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12. 実地授業
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12. 実地授業
空は澄んだ青空が広がっている。こう雲がゆっくり流れているのを見てると平和な気がするな。本当に悪魔憑きとの戦いが嘘のようだ。
「ふわあぁ……眠い」
オレはいつものように屋上でエミリーの愛妹弁当を食べ、寝っ転がりながら空を見上げてあくびをする。ただその平和は脆くも崩れてしまう。あの銀髪のツインテールによって……。
「あ!いたいたアデル君!もうお昼食べ終わっちゃった?」
「……またお前かよ……まあいいか。今ちょうど終わったところだぞ」
オレはそう言い起き上がり、声をかけてきたセリアに目を向ける。今日もトマトジュースを片手に持ちながら駆け寄ってきた。そして隣まで来るとオレと同じように腰掛ける。
「じゃあ早速だけどこれあげるね!」
そう言って持っていた紙袋からクッキーを取り出して手渡してきた。
「なんだこれは?手作りなのか?」
「そうだよー。私が焼いたんだけど口に合うかな?デザートだよデザート」
そう言ってニコっと笑う。確かに美味しそうな匂いがしてくるな。オレはクッキーを受け取り、包みを開ける。するとさらに甘い香りが漂ってくる。一口食べる……うっ……これは?
「……おい。これトマトが入ってねぇか?しかもなんかしょっぱいし……」
「うん!入ってるよ!それがいいんだよ!甘くないお菓子って珍しいでしょ?」
……たしかに言われてみるとこんな味の菓子は初めてかもしれない。というかどんだけトマト好きなんだこいつは。
「どう?美味しい?」
「……ああ、不味くはないぞ。お前料理できるんだな?」
「うん!アデル君、私に惚れちゃダメだぞ?」
「安心しろ」
「えへへ~そんなこと言っちゃって~」
セリアは嬉しそうに顔を綻ばせている。本当にテンションが高くて面倒なやつだな。なんでこんなにオレに絡んでくるんだ……?
「ねぇそう言えば、来週の実地授業って誰と班を組むか決まってる?」
「実地授業?そんなのあったっけ?」
「え!?あったじゃん!2週間くらい前に先生が説明してたよ?聞いてなかったの?」
マジかよ。全く覚えていないぞ。あの時は『ナイトメア』討伐で忙しかった記憶しかない。
「それでさ、よかったら私と一緒に組まない?私もまだ決めてなくて……」
「まぁ構わんけど」
「やった!ありがと!それじゃあ他の人も誘おうと思うんだけどいいかな?」
「別にいいんじゃないか?」
正直誰でも構わない。どうせオレはぼっちだしな。
「わかった!それじゃあ当日よろしくね!きっとアデル君も喜ぶと思うからさ!」
「は?」
そう言うと立ち上がり、スカートについた埃を払っている。一体何のことかさっぱりわからない。しかしオレの言葉を待たずに走り去ってしまった。本当に嵐のような女だな。それにしても喜ぶ?オレが喜ぶようなことが何かあるのか?よくわからん。
そして実地授業当日。授業は王都の北にある山の中にある訓練場で行われる。魔法で軽い魔物討伐もあるけど、正直悪魔の方が何倍も強いだろう。オレにとっては暇潰し程度のレベルだと思う。
集合場所である訓練場には既に多くの生徒がいて、皆それぞれグループを作り始めている。その中には当然セリアの姿もあった。
「アデル君こっちこっち!」
オレを見つけるなり手を振っている。セリア。オレはセリアの元に歩いていくと、ある人物がいることに気づき動きを止める。
「……アリスティアさんも一緒なのか?」
「そうだよ!私が誘ったんだぁ!」
「よろしく。アデル=バーライト」
なんで実地授業までこいつと一緒にいなきゃならんのだ。はっきり言って面倒すぎる。しかも今回は班を組んでの授業だから余計に関わりたくない。ボロが出そうだし……。そんなオレのことなんてお構いなしにセリアは耳打ちしてくる。
「良かったねアデル君。アリスティアさんと一緒で!私誘うの頑張ったんだから!アデル君も頑張ってアプローチしなきゃね!」
そう言って、オレの脇腹を嬉しそうに肘で小突いてくるセリア。
