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第1章『アイアンソード』で戦う元貴族令嬢
13. 話くらいは聞いてやろう
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13. 話くらいは聞いてやろう
そのまま『魔女の森』を奥へ奥へと進んでいくサーシャとクレア。幸い魔物は生息していないらしい……というより、結界を張っている人物のテリトリーだからかもしれない。
「あのクレアさん……すいません少し休んでもいいですか?」
「え?さっき休んだばかりですけど大丈夫ですか?サーシャさんもしかして体調でも悪いんですか?」
「あっいえ……なんかいつもよりすごく疲れてしまって、身体が重いんです。すいません迷惑かけて」
サーシャの身体に異変が出てしまっているわね……まずいわ。私はここまでサーシャの魔力で結界を解除している。小さなものを含めれば、その数はもう10を超えているでしょう。全盛期の私の魔力量ならまったく問題ないのだけれど、魔力の少ないサーシャには負担が大きかったみたいね……。
ただ、もうおそらく最深部まで来ているはずよ!もう少しだけ頑張ってほしいところだわ。
「気にしないでゆっくりで大丈夫ですよ!何かあったら私もいますから頑張りましょう!」
そう言って、元気づけるクレア。サーシャはその言葉を聞き笑顔になる。あんなにクレアはビクビクしていたのに。本当にいいコンビだわ。
「ありがとうございます。」
「いえいえ、これくらいお安い御用ですよ!それよりも早く終わらせちゃいましょう!そしたら美味しいご飯を食べに行きましょう!」
「はい!楽しみにしておきます」
そうして2人はさらに奥地へと進んでいった。そしてついに開けた場所に到着する。そこには大きな泉があり、透き通るような水の中に無数の光輝く花々が咲いている。幻想的な光景だった。
「うわぁ~綺麗ですね~サーシャさん!」
「本当ですね……」
すると突然、自分の影から飛び出した魔法でサーシャとクレアは身体を拘束されてしまう。その反動で私を手離すサーシャ。ああ~離しちゃダメよサーシャ!無常にもカランカランと音が鳴る私。
「『シャドウバインド』……ほう。ワシの結界を解除するほどの者がいるとはの。しかもまだ小娘とはな……まあよい。」
そこにはピンクの髪の毛をツインテールにしている1人の少女。見た目は12歳ほどに見える。しかしその瞳は鋭くこちらを見つめていた。
「あなたは何者ですか!?この魔法を解いてください!」
サーシャが叫ぶように問いかけるが、そんなことはどうでもよいかのように答え始める少女。
「ワシの名はロザリア。この森に住む魔女じゃよ。さてワシの結界を解除したのはどっちの小娘じゃ?」
「私は底辺冒険者です!そんなこと絶対出来ません!」
力の限り首を横にブンブンと振るクレア。あなた気持ち悪くなるわよそんなに振ったら。
「ふむ。ならばお前の方かのう。まあいい、どちらにせよ殺すからのぅ!」
「私は死にません!話を聞いてください!」
そう言うと同時に、指先から火球を放つロザリア。サーシャ目掛け一直線に向かっていく。
「危ない!サーシャさん!!」
しかしその火球はサーシャの目の前で消える。そしてサーシャは一歩も引かず真っ直ぐロザリアを見据えていた。
「……ほう避けぬか。気に入らん目じゃ。……話くらいは聞いてやろう」
ロザリアはそう言ってサーシャとクレアを拘束している魔法を解除する。その瞬間クレアは地面に座り込む。相当怖かったようね。
「あの私はサーシャ=グレイス。こちらはクレアさんです。私たちはこの森に住んでいる魔女に会いに来たのです。ロザリア様が魔女なら、どうか私の話を聞いていただけないでしょうか?」
サーシャは真剣な眼差しでロザリアを見つめる。その目は強い意志を感じるものだった。しかしロザリアは不敵な笑みを浮かべながら答える。
「ワシにか?お主らのような人間がなぜワシの元にくるのか理解に苦しむのう。なんじゃ?魔法でも習いにきたのか?それとも殺しにかの?まあなんでも良い。とりあえず喉が渇いたの。お主らも茶でも飲んでいくが良い」
「え?お茶ですか?」
「魔女は気まぐれじゃからのぉ。せっかくじゃ、暇潰しにそのお主の目的を聞いてやると言っておる」
そう言って、近くの木陰に3人で腰をかける。ロザリアはそのままお茶を用意する。その姿は本当に普通の少女にしか見えない。
