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第4章 聖女。本の知識でダンジョン攻略するのです!
4. 始まりと終わりの場所
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4. 始まりと終わりの場所
とりあえず初級冒険者ダンジョンに挑むことになったので、必要なアイテムや素材を買うために、私とロゼッタ様とハーツスターの街に繰り出すことにしたのです。
この街には、私が知らないものがたくさんあるのです。なんだか、ワクワクするのです!それにダンジョンに挑むために必要なアイテムを整えるなんて、まるで本の物語のような冒険者になったみたいなのです!楽しいのです!さて、まずはダンジョンに行くための準備を整えないとなのです。
「そう言えばロゼッタ様がついてくるなんて珍しいのですね?」
「そんなこともなかろう。まぁ……ただの気まぐれじゃ。気にするでない。それより早く行くぞ」
そう言ってロゼッタ様はスタスタと前を歩いて行ってしまったのです。でもどことなくいつものロゼッタ様とは雰囲気が違うような気もするのです。何かあるのですかね?……と言っても、ロゼッタ様は素直に教えてくれそうにないのですけどね。
結局、そのままアイテム屋さんで必要なアイテムを買い、街の中央広場で休憩をすることにするのです。そこには噴水があり、その周りにはたくさんの人がいて賑わっているのです。
私は噴水の前のベンチに腰掛けるのです。ロゼッタ様も私の隣に座ると、ふぅっと一息ついたのです。
そして、そのまましばらく沈黙の時間が流れるのです。でも不思議と気まずくはない……むしろ平和な時間が流れて落ち着くのです。それからしばらくして、ロゼッタ様が口を開いたのです。
「……お主は何も聞かんのじゃな」
「聞いて欲しいのです?」
「いや、別にそういうわけではないのじゃが……」
「そうなのです?別にロゼッタ様が言いたくないなら無理に聞かないのです。でも話したいことがあるならいつでも聞くのですよ」
私がそう言うと、ロゼッタ様は少しだけ微笑んだように見えたのです。
「……まぁ。お主には言っておこうと思ってな。ワシはこのシェルタバード島に来たことがある……ここは始まりと終わりの場所なのじゃ」
「始まりと終わりの場所……?」
「うむ。ここは元々島ではなかったのじゃよ、『世界大戦』の影響で大地が切り離されたのじゃ。それで、この島だけが残ったということじゃな」
ということは、元々はこの島もセントリン王国の本土と繋がっていたのですね。大地が切り離される……『世界大戦』は壮絶な戦いだったのですね。
「そしてここは……大聖女ディアナの故郷でもあるのじゃ。そして……最後に息を引き取った場所……」
「え?」
まさか……ここが大聖女ディアナ様の故郷なのです!?でも……そんなこと誰も知らないのです。本にも書いてない事実なのです。私が驚いていると、ロゼッタ様はそのまま続けて話すのです。
「……後生に語り継がれないのは、シェルタバードが1度なくなったからじゃ。大聖女ディアナの故郷だったシェルタバードはもうない。そしてその事実を知る者も、語り継ぐ者もいなくなった」
「そうだったのですね……でも大聖女ディアナ様の故郷がこのシェルタバードだなんて驚きなのです!でも……なぜそれを私に?」
「……どうせギル坊から何か聞いたのじゃろ?お主もギル坊も隠し事がヘタじゃからな?」
バレていたのですか……そんなに私は隠し事が下手ですかね?そしてロゼッタ様は立ち上がり、少し歩きだすと止まって、振り返らずに背を向けたまま話す。
「アリーゼ」
「はい?」
「……ワシの魔力が戻るまで死ぬことは絶対に許さぬからな?そう何度も聖女に死なれては困るからの。わかったな?」
ロゼッタ様はそう言ってまた歩き始める。私にはその言葉が痛いくらいに刺さる。ロゼッタ様はきっと……後悔しているのかも知れないのです。『世界大戦』で大聖女ディアナ様を救えなかったことを……
私はそのままロゼッタ様の背中に飛び付く。そしてそのままギュッと抱きしめるのです。
「なんじゃ!?重いぞ!」
「大丈夫なのです。約束を破ることはいけないことなのです。安心してください。私は聖女なのです!聖女は嘘をつかないのですよ?」
私はそう言ってロゼッタ様に微笑む。そうなのです!私は聖女なのですから、絶対に約束は守らなければ行けないのです。それに……誰かを悲しませてしまうなら、それは聖女失格なのです。そうですよね?大聖女ディアナ様?