余計なお世話なんだが……。オレは別にアリスのことは何とも思ってないが……。というかアピールも何もオレが話せるわけがない。
「ほらほら早く行こうよ!」
そう言ってセリアは前を歩いていく。本当に元気だな。オレはため息を吐きつつ仕方なくついていこうとするとアリスと目が合う。
「なんだよ?」
「意外でした。あなたセリア=グランメールと仲が良かったんですね?もしかして好きなんですか?」
「そんなわけないだろ。あいつがオレに絡んでくるだけだ」
「くれぐれも私たちが『レイブン』ということがバレないように気をつけてくださいね」
「んなこと言われなくても分かってるよ」
「なら行きましょうか」
そして少し距離を取り、アリスはオレの後をついてくる。オレは振り返らずに歩を進める。
「ねぇねぇ!アリスティアさんって可愛いよね?」
「嫌みですか?あなたに言われても嬉しくはありません。」
「違うよ!私は本当のことを言っただけだよ!アデル君はどう思う?」
オレに振るなよ。セリアのやつマジで勘違いしてやがるな。無理に話題を振りやがって……。
「まぁ……可愛いんじゃね?お前のこと気に入ってるやつも多いらしいからな」
「は?あなたは周りが気に入ってれば同調するんですか?最低な男ですね。見損ないました」
「そんなこと言ってねぇだろうが」
そう言いながら後ろを振り返ると、アリスは眉間にシワを寄せていた。
「なんだよその顔?」
「いえ別になんでもないです。あなたの本心じゃないことは分かりますし。ただ周りの評価に流されるのは気に食わないだけです。本当に腹が立ちます。」
なんだこいつ意味分からんぞ?オレは呆れながらも歩き続ける。すると前方から担任のレオン先生が来た。
「全員揃ってますね?それではこれから実地授業を始めます。今回の内容は……ゴブリン退治。1人2匹ずつ倒すように。それと討伐した証拠として魔石を持ってくること。いいですね?」
生徒たちが「はい!」と返事をする。ちなみにこの実地授業には筆記試験はない。なので生徒のほとんどは楽しみにしているようだ。
「ゴブリンか……アデル君自信ある?」
「え?あー……」
「アデル=バーライト。先生から木刀を借りてきてもらえませんか?さすがに真剣はないと思うので」
「アリスティアさん木刀で戦うの!?」
「はい。ダメですか?」
アリスの実力は分かっているから問題はない。てか、まさか瞬擊の剣姫とか使わないよな?流石にそれはヤバイし、バレるだろ……。こうしてゴブリン討伐をすることにしたのだった。
空は澄んだ青空が広がっている。こう雲がゆっくり流れているのを見てると平和な気がするな。本当に悪魔憑きとの戦いが嘘のようだ。
「ふわあぁ……眠い」
オレはいつものように屋上でエミリーの愛妹弁当を食べ、寝っ転がりながら空を見上げてあくびをする。ただその平和は脆くも崩れてしまう。あの銀髪のツインテールによって……。
「あ!いたいたアデル君!もうお昼食べ終わっちゃった?」
「……またお前かよ……まあいいか。今ちょうど終わったところだぞ」
オレはそう言い起き上がり、声をかけてきたセリアに目を向ける。今日もトマトジュースを片手に持ちながら駆け寄ってきた。そして隣まで来るとオレと同じように腰掛ける。
「じゃあ早速だけどこれあげるね!」
そう言って持っていた紙袋からクッキーを取り出して手渡してきた。
「なんだこれは?手作りなのか?」
「そうだよー。私が焼いたんだけど口に合うかな?デザートだよデザート」
そう言ってニコっと笑う。確かに美味しそうな匂いがしてくるな。オレはクッキーを受け取り、包みを開ける。するとさらに甘い香りが漂ってくる。一口食べる……うっ……これは?
「……おい。これトマトが入ってねぇか?しかもなんかしょっぱいし……」
「うん!入ってるよ!それがいいんだよ!甘くないお菓子って珍しいでしょ?」
……たしかに言われてみるとこんな味の菓子は初めてかもしれない。というかどんだけトマト好きなんだこいつは。
「どう?美味しい?」
「……ああ、不味くはないぞ。お前料理できるんだな?」
「うん!アデル君、私に惚れちゃダメだぞ?」
「安心しろ」
「えへへ~そんなこと言っちゃって~」
セリアは嬉しそうに顔を綻ばせている。本当にテンションが高くて面倒なやつだな。なんでこんなにオレに絡んでくるんだ……?
