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第5章 二人の聖女
9. 交響曲(シンフォニー) ~マルセナside~
しおりを挟む9. 交響曲(シンフォニー) ~マルセナside~
ランバート王国の大広場。公開処刑を止めている聖女マルセナの目には絶対絶命という状況が映っている。ライアンや仲間たちの首筋にはすでに刃が置かれていた。少しでも動けば彼らは殺されてしまう。それでもマルセナは冷静であった。
それは聖女としての経験なのか、それとも別の理由か……。その瞳は真っ直ぐと前にいる国王のゼロスを見据えている。
「なんだその目は!?怯えろ!気に入らん!目の前で最愛のライアンが死ぬぞ!」
「あなたには出来ない。私はそう信じているから」
毅然とした態度を崩さないマルセナにゼロス=ランバートが怒りに任せて斧を振り上げる。
(お願い…大聖女ディアナ様…アリーゼ…)
マルセナの祈りが届いたのか、広場の中心に眩い光が降り注ぐ。辺りに閃光が放たれる。それはまるで天からの救いのようにも思えた。
そして閃光がやみ、群衆の中から現れたのは純白に輝くローブに身を包んだ女性。
その姿を見た瞬間、マルセナの表情が驚きに染まる。そして群衆の中にいたフィオナとロゼッタ様はその人物に気づく。
「あれ…あの人は…」
「なぜあやつがここに?」
凛とした声とともに兵士に囲まれた女性が歩き出す。フードの下の顔は見えないが、美しい黒髪を靡かせながらゆっくりと歩いてくる姿は神々しいほどだ。
「拘束しなさい。この世界の法に従い裁きを与えましょう。」
「なっ!?なぜここにいるのだ!」
慌てるゼロスの声を無視してその女性はゆっくりと顔を上げて口を開いた。
「私は聖エルンストの四聖女リスティ=ローレン。罪状を読みあげます。『国家反逆罪』及び『公開処刑罪』並びに『殺人未遂罪』以上により極刑とする。執行者は私自らが行いましょう……」
静かに語るリスティの姿はマルセナにも神々しく見えた。同時に彼女の正体についても確信を持つ。でも人の命を簡単に殺めるのは違う。マルセナはリスティに話す。
「お待ちください!!」
マルセナは一歩踏み出し、両手を広げて叫ぶ。その姿を見て聖エルンストの兵士たちが慌てて武器を構える。しかし、それをリスティは制止する。
「あなたは?」
「私はカトリーナ教会の聖女。マルセナ=アステリアです。助けて頂いたことには感謝いたします。でもどんな人間であれ、人の命を殺めるのは違うと思います」
毅然と言い放つマルセナを見て、リスティはふっと笑みを浮かべたように見えた。そして彼女はマルセナの前に立つと優しく語りかける。それはまるで子供に言い聞かせるように。まるで母親のように。
リスティは右手を伸ばし、マルセナの頬に触れる。慈愛に満ちたその手はとても温かく感じられた。そしてリスティは静かに呟く。
「あなたも聖女アリーゼと同じで立派な聖女なのですね。今回はあなたに免じて極刑はやめましょう。その犯罪者を聖エルンストの牢獄に連行しなさい!」
その言葉を聞いた聖エルンストの兵士たちは戸惑いながらもゼロスを連れて行った。
終わった。私が公開処刑を止めたんだ。急に力が入らなくなりその場に座り込む。みんなが私のもとに駆け寄ってくる。
「マルセナ様!良かった良かったです!」
「うんうん。」
「ラピス、エルミン。」
二人の少女に抱きつかれて少し苦しいけどとても嬉しかった。私の行動は間違っていなかったんだ。ロゼッタ様がこちらに向かって歩いてきた。そしてロゼッタ様がリスティ様に話す。
「なぜお主がここに?」
「さぁ?それはあなたの仲間の聖女に言ってほしいわ?あんなことがあっても、救いを求めて私たち四聖女を呼ぶ……アリーゼ、あの子は根っからの聖女なのね。また、会いましょうと伝えておいてほしいわ?」
そう言ってリスティ様は歩きだしその場からいなくなった。そしてまた自分を呼ぶ声が聞こえる。
「マルセナ様!」
「エミリー!メリッサさん、みんな良かった…」
後ろを振り返るとそこにはエミリーたちが立っていた。みんなの姿を見て安心したのか涙が出てきた。よかった。本当に良かった。私たちはお互いに抱きしめ合う。そして…そこにはもちろん自分が愛すると決めた最愛の人の姿が。
「ライアン!」
「マルセナ!」
二人はお互いの名前を呼び合い再び強く抱きしめ合った。もう離さないと言わんばかりに強く。これでやっと戻れた気がした。ああ、やっぱりあなたの側にいないと駄目みたい。
「ありがとう。君も無事で良かった。君がいないと私は生きていけないよ……」
「私もよライアン……。ずっと一緒にいて……」
「もちろんだとも。君は私のものだ。誰にも渡さない。これからも永遠に……」
ライアンの言葉に心が満たされていくのを感じた。彼の腕の中はとても心地よい。そして私たちを照らす太陽の光がとても温かい。
「うぅ……感動的なシーンなのに……なんかちょっと寂しい……」
「まあそう言わないラピス。これはマルセナ様が選んだ道だから。祝福してあげよう」
そんな会話をしている二人を横目にこの大広場のランバート王国の住民たちが私とライアンを祝福して拍手喝采が巻き起こる。そして私たちはキスをした。深く、熱い口づけを交わしながら、この幸せが永遠であることを願った。それはこの2人と同じく幸せが続くことを信じてこの場にいる全員の思いが一つになっていた。
