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第1章『アイアンソード』で戦う元貴族令嬢
16. 新たな目的に向かって
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16. 新たな目的に向かって
サーシャたちは一度ルグニカの街に戻ってくる。そして今は妖精亭の食堂にいる。
「おお……すごく美味しそうじゃ」
テーブルには数々の料理が並べられており、それを見て目をキラキラと輝かせているロザリアことマーリン。まぁずっとあの森にいたんだもの気持ちはわかるわ。
「まさか噂の魔女がこんな小さな少女の姿だとは思わなかったな?」
「確かにドミニクさんの半分くらいですもんね……」
「この姿は今だけじゃ!魔力さえ戻れば元に戻る!」
そう言いながらご飯を口に運ぶマーリン。とても幸せそうな顔で食べるわね。
「それでサーシャ。その『ミスリル』を探すことにするのか?」
「はい。やっぱりこの『アイアンソード』には剣の精霊様のアイリス様が宿っていると信じてますから!」
私を満面の笑みで握りしめるサーシャ。やめなさいよなんか恥ずかしい……。でも私はあなたのために戦うって決めたんだからそんな笑顔を見せられたら何も言えないじゃない。
「そうか寂しくなるな」
「短い間でしたけど、ありがとうございましたドミニクさん」
「なーに、気にすることはないさ。またいつでも来るといい」
「はい!」
本当に良い人よねドミニクは。大きくて見た目は怖いけど。
「まずは情報を集めなきゃ。とりあえず隣国のバルムンド公国に向かうことにしましょう。クレアさんもそれでいいですよね?」
「あ。えっと……そのサーシャさん。」
「はい?」
クレアは少し気まずそうにしながらもサーシャの目を見る。そして意を決して真っ直ぐな目でサーシャに話す。
「私はお手伝いできないと思います」
「え?」
「『ミスリル』を探すということはこの街を出ることになります。私はまだそこまでの力がない。自分で分かっています。だから……」
「そんな事気にしないでください。クレアさんのことは私が守りますし。それにクレアさんも一緒に戦ってくれるなら心強いです!それから……」
必死に話すサーシャ。クレアの気持ちは痛いくらい分かる。でも、自分の気持ちを押し付けるのは良くないわサーシャ。その様子を見てマーリンが口を開く。
「サーシャ。もう良い。クレアの気持ちも考えてやるのじゃ。」
「ロザリア様……」
「出会いがあれば別れもある。サーシャにはサーシャの道が、クレアにはクレアの道があるということじゃ。」
マーリンはそう言うと大きな肉の塊にかぶりつく。
「むぐっ!?なんじゃこれは!!うまっ!!お主らも食べてみよ!」
「……ありがとうございますロザリア様。」
「ふぉれふぃーんふぇひょろふぁほへふぁふぁははりゃ……」
何言ってるかわからないわよあなた。マーリンが食べてる姿を見て微笑んでいるサーシャとクレア。
「あのクレアさん。今までありがとうございました。私は『ミスリル』を探します。そしていつか世界を救えるくらい強い剣士になります!」
「私の方こそありがとうございました。サーシャさんとパーティーを組めて良かったです。私も強くなって、大賢者アイリス=フォン=アスタータ様のような偉大な魔法使いになりますから!」
サーシャとクレアはお互いの顔を見て笑い合う。マーリンの言うとおり出会いがあれば別れもある。でもまたいつかどこかで会えるかもしれない。そう信じたいと思った。
「では私たちは行きましょう。ロザリア様」
「ああそうじゃな。サーシャ。これからよろしく頼むぞ。」
「はい!こちらこそ!」
こうして、ドミニクとクレアに別れを告げサーシャとマーリンと私はルグニカをあとにする。目的の『ミスリル』を探して、新しい旅が始まるのでした。
サーシャたちは一度ルグニカの街に戻ってくる。そして今は妖精亭の食堂にいる。
「おお……すごく美味しそうじゃ」
テーブルには数々の料理が並べられており、それを見て目をキラキラと輝かせているロザリアことマーリン。まぁずっとあの森にいたんだもの気持ちはわかるわ。
「まさか噂の魔女がこんな小さな少女の姿だとは思わなかったな?」
「確かにドミニクさんの半分くらいですもんね……」
「この姿は今だけじゃ!魔力さえ戻れば元に戻る!」
そう言いながらご飯を口に運ぶマーリン。とても幸せそうな顔で食べるわね。
「それでサーシャ。その『ミスリル』を探すことにするのか?」
「はい。やっぱりこの『アイアンソード』には剣の精霊様のアイリス様が宿っていると信じてますから!」
私を満面の笑みで握りしめるサーシャ。やめなさいよなんか恥ずかしい……。でも私はあなたのために戦うって決めたんだからそんな笑顔を見せられたら何も言えないじゃない。
「そうか寂しくなるな」
「短い間でしたけど、ありがとうございましたドミニクさん」
「なーに、気にすることはないさ。またいつでも来るといい」
「はい!」
本当に良い人よねドミニクは。大きくて見た目は怖いけど。
「まずは情報を集めなきゃ。とりあえず隣国のバルムンド公国に向かうことにしましょう。クレアさんもそれでいいですよね?」
「あ。えっと……そのサーシャさん。」
「はい?」
クレアは少し気まずそうにしながらもサーシャの目を見る。そして意を決して真っ直ぐな目でサーシャに話す。
「私はお手伝いできないと思います」
「え?」
「『ミスリル』を探すということはこの街を出ることになります。私はまだそこまでの力がない。自分で分かっています。だから……」
「そんな事気にしないでください。クレアさんのことは私が守りますし。それにクレアさんも一緒に戦ってくれるなら心強いです!それから……」
必死に話すサーシャ。クレアの気持ちは痛いくらい分かる。でも、自分の気持ちを押し付けるのは良くないわサーシャ。その様子を見てマーリンが口を開く。
「サーシャ。もう良い。クレアの気持ちも考えてやるのじゃ。」
「ロザリア様……」
「出会いがあれば別れもある。サーシャにはサーシャの道が、クレアにはクレアの道があるということじゃ。」
マーリンはそう言うと大きな肉の塊にかぶりつく。
「むぐっ!?なんじゃこれは!!うまっ!!お主らも食べてみよ!」
「……ありがとうございますロザリア様。」
「ふぉれふぃーんふぇひょろふぁほへふぁふぁははりゃ……」
何言ってるかわからないわよあなた。マーリンが食べてる姿を見て微笑んでいるサーシャとクレア。
「あのクレアさん。今までありがとうございました。私は『ミスリル』を探します。そしていつか世界を救えるくらい強い剣士になります!」
「私の方こそありがとうございました。サーシャさんとパーティーを組めて良かったです。私も強くなって、大賢者アイリス=フォン=アスタータ様のような偉大な魔法使いになりますから!」
サーシャとクレアはお互いの顔を見て笑い合う。マーリンの言うとおり出会いがあれば別れもある。でもまたいつかどこかで会えるかもしれない。そう信じたいと思った。
「では私たちは行きましょう。ロザリア様」
「ああそうじゃな。サーシャ。これからよろしく頼むぞ。」
「はい!こちらこそ!」
こうして、ドミニクとクレアに別れを告げサーシャとマーリンと私はルグニカをあとにする。目的の『ミスリル』を探して、新しい旅が始まるのでした。
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