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第1章『アイアンソード』で戦う元貴族令嬢
8. 至高の魔法
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8. 至高の魔法
そして次の日。サーシャはギルドでクレアとパーティー登録をしてから目的の西の洞窟へ向かっているみたいね。正直クレアの実力が分からないから心配なのだけど。でもサーシャは優しい子だから、そんなの気にはしてないと思うけどね。
私はいつも通り、サーシャの腰にささったままだ。『アイアンソード』だからね私は。武器としての性能が高いわけじゃないけど、剣の精霊が宿っているとサーシャは信じている。
「あ!あれじゃないですか?」
「そうですね。この先にある洞窟です」
「じゃあ早速入ってみましょうか!」
そして目的である洞窟に到着した。さて中に入ってみるとしますかね。テンションが上がりすぎてるサーシャも心配なんだけど。まぁ何かあれば助けてあげればいいし、あまり気にする必要もないか。
サーシャとクレアは洞窟を奥へと進んでいく。洞窟の中はジメッとしており、少し肌寒い感じだった。私たちは特に何事もなく順調に進んでいるのだが……。私はというと、特に何もしていない。いまだにサーシャの腰にささったままだ。意外に魔物が出ないのね。それにしても本当に静かだわ。
たまにコツ……コツ……と二人の足音だけが響いている。
「あっ。そう言えばサーシャさん。噂の『アイアンソード』で戦う元貴族令嬢なんですよね?」
「え!?私そんな風に噂されてるんですか?」
「はい。違うんですか?」
「いえ……その通りですけど……」
「でもなんで『アイアンソード』で戦ってるんですか?もっと強い武器があると思うんですけど?」
その質問にサーシャは満面の笑みで答える。
「それはですね……この『アイアンソード』には剣の精霊様が宿ってるんです!」
それを聞いたクレアは少し驚いた表情をした。まぁ無理もないわよね。剣の精霊なんて普通はいないもの。そりゃそんなの聞いた時は耳を疑うわよね。
「剣の精霊様ですか……?何か特別な能力でもあるんですか?」
「はい!私がピンチの時はいつも魔法で助けてくれるんですよ。」
「え?魔法ですか?」
「頭の中に声が聞こえてきて、それを詠唱したら魔法が使えるんですよ!この前も大魔種の狼をブリュなんとか?っていう、光の槍みたいな魔法で一瞬にして倒せましたし」
うん。サーシャ、『ブリューナク』ね。一応私の一番のお気に入りの魔法の一つだから名前くらい覚えてね。するとそのサーシャの言葉を聞いてクレアが驚きながら聞いてくる。
「ぶぶぶっぶっ『ブリューナク』!!?」
「はい?あっ確かそんな名前の魔法だったと思いますよ?」
「そっ……それは至高の神聖魔法にして、今だかつてその魔法を使えたのはあの大賢者アイリス=フォン=アスタータしかいないと言われる伝説の魔法ですよ!!」
「ええ!?」
ええ!?嘘でしょ!?そんな凄い魔法として伝わっているの!?確かに『ブリューナク』を使ったら、そこらの魔物なら瞬殺できるとは思うけど……。
「そっ……そうなんですか!?でもどうしてそんな魔法が使えるのかわからないんですよねぇ……やっぱり……アイリス様ってあの大賢者様なのかな……?」
そう言って私を握り締めて見つめてくるサーシャ。まずいわね……軽い考えで『ブリューナク』なんか使っちゃったし、まさかこんなことになるとは思わなかったわ……。
どうしようかしら……このままだといずれバレてしまうわ……。ここは一つ、サーシャの為にも黙っていた方がいいかもしれないわね……。それからしばらく歩いていくと、大きな空間に出た。
「おぉー!結構広いですね!」
「ここで少し休憩にしませんかサーシャさん?」
「いいですね!じゃあちょっとだけ休んでいきましょうか!」
二人は地面に座り込む。そしてサーシャはクレアに話しかける。
「そういえばクレアさんこの洞窟を攻略できたらって言ってましたけど、この洞窟に何かあるんですか?」
「あっはい。この洞窟の最奥には『スケルトンナイト』と呼ばれる魔物がいるんです。しかもかなり強い魔物で討伐できればかなりのお金になるんですよ。」
「へぇ~。そうなんですね~」
スケルトンナイトか。懐かしい名前だわ。スケルトンの上位種ね。昔はよく戦ったものだわ。私の神聖魔法が弱点だったから、そこまで苦労しなかったけど。
「サーシャさんはこの辺りの魔物と戦ったことはありますか?」
「いえ。私はまだルグニカに来たばかりなので、戦闘はしてないですね」
「そうですか。でもサーシャさんはお強いので問題はないですよね!」
「えへへ。ありがとうございます。でも油断しないように頑張りますね!」
「はい。頑張ってくださいねサーシャさん」
微笑み合う二人。とても和やかだわ。これなら大丈夫そうね。そう思った時だった。
ドゴォンッ!! 突然の轟音と共に地面が大きく揺れる。その衝撃でサーシャたちは体勢を崩した。一体何が起きたというの!?