そしてマルセナ=アステリアは今日という日を忘れない。それは彼女が素の自分で『聖女』としての最後の仕事をとげた一日なのだから。
ランバート王国の大広場。公開処刑を止めている聖女マルセナの目には絶対絶命という状況が映っている。ライアンや仲間たちの首筋にはすでに刃が置かれていた。少しでも動けば彼らは殺されてしまう。それでもマルセナは冷静であった。
それは聖女としての経験なのか、それとも別の理由か……。その瞳は真っ直ぐと前にいる国王のゼロスを見据えている。
「なんだその目は!?怯えろ!気に入らん!目の前で最愛のライアンが死ぬぞ!」
「あなたには出来ない。私はそう信じているから」
毅然とした態度を崩さないマルセナにゼロス=ランバートが怒りに任せて斧を振り上げる。
(お願い…大聖女ディアナ様…アリーゼ…)
マルセナの祈りが届いたのか、広場の中心に眩い光が降り注ぐ。辺りに閃光が放たれる。それはまるで天からの救いのようにも思えた。
そして閃光がやみ、群衆の中から現れたのは純白に輝くローブに身を包んだ女性。
その姿を見た瞬間、マルセナの表情が驚きに染まる。そして群衆の中にいたフィオナとロゼッタ様はその人物に気づく。
「あれ…あの人は…」
「なぜあやつがここに?」
凛とした声とともに兵士に囲まれた女性が歩き出す。フードの下の顔は見えないが、美しい黒髪を靡かせながらゆっくりと歩いてくる姿は神々しいほどだ。
「拘束しなさい。この世界の法に従い裁きを与えましょう。」
「なっ!?なぜここにいるのだ!」
慌てるゼロスの声を無視してその女性はゆっくりと顔を上げて口を開いた。
「私は聖エルンストの四聖女リスティ=ローレン。罪状を読みあげます。『国家反逆罪』及び『公開処刑罪』並びに『殺人未遂罪』以上により極刑とする。執行者は私自らが行いましょう……」
静かに語るリスティの姿はマルセナにも神々しく見えた。同時に彼女の正体についても確信を持つ。でも人の命を簡単に殺めるのは違う。マルセナはリスティに話す。
「お待ちください!!」
マルセナは一歩踏み出し、両手を広げて叫ぶ。その姿を見て聖エルンストの兵士たちが慌てて武器を構える。しかし、それをリスティは制止する。
「あなたは?」
「私はカトリーナ教会の聖女。マルセナ=アステリアです。助けて頂いたことには感謝いたします。でもどんな人間であれ、人の命を殺めるのは違うと思います」
毅然と言い放つマルセナを見て、リスティはふっと笑みを浮かべたように見えた。そして彼女はマルセナの前に立つと優しく語りかける。それはまるで子供に言い聞かせるように。まるで母親のように。
リスティは右手を伸ばし、マルセナの頬に触れる。慈愛に満ちたその手はとても温かく感じられた。そしてリスティは静かに呟く。
「あなたも聖女アリーゼと同じで立派な聖女なのですね。今回はあなたに免じて極刑はやめましょう。その犯罪者を聖エルンストの牢獄に連行しなさい!」
その言葉を聞いた聖エルンストの兵士たちは戸惑いながらもゼロスを連れて行った。
終わった。私が公開処刑を止めたんだ。急に力が入らなくなりその場に座り込む。みんなが私のもとに駆け寄ってくる。
「マルセナ様!良かった良かったです!」
「うんうん。」
「ラピス、エルミン。」
二人の少女に抱きつかれて少し苦しいけどとても嬉しかった。私の行動は間違っていなかったんだ。ロゼッタ様がこちらに向かって歩いてきた。そしてロゼッタ様がリスティ様に話す。
「なぜお主がここに?」
「さぁ?それはあなたの仲間の聖女に言ってほしいわ?あんなことがあっても、救いを求めて私たち四聖女を呼ぶ……アリーゼ、あの子は根っからの聖女なのね。また、会いましょうと伝えておいてほしいわ?」
そう言ってリスティ様は歩きだしその場からいなくなった。そしてまた自分を呼ぶ声が聞こえる。
「マルセナ様!」
「エミリー!メリッサさん、みんな良かった…」
後ろを振り返るとそこにはエミリーたちが立っていた。みんなの姿を見て安心したのか涙が出てきた。よかった。本当に良かった。私たちはお互いに抱きしめ合う。そして…そこにはもちろん自分が愛すると決めた最愛の人の姿が。
「ライアン!」
「マルセナ!」
二人はお互いの名前を呼び合い再び強く抱きしめ合った。もう離さないと言わんばかりに強く。これでやっと戻れた気がした。ああ、やっぱりあなたの側にいないと駄目みたい。
「ありがとう。君も無事で良かった。君がいないと私は生きていけないよ……」
「私もよライアン……。ずっと一緒にいて……」
「もちろんだとも。君は私のものだ。誰にも渡さない。これからも永遠に……」
ライアンの言葉に心が満たされていくのを感じた。彼の腕の中はとても心地よい。そして私たちを照らす太陽の光がとても温かい。
「うぅ……感動的なシーンなのに……なんかちょっと寂しい……」
「まあそう言わないラピス。これはマルセナ様が選んだ道だから。祝福してあげよう」
そんな会話をしている二人を横目にこの大広場のランバート王国の住民たちが私とライアンを祝福して拍手喝采が巻き起こる。そして私たちはキスをした。深く、熱い口づけを交わしながら、この幸せが永遠であることを願った。それはこの2人と同じく幸せが続くことを信じてこの場にいる全員の思いが一つになっていた。
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