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第4章 令嬢と大賢者。ドラゴンの住まう霊峰

1. 誤解?

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1. 誤解?



 こんにちは。大賢者アイリス=フォン=アスタータよ。六魔将マモンを退けたサーシャたちはフランガラン帝国から北にある『カドリー』という小さな村を目指している。

 そこでハリーから譲ってもらった『ミスリル』を加工してもらい私を具現化するための魔法具をマーリンが作ることが目的よ。まぁそれはいいんだけど……

「これで終わりですわ!」

 そう……今は魔物と戦闘中。そしてリズが最後の一匹を斬って倒す。リズの剣捌きは鮮やかで、一撃で仕留めたのだ。

「凄い……さすがリズさん」

「さすがじゃな。あの歳でここまでの腕前とは……才能もあるのかのう?」

「ふふん!当然ですわ!」

 自慢げに胸を張るリズ。それを微笑ましそうに見つめるサーシャとマーリン。というかリズはお姫様よね?なんでこんなに率先して前に出て戦ってるの?

「まぁこの剣もいいのですけど、やっぱりレイピアが一番扱いやすいですわね」

 リズが腰に差してる二本の剣は、レイピアと剣だ。どちらもフランガラン帝国に伝わる名工の作品らしい。フランガラン帝国を出る前にリズに献上されたようだ。

「なんか私の出番が少なくなってますね……」

「そんなことはないですわ。サーシャはあの六魔将を退けたんですもの!その姿はまるで1000年前に世界を救った英雄伝の勇剣王『クロード=リーベル』のように!」

「クロード……さんですか?」

 クロード=リーベル。彼は私とマーリンと同じ1000年前に世界を救った英雄の1人。私が『あの人』と言っているのは彼のことで見た目は赤髪で長身の剣士。剣の腕は確かで、みんなを引っ張るリーダーみたいな存在だったわ。……そして私が少し彼に憧れていたのは内緒の話。

「おお~ずいぶん懐かしい名前が出てきたのう。クロードとケビンの小僧は、勝手に行動したり、金を無駄遣いして、良くエリシャに怒られとったわい」

 ……あなたもねマーリン。というよりすべての原因はほぼあなただったような気もするけどさ。

「それでクロードさんってどんな方だったんですか?」

「うむ。あやつはとにかく強かった。そして仲間思いの熱い男じゃったよ。そうじゃ!アイリスの想い人じゃったな。」

 マーリンはサーシャの腰に差さっている私をチラチラ見ながら大きな声で言った。

 ……草。好きじゃないから、憧れだから、強さに憧れただけだから。

「へぇーそうなんですね。アイリス様の好きな人……ちょっと会ってみたかったですね」

 いや、やめてサーシャ。そんなキラキラした目で私を見ないで。別に私は彼のことなんて好きじゃないし……。

「話を戻すが、間違いなく六魔将のマモンを退けたのはお主じゃサーシャ」

「いや……まだ信じられないんです。私はあの時気を失って……」

 そう言うサーシャ。本人がそう言うなら間違いないのかもしれない。でも、あの時のサーシャはまるでクロードのような剣捌きだった。

「……お主の強い想いが無意識のうちに身体を動かしたんじゃろ」

「強い想いですか?」

 マーリンの言葉に首を傾げるサーシャ。

「あの時のお主はマモンを倒すために無我夢中で戦っていたからのう。その想いが魔力を通して、お主の肉体にも影響を与えたということじゃろう」

「そうなんですかね……?」

 サーシャはまだよく分かっていないようね。まぁ本人も覚えていないんだし、無理もないわよね。でも……本当に不思議な子だわ。サーシャは。

 じゃなくて!私は別に好きじゃないから!このまま誤解されたままだと困るわ!でもこういう時に限ってサーシャは私を腰に差したままだし……必ず誤解を解かないと!

 そんなこんなで砂漠を抜け、街道を歩き続けるとようやく目的地である『カドリー村』が見えてきた。その村は山間の村であり、林業が盛んらしく木で作られた家がたくさんあった。

 ふと奥へ視線を向けると、景色の向こう側には霊峰級の巨大な山々が連なっていた。それはまるで雄大な自然が作り出した芸術品のように美しかった。

「やっと着きましたわね。それでは早速ラオ=シンザに会いに行きましょうか!」

「はい。そうですね」

「うむ。そうするかのう」

 こうしてサーシャたちは目的の『ミスリル』を加工してもらうため、鍛冶屋のラオ=シンザに会いに行くのであった。
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