22 / 40
22. だと思う
しおりを挟む
22. だと思う
いつものように家に帰る。ただいつもと違う……この心臓のドキドキ、熱くなっている身体。ボクは『白瀬優輝』のままだ。
ボクは本当に葵ちゃんと……
「おかえりおにぃ」
家に帰ると真凛がリビングにいる。これもいつもと変わらない。
「ただいま」
「なに?おにぃいいことでもあった?」
「え?」
「なんか嬉しそうにニヤニヤしてるけど?」
そんなに顔に出ていたのかな?でも仕方ないよね……初めて『白瀬勇輝』のまま葵ちゃんと話せたし、一緒に帰ったんだから。
その勢いもあったのか、ボクは無意識に真凛に声をかけていた
「あのさ真凛。次のデートどこに行ったらいいと思う?」
「は?え!?ってかなんでアタシに聞くの!?」
「それは……兄妹だし、真凛しか相談できる人いないって言うか……ダメかな?」
「いや!?別にダメじゃないけど……」
そう言って真凛は少し焦っていたけど、すぐに考える素振りを見せる。そしてしばらく考えた後、ボクに言う。真凛は呆れていたけど……でも相談に乗ってくれるようだ。
「デートって葵ちゃんとでいいんだよね?」
「うっうん!」
「……やっぱり好きなんじゃん」
「好き……だと思う」
「だと思う?まぁいいや。おにぃが葵ちゃんのことを好きなのは分かった……でもさ、その前に……おにぃはどうしたいわけ?」
「えっ」
「今のおにぃは『白井雪姫』じゃない。まぁ変装しているから葵ちゃんは気づかないだろうけど、バレたくないんでしょ?」
もちろんバレたくない。でも本当にこのままでいいとも思っていない。そう……思うようになっちゃったんだ。
「あまり色々言ってもおにぃが可哀想だから、今は週末のデートのこと考えてあげるか」
「ありがとう」
「ほら。早く座って。作戦立てるよ?」
そう言って真凛はボクにクッションを差し出す。ボクはそれを受け取って床に座る。
ボクが……どうしたいのか……
葵ちゃんとどうなりたいのか……
そんなことを思いながら、真凛と作戦会議を始めた。色々話していると、突然真凛が思い付いたかのように言う。それはボクが予想していなかった言葉だった。
「あのさおにぃ?」
「なに?」
「週末のデートさ……アタシも行ってもいい?」
「えっ!?なんで!?ダメだよ!葵ちゃんに迷惑だし!」
「じゃあ葵ちゃんに聞いてみてよ」
「いや……その……」
ほら早く!と言わんばかりに真凛が急かしてくる。なんでそんなことするんだ?何が目的なの?そんなことを考えていても仕方ない。今は真凛に相談している立場だし……
そしてボクは渋々スマホを取り出して、葵ちゃんへメッセージを送ることにする。
「えっと……なんて送れば?」
「え?それもアタシが考えるの?……じゃあ『葵ちゃんの話をしていたら、どうしても妹が会いたいって言ってるんだけど……葵ちゃん嫌だよね?』にして」
「これ……断りにくくない?それになんで真凛が会いたいの?」
「アタシの事はいいでしょ!ほら早く」
真凛に急かされながらメッセージを送る。するとすぐに返事が返ってくる。その内容は……
『え?家で私の話してるのw恥ずかしいな///雪姫ちゃんの妹さんってどんな子なんだろう……私は全然大丈夫だよ』
「……」
「葵ちゃん何て?」
「なんか思ったよりノリノリだった……」
本当に大丈夫だろうか?そう思いながらもボクは真凛の方をちらっと見る。すると真凛がニヤニヤしながら言う。
「楽しみが増えたねおにぃ♪」
「うっうん……」
なんでそんなに嬉しそうなんだろう? でも……真凛に相談に乗ってもらって良かったかも。こうして週末のデートに真凛も来ることになったのだった。
いつものように家に帰る。ただいつもと違う……この心臓のドキドキ、熱くなっている身体。ボクは『白瀬優輝』のままだ。
ボクは本当に葵ちゃんと……
「おかえりおにぃ」
家に帰ると真凛がリビングにいる。これもいつもと変わらない。
「ただいま」
「なに?おにぃいいことでもあった?」
「え?」
「なんか嬉しそうにニヤニヤしてるけど?」
そんなに顔に出ていたのかな?でも仕方ないよね……初めて『白瀬勇輝』のまま葵ちゃんと話せたし、一緒に帰ったんだから。
その勢いもあったのか、ボクは無意識に真凛に声をかけていた
