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第3章 令嬢と大賢者。熱砂舞う王国の闇
10. 嗜む程度
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10. 嗜む程度
サーシャとマーリンはリズことリーゼロッテ様と協力して現国王アルガスを討つことになった。あれから秘密の抜け道を抜け、また灼熱の砂漠を歩いている。
しかし、今は遠くにフランガラン帝国の王都が見えている。目的地が見えているだけでもやはり気分的に違うものね。そして何より、リズの表情が先程よりも明るい。
それにしても一国の王族を説得するんだから本当にサーシャは不思議な子よね。なんかこう……言葉では上手く言えないんだけど、やっぱりサーシャには特別な何かがあるんじゃないかなって思ってしまう。
「少しよろしいかしらマーリン様?」
「なんじゃ?」
「その魔法具を身に付ければ『紅蓮の仔』の力の暴走を抑えれるんですわよね?そしたら私は魔法が使えないのかしら?」
「安心せい。あくまで暴走を抑えるだけじゃ。お主の本来の魔力量や魔法技術などには影響は出ん。じゃが、2度と外すことは出来んぞ。そういうものじゃ」
2度と外せない……オシャレなリングとか腕輪とかならまぁ……って感じかしら。もし変なデザインだったりするとちょっと嫌だけど。
「早く王都に行ってまずはその魔法具の素材を見つけましょう!あとついでに『ミスリル』も」
……ついにサーシャの中で『ミスリル』がついでになってしまった……。私悲しいわよサーシャ。ぴえん。
「さっきの話だとリズさんは魔法が使えるんですか?」
「ええ。炎の精霊魔法が使えますわ。まぁマーリン様には及ばないと思いますが……」
「なるほど。では、リズさんはとりあえず後方支援ということでよろしいですか?」
「なんでも構わないわ。あっちなみに武器は一番細剣……レイピアの扱いが得意ですわね。あとは剣……大剣……双剣、槍、弓、斧……とまぁ大抵のものは扱えますわ」
リズは指を折りながら自慢気に話す。……どんなお姫様なのよこの子。ウェポンマスターじゃない。そんな人見たことないけど……ほらサーシャとマーリンが少し引いてるじゃない。冗談かしら?プリンセスジョークでしょこれ?
「すごいですね……」
「ふふっ。私も王家の血を引いていますから。多少は嗜んでおりますわ」
多少なの?十分すぎるくらい凄いわよ!サーシャが若干苦笑いしてたけど、リズは気にせずに続けた。
それからしばらく歩いていくうちにフランガラン帝国の王都に到着した。ここからは慎重に行かないとね。まずは中に潜入する方法を探さないと。
「ふむ。門番がおるの……どうしたものかのぅ」
「サーシャ、マーリン様こっちですわ」
リズはそう言うと外壁の周りを歩き始める。サーシャとマーリンもその後について行くと、そこには大きな木があった。こんな砂漠地帯に大木?その根元までくるとリズはしゃがみこんで地面の砂を払いながら触っている。
「確かこのあたりに……ありましたわ!」
そこには地下に潜るための隠し扉のようなものが隠されていた。……なんなの?このフランガラン帝国の人は地下が好きなのかしら?
「これは?」
「……私が幼い頃、王国から抜け出した緊急避難用の抜け道ですわ」
「なるほどの。確かにここなら見つからずに王都に入れそうじゃな」
「ええ。急ぎますわよ」
私たちはすぐに地下へと降りて行き、そのまま王都の中に入ることにした。しばらく歩き、地上に出るとどこかの廃屋の中に出たようだ。
廃屋の中は、壁がボロボロで天井も穴だらけだ。人が住んでいる形跡もなく、長い間使われていないような場所だった。
「ここは……?」
「王都の外れの方にある廃屋ですわ。近くには誰もいないはずなので、ここで準備を整えてからアルガスを討つための作戦を考えましょう」
「うむ。ならばサーシャ。お主には魔法具の材料と『ミスリル』を探してきてもらおうかの。あとは今の王都の状況も知っておきたい。ワシは魔法具を作る準備をするぞい」
「分かりました」
確かに今動けるのはサーシャだけ。リズはさすがにバレるのはまずいしね。
「サーシャ1人じゃ危険ですわよ?もし何かあったら……」
「リズさん。私にはアイリス様がいますから大丈夫です!」
サーシャは嬉しそうに私を握りしめながら話す。とりあえずまずは魔法具の材料を探しましょうかね。もちろん『ミスリル』も忘れないでよサーシャ?
