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第2章 皇女の行方は何処へ? ~約束のアクアマリン~
11. 約束のアクアマリン ~エピローグ~
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11. 約束のアクアマリン ~エピローグ~
あれから一週間がたった。ミーユはライゼンバッハ帝国に戻ることなく、そのまま私たちのパーティーに在籍をしている。ちなみに私の恐れていた、ライゼンバッハ帝国の軍勢や大砲なんかはさすがに襲って来ることはなかった。まぁ襲ってきても何とかなるはず私の『相殺の調停』のスキルなら。大砲以外はね。
そんなことを考えているとミーユが受付けからシルバーランクの依頼書を持ってくる。そしてそれをテーブルの上に置く。また大量だなぁ。
「よっと。今受けられるシルバーランクの依頼書借りてきたよ!ちゃちゃっと依頼を決めちゃお!」
「ありがとうミーユ」
「次はどんな依頼がいいですかね?」
「えっと私はね……」
私の横ではミーユとアティがそんな話をしながら依頼を選ぼうとしている。そんな様子をブレイドさんは興味無さそうにお酒を飲みながら眺める。なんでこのおじさんはこんなにも興味ないのか?
「あの。一束忘れてますよミーユさん?」
「え?あっサリア」
「まったくあなたは。昔からそういうところは変わらないんですから」
そこに依頼書の束を持ってサリアさんがやってくる。そう。サリアさんは新しくこのローゼンシャリオのギルド受付嬢として働くことになった。しかもクール系美人受付嬢とか周りの冒険者たちからもいきなり人気が出ている。
解せん。なぜ私は『壊し屋』なのか……私だって最強無敵の美少女なのに。するとブレイドさんと目が合い、何も言わないが私の事を見て大きな溜め息をつく。
「あぁ~!ブレイドさん今私のことエッチな目で見た!」
「ああ?見てねぇよ。誰かさんの言葉を借りると、被害妄想じゃないのか?」
「むむ。いい度胸ですね。この最強無敵のギルド冒険者の美少女の私に喧嘩を売るなんて!表に出てください!ブレイドさん!」
「美少女?どこがだよ」
このおじさんは!本当に口が悪いんだから!私がプンスカしているとブレイドさんは呆れたように私を無視する。もう!いいですよーだ!ふんっ!
「それよりサリア。仕事は慣れたのか?」
「はい。おかげ様で」
「ルナレットがすごく仕事が出来るって喜んでたぞ?」
「それなら嬉しい限りですね。皆さん優しい方たちばかりですから。私も助かっています」
クールに淡々と答えるサリアさん。その様子にミーユがなぜか文句を言い始める。
「ねぇサリア。あなたギルド受付嬢なんだからもう少し愛想良くしたほうがいいんじゃない?」
「私はこれが普通ですよ。ミーユさんこそ私に文句なんか言ってないで少しくらい落ち着いたらどうなんですか?もう大人なので」
ん?大人?ミーユって16歳じゃないの?確か前に聞いたときはそんなことを言ってたような気がするんだけど……
「え?ミーユって私やアティより年下ですよね?」
「はい?またまたご冗談を。ミーフィルユ様……いやミーユさんはもう21ですよ立派な大人ですが?エルンさんたちには、そう言ってないのですか?」
「あっ……やばっ」
ミーユを見ると目をそらして口笛を吹き始めた。このピンク……確信犯だな。サバを読んでるよこのピンクは。私は睨みながらミーユに聞く。
「ミーユどういうこと?」
「違うよ!ミーフィルユ皇女様は21歳で、可愛い冒険者のミーユちゃんは16歳なの!分かるよね!?ね!?」
分からない。ミーユは謎理論を私たちに押し付けようとしているようだ。私は深く溜め息をつく。
「とりあえずミーユは後で説教ね。アティもそれでいいかな?」
「はいもちろんです。むしろミーユさんの年齢を知った今の方が怒れる気がします」
「ちょっ待って2人とも!ねぇ助けてブレイド!」
「……オレに振るなよ。大人なら自分で何とかしろ」
ブレイドさんは相変わらずお酒を飲んでいる。まぁこれはいつも通りだから放っておこう。ミーユは頬を膨らませてサリアさんを怒り始める。
「もう!なんで言っちゃうかなぁ~サリアは?空気読めないなぁ~」
「何が空気ですか。だいたいミーユさんはいつも落ち着きがないんですよ。もうちょっとしっかりしたらどうですか?ライゼンバッハにいる時も……」
この2人……相性悪いのだろうか?2人はそのまま言い争いを始めてしまった。騒いでいるのはミーユだけなんだけども。まぁ喧嘩するほど仲が良いとも言うし……私はその様子を微笑ましく思う。
「ふふっ」
「どうしたんですか?エルンさん」
不思議そうに私の顔を見るアティに笑顔を向ける。
「2人が楽しそうだなって思ってさ」
「そうですね」
本当に2人は実の姉妹のように仲がいい。
私はふと2人の胸元を見る。そこにはお揃いのアクアマリンのペンダント。自分をずっと信じてくれた親愛なる人に送られた約束の証。それはきっとこれからもずっと変わらない。
あの時の約束。お互いがお互いを信頼してきた。これからは自由に生きていく。今はまだ小さな微かな光でも、この先いつか強い光になる。それが守られるように願いを込めて、その約束のアクアマリンは青く輝き続けるのだった。
あれから一週間がたった。ミーユはライゼンバッハ帝国に戻ることなく、そのまま私たちのパーティーに在籍をしている。ちなみに私の恐れていた、ライゼンバッハ帝国の軍勢や大砲なんかはさすがに襲って来ることはなかった。まぁ襲ってきても何とかなるはず私の『相殺の調停』のスキルなら。大砲以外はね。
そんなことを考えているとミーユが受付けからシルバーランクの依頼書を持ってくる。そしてそれをテーブルの上に置く。また大量だなぁ。
「よっと。今受けられるシルバーランクの依頼書借りてきたよ!ちゃちゃっと依頼を決めちゃお!」
「ありがとうミーユ」
「次はどんな依頼がいいですかね?」
「えっと私はね……」
私の横ではミーユとアティがそんな話をしながら依頼を選ぼうとしている。そんな様子をブレイドさんは興味無さそうにお酒を飲みながら眺める。なんでこのおじさんはこんなにも興味ないのか?