「きゃぁ!?」
「なっ……なんですか!?」
二人が混乱していると、サーシャ達の周りに次々と岩が落ちてくる。しかもかなりの量だ。これはまずいわね……。
そして次の日。サーシャはギルドでクレアとパーティー登録をしてから目的の西の洞窟へ向かっているみたいね。正直クレアの実力が分からないから心配なのだけど。でもサーシャは優しい子だから、そんなの気にはしてないと思うけどね。
私はいつも通り、サーシャの腰にささったままだ。『アイアンソード』だからね私は。武器としての性能が高いわけじゃないけど、剣の精霊が宿っているとサーシャは信じている。
「あ!あれじゃないですか?」
「そうですね。この先にある洞窟です」
「じゃあ早速入ってみましょうか!」
そして目的である洞窟に到着した。さて中に入ってみるとしますかね。テンションが上がりすぎてるサーシャも心配なんだけど。まぁ何かあれば助けてあげればいいし、あまり気にする必要もないか。
サーシャとクレアは洞窟を奥へと進んでいく。洞窟の中はジメッとしており、少し肌寒い感じだった。私たちは特に何事もなく順調に進んでいるのだが……。私はというと、特に何もしていない。いまだにサーシャの腰にささったままだ。意外に魔物が出ないのね。それにしても本当に静かだわ。
たまにコツ……コツ……と二人の足音だけが響いている。
「あっ。そう言えばサーシャさん。噂の『アイアンソード』で戦う元貴族令嬢なんですよね?」
「え!?私そんな風に噂されてるんですか?」
「はい。違うんですか?」
「いえ……その通りですけど……」
「でもなんで『アイアンソード』で戦ってるんですか?もっと強い武器があると思うんですけど?」
その質問にサーシャは満面の笑みで答える。
「それはですね……この『アイアンソード』には剣の精霊様が宿ってるんです!」
それを聞いたクレアは少し驚いた表情をした。まぁ無理もないわよね。剣の精霊なんて普通はいないもの。そりゃそんなの聞いた時は耳を疑うわよね。
「剣の精霊様ですか……?何か特別な能力でもあるんですか?」
「はい!私がピンチの時はいつも魔法で助けてくれるんですよ。」
「え?魔法ですか?」
「頭の中に声が聞こえてきて、それを詠唱したら魔法が使えるんですよ!この前も大魔種の狼をブリュなんとか?っていう、光の槍みたいな魔法で一瞬にして倒せましたし」
うん。サーシャ、『ブリューナク』ね。一応私の一番のお気に入りの魔法の一つだから名前くらい覚えてね。するとそのサーシャの言葉を聞いてクレアが驚きながら聞いてくる。
「ぶぶぶっぶっ『ブリューナク』!!?」
「はい?あっ確かそんな名前の魔法だったと思いますよ?」
「そっ……それは至高の神聖魔法にして、今だかつてその魔法を使えたのはあの大賢者アイリス=フォン=アスタータしかいないと言われる伝説の魔法ですよ!!」
「ええ!?」
ええ!?嘘でしょ!?そんな凄い魔法として伝わっているの!?確かに『ブリューナク』を使ったら、そこらの魔物なら瞬殺できるとは思うけど……。
「そっ……そうなんですか!?でもどうしてそんな魔法が使えるのかわからないんですよねぇ……やっぱり……アイリス様ってあの大賢者様なのかな……?」
そう言って私を握り締めて見つめてくるサーシャ。まずいわね……軽い考えで『ブリューナク』なんか使っちゃったし、まさかこんなことになるとは思わなかったわ……。
どうしようかしら……このままだといずれバレてしまうわ……。ここは一つ、サーシャの為にも黙っていた方がいいかもしれないわね……。それからしばらく歩いていくと、大きな空間に出た。
「おぉー!結構広いですね!」
「ここで少し休憩にしませんかサーシャさん?」
「いいですね!じゃあちょっとだけ休んでいきましょうか!」
二人は地面に座り込む。そしてサーシャはクレアに話しかける。
「そういえばクレアさんこの洞窟を攻略できたらって言ってましたけど、この洞窟に何かあるんですか?」
「あっはい。この洞窟の最奥には『スケルトンナイト』と呼ばれる魔物がいるんです。しかもかなり強い魔物で討伐できればかなりのお金になるんですよ。」
「へぇ~。そうなんですね~」
スケルトンナイトか。懐かしい名前だわ。スケルトンの上位種ね。昔はよく戦ったものだわ。私の神聖魔法が弱点だったから、そこまで苦労しなかったけど。
「サーシャさんはこの辺りの魔物と戦ったことはありますか?」
「いえ。私はまだルグニカに来たばかりなので、戦闘はしてないですね」
「そうですか。でもサーシャさんはお強いので問題はないですよね!」
「えへへ。ありがとうございます。でも油断しないように頑張りますね!」
「はい。頑張ってくださいねサーシャさん」
微笑み合う二人。とても和やかだわ。これなら大丈夫そうね。そう思った時だった。
ドゴォンッ!! 突然の轟音と共に地面が大きく揺れる。その衝撃でサーシャたちは体勢を崩した。一体何が起きたというの!?
「きゃぁ!?」
「なっ……なんですか!?」
二人が混乱していると、サーシャ達の周りに次々と岩が落ちてくる。しかもかなりの量だ。これはまずいわね……。
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