「それでお主らの目的は何じゃ?まさか本当に魔法を学びにきたわけではあるまい?」
「あっ!」
サーシャは立ち上がり慌てて私を拾いにくる。……あなた私のこと忘れてたでしょ?泣くわよ?泣いても聞こえないと思うけど……。
そのまま『魔女の森』を奥へ奥へと進んでいくサーシャとクレア。幸い魔物は生息していないらしい……というより、結界を張っている人物のテリトリーだからかもしれない。
「あのクレアさん……すいません少し休んでもいいですか?」
「え?さっき休んだばかりですけど大丈夫ですか?サーシャさんもしかして体調でも悪いんですか?」
「あっいえ……なんかいつもよりすごく疲れてしまって、身体が重いんです。すいません迷惑かけて」
サーシャの身体に異変が出てしまっているわね……まずいわ。私はここまでサーシャの魔力で結界を解除している。小さなものを含めれば、その数はもう10を超えているでしょう。全盛期の私の魔力量ならまったく問題ないのだけれど、魔力の少ないサーシャには負担が大きかったみたいね……。
ただ、もうおそらく最深部まで来ているはずよ!もう少しだけ頑張ってほしいところだわ。
「気にしないでゆっくりで大丈夫ですよ!何かあったら私もいますから頑張りましょう!」
そう言って、元気づけるクレア。サーシャはその言葉を聞き笑顔になる。あんなにクレアはビクビクしていたのに。本当にいいコンビだわ。
「ありがとうございます。」
「いえいえ、これくらいお安い御用ですよ!それよりも早く終わらせちゃいましょう!そしたら美味しいご飯を食べに行きましょう!」
「はい!楽しみにしておきます」
そうして2人はさらに奥地へと進んでいった。そしてついに開けた場所に到着する。そこには大きな泉があり、透き通るような水の中に無数の光輝く花々が咲いている。幻想的な光景だった。
「うわぁ~綺麗ですね~サーシャさん!」
「本当ですね……」
すると突然、自分の影から飛び出した魔法でサーシャとクレアは身体を拘束されてしまう。その反動で私を手離すサーシャ。ああ~離しちゃダメよサーシャ!無常にもカランカランと音が鳴る私。
「『シャドウバインド』……ほう。ワシの結界を解除するほどの者がいるとはの。しかもまだ小娘とはな……まあよい。」
そこにはピンクの髪の毛をツインテールにしている1人の少女。見た目は12歳ほどに見える。しかしその瞳は鋭くこちらを見つめていた。
「あなたは何者ですか!?この魔法を解いてください!」
サーシャが叫ぶように問いかけるが、そんなことはどうでもよいかのように答え始める少女。
「ワシの名はロザリア。この森に住む魔女じゃよ。さてワシの結界を解除したのはどっちの小娘じゃ?」
「私は底辺冒険者です!そんなこと絶対出来ません!」
力の限り首を横にブンブンと振るクレア。あなた気持ち悪くなるわよそんなに振ったら。
「ふむ。ならばお前の方かのう。まあいい、どちらにせよ殺すからのぅ!」
「私は死にません!話を聞いてください!」
そう言うと同時に、指先から火球を放つロザリア。サーシャ目掛け一直線に向かっていく。
「危ない!サーシャさん!!」
しかしその火球はサーシャの目の前で消える。そしてサーシャは一歩も引かず真っ直ぐロザリアを見据えていた。
「……ほう避けぬか。気に入らん目じゃ。……話くらいは聞いてやろう」
ロザリアはそう言ってサーシャとクレアを拘束している魔法を解除する。その瞬間クレアは地面に座り込む。相当怖かったようね。
「あの私はサーシャ=グレイス。こちらはクレアさんです。私たちはこの森に住んでいる魔女に会いに来たのです。ロザリア様が魔女なら、どうか私の話を聞いていただけないでしょうか?」
サーシャは真剣な眼差しでロザリアを見つめる。その目は強い意志を感じるものだった。しかしロザリアは不敵な笑みを浮かべながら答える。
「ワシにか?お主らのような人間がなぜワシの元にくるのか理解に苦しむのう。なんじゃ?魔法でも習いにきたのか?それとも殺しにかの?まあなんでも良い。とりあえず喉が渇いたの。お主らも茶でも飲んでいくが良い」
「え?お茶ですか?」
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「それでお主らの目的は何じゃ?まさか本当に魔法を学びにきたわけではあるまい?」
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