「ねぇそう言えば、来週の実地授業って誰と班を組むか決まってる?」
「実地授業?そんなのあったっけ?」
「え!?あったじゃん!2週間くらい前に先生が説明してたよ?聞いてなかったの?」
マジかよ。全く覚えていないぞ。あの時は『ナイトメア』討伐で忙しかった記憶しかない。
「それでさ、よかったら私と一緒に組まない?私もまだ決めてなくて……」
「まぁ構わんけど」
「やった!ありがと!それじゃあ他の人も誘おうと思うんだけどいいかな?」
「別にいいんじゃないか?」
正直誰でも構わない。どうせオレはぼっちだしな。
「わかった!それじゃあ当日よろしくね!きっとアデル君も喜ぶと思うからさ!」
「は?」
そう言うと立ち上がり、スカートについた埃を払っている。一体何のことかさっぱりわからない。しかしオレの言葉を待たずに走り去ってしまった。本当に嵐のような女だな。それにしても喜ぶ?オレが喜ぶようなことが何かあるのか?よくわからん。
そして実地授業当日。授業は王都の北にある山の中にある訓練場で行われる。魔法で軽い魔物討伐もあるけど、正直悪魔の方が何倍も強いだろう。オレにとっては暇潰し程度のレベルだと思う。
集合場所である訓練場には既に多くの生徒がいて、皆それぞれグループを作り始めている。その中には当然セリアの姿もあった。
「アデル君こっちこっち!」
オレを見つけるなり手を振っている。セリア。オレはセリアの元に歩いていくと、ある人物がいることに気づき動きを止める。
「……アリスティアさんも一緒なのか?」
「そうだよ!私が誘ったんだぁ!」
「よろしく。アデル=バーライト」
なんで実地授業までこいつと一緒にいなきゃならんのだ。はっきり言って面倒すぎる。しかも今回は班を組んでの授業だから余計に関わりたくない。ボロが出そうだし……。そんなオレのことなんてお構いなしにセリアは耳打ちしてくる。
「良かったねアデル君。アリスティアさんと一緒で!私誘うの頑張ったんだから!アデル君も頑張ってアプローチしなきゃね!」
そう言って、オレの脇腹を嬉しそうに肘で小突いてくるセリア。
余計なお世話なんだが……。オレは別にアリスのことは何とも思ってないが……。というかアピールも何もオレが話せるわけがない。
「ほらほら早く行こうよ!」
そう言ってセリアは前を歩いていく。本当に元気だな。オレはため息を吐きつつ仕方なくついていこうとするとアリスと目が合う。
「なんだよ?」
「意外でした。あなたセリア=グランメールと仲が良かったんですね?もしかして好きなんですか?」
「そんなわけないだろ。あいつがオレに絡んでくるだけだ」
「くれぐれも私たちが『レイブン』ということがバレないように気をつけてくださいね」
「んなこと言われなくても分かってるよ」
「なら行きましょうか」
そして少し距離を取り、アリスはオレの後をついてくる。オレは振り返らずに歩を進める。
「ねぇねぇ!アリスティアさんって可愛いよね?」
「嫌みですか?あなたに言われても嬉しくはありません。」
「違うよ!私は本当のことを言っただけだよ!アデル君はどう思う?」
オレに振るなよ。セリアのやつマジで勘違いしてやがるな。無理に話題を振りやがって……。
「まぁ……可愛いんじゃね?お前のこと気に入ってるやつも多いらしいからな」
「は?あなたは周りが気に入ってれば同調するんですか?最低な男ですね。見損ないました」
「そんなこと言ってねぇだろうが」
そう言いながら後ろを振り返ると、アリスは眉間にシワを寄せていた。
「なんだよその顔?」
「いえ別になんでもないです。あなたの本心じゃないことは分かりますし。ただ周りの評価に流されるのは気に食わないだけです。本当に腹が立ちます。」
なんだこいつ意味分からんぞ?オレは呆れながらも歩き続ける。すると前方から担任のレオン先生が来た。
「全員揃ってますね?それではこれから実地授業を始めます。今回の内容は……ゴブリン退治。1人2匹ずつ倒すように。それと討伐した証拠として魔石を持ってくること。いいですね?」
生徒たちが「はい!」と返事をする。ちなみにこの実地授業には筆記試験はない。なので生徒のほとんどは楽しみにしているようだ。
「ゴブリンか……アデル君自信ある?」
「え?あー……」
「アデル=バーライト。先生から木刀を借りてきてもらえませんか?さすがに真剣はないと思うので」
「アリスティアさん木刀で戦うの!?」
「はい。ダメですか?」
アリスの実力は分かっているから問題はない。てか、まさか瞬擊の剣姫とか使わないよな?流石にそれはヤバイし、バレるだろ……。こうしてゴブリン討伐をすることにしたのだった。
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