「あの。一束忘れてますよミーユさん?」
「え?あっサリア」
「まったくあなたは。昔からそういうところは変わらないんですから」
そこに依頼書の束を持ってサリアさんがやってくる。そう。サリアさんは新しくこのローゼンシャリオのギルド受付嬢として働くことになった。しかもクール系美人受付嬢とか周りの冒険者たちからもいきなり人気が出ている。
解せん。なぜ私は『壊し屋』なのか……私だって最強無敵の美少女なのに。するとブレイドさんと目が合い、何も言わないが私の事を見て大きな溜め息をつく。
「あぁ~!ブレイドさん今私のことエッチな目で見た!」
「ああ?見てねぇよ。誰かさんの言葉を借りると、被害妄想じゃないのか?」
「むむ。いい度胸ですね。この最強無敵のギルド冒険者の美少女の私に喧嘩を売るなんて!表に出てください!ブレイドさん!」
「美少女?どこがだよ」
このおじさんは!本当に口が悪いんだから!私がプンスカしているとブレイドさんは呆れたように私を無視する。もう!いいですよーだ!ふんっ!
「それよりサリア。仕事は慣れたのか?」
「はい。おかげ様で」
「ルナレットがすごく仕事が出来るって喜んでたぞ?」
「それなら嬉しい限りですね。皆さん優しい方たちばかりですから。私も助かっています」
クールに淡々と答えるサリアさん。その様子にミーユがなぜか文句を言い始める。
「ねぇサリア。あなたギルド受付嬢なんだからもう少し愛想良くしたほうがいいんじゃない?」
「私はこれが普通ですよ。ミーユさんこそ私に文句なんか言ってないで少しくらい落ち着いたらどうなんですか?もう大人なので」
ん?大人?ミーユって16歳じゃないの?確か前に聞いたときはそんなことを言ってたような気がするんだけど……
「え?ミーユって私やアティより年下ですよね?」
「はい?またまたご冗談を。ミーフィルユ様……いやミーユさんはもう21ですよ立派な大人ですが?エルンさんたちには、そう言ってないのですか?」
「あっ……やばっ」
ミーユを見ると目をそらして口笛を吹き始めた。このピンク……確信犯だな。サバを読んでるよこのピンクは。私は睨みながらミーユに聞く。
「ミーユどういうこと?」
「違うよ!ミーフィルユ皇女様は21歳で、可愛い冒険者のミーユちゃんは16歳なの!分かるよね!?ね!?」
分からない。ミーユは謎理論を私たちに押し付けようとしているようだ。私は深く溜め息をつく。
「とりあえずミーユは後で説教ね。アティもそれでいいかな?」
「はいもちろんです。むしろミーユさんの年齢を知った今の方が怒れる気がします」
「ちょっ待って2人とも!ねぇ助けてブレイド!」
「……オレに振るなよ。大人なら自分で何とかしろ」
ブレイドさんは相変わらずお酒を飲んでいる。まぁこれはいつも通りだから放っておこう。ミーユは頬を膨らませてサリアさんを怒り始める。
「もう!なんで言っちゃうかなぁ~サリアは?空気読めないなぁ~」
「何が空気ですか。だいたいミーユさんはいつも落ち着きがないんですよ。もうちょっとしっかりしたらどうですか?ライゼンバッハにいる時も……」
この2人……相性悪いのだろうか?2人はそのまま言い争いを始めてしまった。騒いでいるのはミーユだけなんだけども。まぁ喧嘩するほど仲が良いとも言うし……私はその様子を微笑ましく思う。
「ふふっ」
「どうしたんですか?エルンさん」
不思議そうに私の顔を見るアティに笑顔を向ける。
「2人が楽しそうだなって思ってさ」
「そうですね」
本当に2人は実の姉妹のように仲がいい。
私はふと2人の胸元を見る。そこにはお揃いのアクアマリンのペンダント。自分をずっと信じてくれた親愛なる人に送られた約束の証。それはきっとこれからもずっと変わらない。
あの時の約束。お互いがお互いを信頼してきた。これからは自由に生きていく。今はまだ小さな微かな光でも、この先いつか強い光になる。それが守られるように願いを込めて、その約束のアクアマリンは青く輝き続けるのだった。
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