とりあえず初級冒険者ダンジョンに挑むことになったので、必要なアイテムや素材を買うために、私とロゼッタ様とハーツスターの街に繰り出すことにしたのです。
この街には、私が知らないものがたくさんあるのです。なんだか、ワクワクするのです!それにダンジョンに挑むために必要なアイテムを整えるなんて、まるで本の物語のような冒険者になったみたいなのです!楽しいのです!さて、まずはダンジョンに行くための準備を整えないとなのです。
「そう言えばロゼッタ様がついてくるなんて珍しいのですね?」
「そんなこともなかろう。まぁ……ただの気まぐれじゃ。気にするでない。それより早く行くぞ」
そう言ってロゼッタ様はスタスタと前を歩いて行ってしまったのです。でもどことなくいつものロゼッタ様とは雰囲気が違うような気もするのです。何かあるのですかね?……と言っても、ロゼッタ様は素直に教えてくれそうにないのですけどね。
結局、そのままアイテム屋さんで必要なアイテムを買い、街の中央広場で休憩をすることにするのです。そこには噴水があり、その周りにはたくさんの人がいて賑わっているのです。
私は噴水の前のベンチに腰掛けるのです。ロゼッタ様も私の隣に座ると、ふぅっと一息ついたのです。
そして、そのまましばらく沈黙の時間が流れるのです。でも不思議と気まずくはない……むしろ平和な時間が流れて落ち着くのです。それからしばらくして、ロゼッタ様が口を開いたのです。
「……お主は何も聞かんのじゃな」
「聞いて欲しいのです?」
「いや、別にそういうわけではないのじゃが……」
「そうなのです?別にロゼッタ様が言いたくないなら無理に聞かないのです。でも話したいことがあるならいつでも聞くのですよ」
私がそう言うと、ロゼッタ様は少しだけ微笑んだように見えたのです。
「……まぁ。お主には言っておこうと思ってな。ワシはこのシェルタバード島に来たことがある……ここは始まりと終わりの場所なのじゃ」
「始まりと終わりの場所……?」
「うむ。ここは元々島ではなかったのじゃよ、『世界大戦』の影響で大地が切り離されたのじゃ。それで、この島だけが残ったということじゃな」
ということは、元々はこの島もセントリン王国の本土と繋がっていたのですね。大地が切り離される……『世界大戦』は壮絶な戦いだったのですね。
「そしてここは……大聖女ディアナの故郷でもあるのじゃ。そして……最後に息を引き取った場所……」
「え?」
まさか……ここが大聖女ディアナ様の故郷なのです!?でも……そんなこと誰も知らないのです。本にも書いてない事実なのです。私が驚いていると、ロゼッタ様はそのまま続けて話すのです。
「……後生に語り継がれないのは、シェルタバードが1度なくなったからじゃ。大聖女ディアナの故郷だったシェルタバードはもうない。そしてその事実を知る者も、語り継ぐ者もいなくなった」
「そうだったのですね……でも大聖女ディアナ様の故郷がこのシェルタバードだなんて驚きなのです!でも……なぜそれを私に?」
「……どうせギル坊から何か聞いたのじゃろ?お主もギル坊も隠し事がヘタじゃからな?」
バレていたのですか……そんなに私は隠し事が下手ですかね?そしてロゼッタ様は立ち上がり、少し歩きだすと止まって、振り返らずに背を向けたまま話す。
「アリーゼ」
「はい?」
「……ワシの魔力が戻るまで死ぬことは絶対に許さぬからな?そう何度も聖女に死なれては困るからの。わかったな?」
ロゼッタ様はそう言ってまた歩き始める。私にはその言葉が痛いくらいに刺さる。ロゼッタ様はきっと……後悔しているのかも知れないのです。『世界大戦』で大聖女ディアナ様を救えなかったことを……
私はそのままロゼッタ様の背中に飛び付く。そしてそのままギュッと抱きしめるのです。
「なんじゃ!?重いぞ!」
「大丈夫なのです。約束を破ることはいけないことなのです。安心してください。私は聖女なのです!聖女は嘘をつかないのですよ?」
私はそう言ってロゼッタ様に微笑む。そうなのです!私は聖女なのですから、絶対に約束は守らなければ行けないのです。それに……誰かを悲しませてしまうなら、それは聖女失格なのです。そうですよね?大聖女ディアナ様?
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