「あのさ真凛。次のデートどこに行ったらいいと思う?」
「は?え!?ってかなんでアタシに聞くの!?」
「それは……兄妹だし、真凛しか相談できる人いないって言うか……ダメかな?」
「いや!?別にダメじゃないけど……」
そう言って真凛は少し焦っていたけど、すぐに考える素振りを見せる。そしてしばらく考えた後、ボクに言う。真凛は呆れていたけど……でも相談に乗ってくれるようだ。
「デートって葵ちゃんとでいいんだよね?」
「うっうん!」
「……やっぱり好きなんじゃん」
「好き……だと思う」
「だと思う?まぁいいや。おにぃが葵ちゃんのことを好きなのは分かった……でもさ、その前に……おにぃはどうしたいわけ?」
「えっ」
「今のおにぃは『白井雪姫』じゃない。まぁ変装しているから葵ちゃんは気づかないだろうけど、バレたくないんでしょ?」
もちろんバレたくない。でも本当にこのままでいいとも思っていない。そう……思うようになっちゃったんだ。
「あまり色々言ってもおにぃが可哀想だから、今は週末のデートのこと考えてあげるか」
「ありがとう」
「ほら。早く座って。作戦立てるよ?」
そう言って真凛はボクにクッションを差し出す。ボクはそれを受け取って床に座る。
ボクが……どうしたいのか……
葵ちゃんとどうなりたいのか……
そんなことを思いながら、真凛と作戦会議を始めた。色々話していると、突然真凛が思い付いたかのように言う。それはボクが予想していなかった言葉だった。
「あのさおにぃ?」
「なに?」
「週末のデートさ……アタシも行ってもいい?」
「えっ!?なんで!?ダメだよ!葵ちゃんに迷惑だし!」
「じゃあ葵ちゃんに聞いてみてよ」
「いや……その……」
ほら早く!と言わんばかりに真凛が急かしてくる。なんでそんなことするんだ?何が目的なの?そんなことを考えていても仕方ない。今は真凛に相談している立場だし……
そしてボクは渋々スマホを取り出して、葵ちゃんへメッセージを送ることにする。
「えっと……なんて送れば?」
「え?それもアタシが考えるの?……じゃあ『葵ちゃんの話をしていたら、どうしても妹が会いたいって言ってるんだけど……葵ちゃん嫌だよね?』にして」
「これ……断りにくくない?それになんで真凛が会いたいの?」
「アタシの事はいいでしょ!ほら早く」
真凛に急かされながらメッセージを送る。するとすぐに返事が返ってくる。その内容は……
『え?家で私の話してるのw恥ずかしいな///雪姫ちゃんの妹さんってどんな子なんだろう……私は全然大丈夫だよ』
「……」
「葵ちゃん何て?」
「なんか思ったよりノリノリだった……」
本当に大丈夫だろうか?そう思いながらもボクは真凛の方をちらっと見る。すると真凛がニヤニヤしながら言う。
「楽しみが増えたねおにぃ♪」
「うっうん……」
なんでそんなに嬉しそうなんだろう? でも……真凛に相談に乗ってもらって良かったかも。こうして週末のデートに真凛も来ることになったのだった。
40
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
不審者が俺の姉を自称してきたと思ったら絶賛売れ出し中のアイドルらしい
春野 安芸
青春
【雨の日に出会った金髪アイドルとの、ノンストレスラブコメディ――――】
主人公――――慎也は無事高校にも入学することができ可もなく不可もなくな日常を送っていた。
取り立てて悪いこともなく良いこともないそんな当たり障りのない人生を―――――
しかしとある台風の日、豪雨から逃れるために雨宿りした地で歯車は動き出す。
そこに居たのは存在を悟られないようにコートやサングラスで身を隠した不審者……もとい小さな少女だった。
不審者は浮浪者に進化する所を慎也の手によって、出会って早々自宅デートすることに!?
そんな不審者ムーブしていた彼女もそれは仮の姿……彼女の本当の姿は現在大ブレイク中の3人組アイドル、『ストロベリーリキッド』のメンバーだった!!
そんな彼女から何故か弟認定されたり、他のメンバーに言い寄られたり――――慎也とアイドルを中心とした甘々・イチャイチャ・ノンストレス・ラブコメディ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる