの時のことを思い出したのだろう。シャーリーさんを亡くしてしまったあの日のことを。だから私は言ってあげることにする。これもリーダーの役目だから。

「私も同じ考えでした。やっと私と同じ思考までたどり着きましたか。関心関心」

「ああ?お前に作戦がたてられるわけないだろ。余計な気を使うな。」

「使ってませんけど?私もそれでいいって思 ったんですよ。だからこれは私の作戦!リーダーの私が決めたんだから!」

 私は誇らしげに伝える。ブレイドさんは呆れた顔をしているけど、無視することにする。

「助かるぞエリリ殿。よしなら決まりだ。すぐに向かうぞ!」

 私はルーベット隊長と共に北の入り口の援護だよね。よし頑張らないと!そう思いながら私は扉を出ようとするとブレイドさんに呼び止められる。そしてだけ私に伝える。

「エルン……死ぬなよ」

 その言葉はとても重い。それが痛いくらい分かる。私はそのまま何も言わずに軽く微笑んでから部屋を出る。

 王国特級任務依頼。必ず成功させる。そう気合いを入れ直して私はルーベット隊長の後を追って北の入り口に向かうのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...