サーシャとマーリンはリズことリーゼロッテ様と協力して現国王アルガスを討つことになった。あれから秘密の抜け道を抜け、また灼熱の砂漠を歩いている。
しかし、今は遠くにフランガラン帝国の王都が見えている。目的地が見えているだけでもやはり気分的に違うものね。そして何より、リズの表情が先程よりも明るい。
それにしても一国の王族を説得するんだから本当にサーシャは不思議な子よね。なんかこう……言葉では上手く言えないんだけど、やっぱりサーシャには特別な何かがあるんじゃないかなって思ってしまう。
「少しよろしいかしらマーリン様?」
「なんじゃ?」
「その魔法具を身に付ければ『紅蓮の仔』の力の暴走を抑えれるんですわよね?そしたら私は魔法が使えないのかしら?」
「安心せい。あくまで暴走を抑えるだけじゃ。お主の本来の魔力量や魔法技術などには影響は出ん。じゃが、2度と外すことは出来んぞ。そういうものじゃ」
2度と外せない……オシャレなリングとか腕輪とかならまぁ……って感じかしら。もし変なデザインだったりするとちょっと嫌だけど。
「早く王都に行ってまずはその魔法具の素材を見つけましょう!あとついでに『ミスリル』も」
……ついにサーシャの中で『ミスリル』がついでになってしまった……。私悲しいわよサーシャ。ぴえん。
「さっきの話だとリズさんは魔法が使えるんですか?」
「ええ。炎の精霊魔法が使えますわ。まぁマーリン様には及ばないと思いますが……」
「なるほど。では、リズさんはとりあえず後方支援ということでよろしいですか?」
「なんでも構わないわ。あっちなみに武器は一番細剣……レイピアの扱いが得意ですわね。あとは剣……大剣……双剣、槍、弓、斧……とまぁ大抵のものは扱えますわ」
リズは指を折りながら自慢気に話す。……どんなお姫様なのよこの子。ウェポンマスターじゃない。そんな人見たことないけど……ほらサーシャとマーリンが少し引いてるじゃない。冗談かしら?プリンセスジョークでしょこれ?
「すごいですね……」
「ふふっ。私も王家の血を引いていますから。多少は嗜んでおりますわ」
多少なの?十分すぎるくらい凄いわよ!サーシャが若干苦笑いしてたけど、リズは気にせずに続けた。
それからしばらく歩いていくうちにフランガラン帝国の王都に到着した。ここからは慎重に行かないとね。まずは中に潜入する方法を探さないと。
「ふむ。門番がおるの……どうしたものかのぅ」
「サーシャ、マーリン様こっちですわ」
リズはそう言うと外壁の周りを歩き始める。サーシャとマーリンもその後について行くと、そこには大きな木があった。こんな砂漠地帯に大木?その根元までくるとリズはしゃがみこんで地面の砂を払いながら触っている。
「確かこのあたりに……ありましたわ!」
そこには地下に潜るための隠し扉のようなものが隠されていた。……なんなの?このフランガラン帝国の人は地下が好きなのかしら?
「これは?」
「……私が幼い頃、王国から抜け出した緊急避難用の抜け道ですわ」
「なるほどの。確かにここなら見つからずに王都に入れそうじゃな」
「ええ。急ぎますわよ」
私たちはすぐに地下へと降りて行き、そのまま王都の中に入ることにした。しばらく歩き、地上に出るとどこかの廃屋の中に出たようだ。
廃屋の中は、壁がボロボロで天井も穴だらけだ。人が住んでいる形跡もなく、長い間使われていないような場所だった。
「ここは……?」
「王都の外れの方にある廃屋ですわ。近くには誰もいないはずなので、ここで準備を整えてからアルガスを討つための作戦を考えましょう」
「うむ。ならばサーシャ。お主には魔法具の材料と『ミスリル』を探してきてもらおうかの。あとは今の王都の状況も知っておきたい。ワシは魔法具を作る準備をするぞい」
「分かりました」
確かに今動けるのはサーシャだけ。リズはさすがにバレるのはまずいしね。
「サーシャ1人じゃ危険ですわよ?もし何かあったら……」
「リズさん。私にはアイリス様がいますから大丈夫です!」
サーシャは嬉しそうに私を握りしめながら話す。とりあえずまずは魔法具の材料を探しましょうかね。もちろん『ミスリル』も忘れないでよサーシャ?
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