77 / 158
第3章 聖女。魔法と鉱山に挑むのです!
14. 異変
しおりを挟む
14. 異変
魔法都市ルナノワールの西にあるアルスメルタの街に魔物の軍勢が現れたという情報を聞いて私たちは馬車で街に急ぐことにしたのです。こうも魔物討伐ばかりだと……心配になるのですね。でもロゼッタ様もフィオナも凄く強くなっているのです。それと今回は、あの聖エルンストの四聖女のリスティ様も一緒なので安心なのです。
アルスメルタの街へ向かう馬車の中でロゼッタ様が真面目な顔をして私に話しかけてくるのです。何かありましたかね?
「アリーゼ。一つ言っておくぞ」
「何ですかロゼッタ様?」
「あの四聖女リスティ=ローレンには気をつけるのじゃ。あやつはお前が「聖痕」が消え、聖魔法を使えないことを知っているかもしれん……そんな口振りじゃった」
私はその言葉を聞いた時少し動揺してしまいました。どうしてロゼッタ様はそんなことを言ったんでしょうか。リスティ様は聖女なのです……でもロゼッタ様は続けて言うのです。
「だから聖女であるからと言って信用するでないぞ。それに聖女の使命は世界の秩序を守るのものと言っておったが……それだって怪しいものじゃ。ワシはあやつら聖エルンスト……特に四聖女は信用できないと思っておる」
「師匠……」
私は聖女リスティ様にそこまで警戒する必要あるのかと思いました。でもあの時……ソルファス王国で処刑を止めて、アリア様を助けてくれたのは事実なのです。
それにロゼッタ様はあの大聖女ディアナ様の親友のはず……もしかして過去に何かあったのですかね?
「……もしかしたらワシと同じなのかも知れんの……」
「えっ同じなのです?」
「いやこっちの話じゃ。とりあえず警戒はしておくのじゃ」
そういうとロゼッタ様はそれ以上は何も言いませんでした。それからしばらくして私たちはアルスメルタの街に到着しました。
今は何とか騎士団やギルド冒険者、屈強な街の男性たちが魔物の軍勢を食い止めてくれておりまだ被害はそこまで出ていない様子なのです。でもすぐそこまで迫る魔物の恐怖に街の人々は慌てて逃げ惑っています。
「何とか間に合ったのじゃな。さて……どうするのじゃ?聖女リスティ?」
「そうですね……まずは街の住人の不安を取り除きましょう。それが先決ですね。それと、あなた様は魔女なのですよね?少しの間、前線に加勢して魔物をお願いできますか?」
「……分かったのじゃ。フィオナ、アリーゼを頼むのじゃ」
「うん。わかった師匠」
そう言ってロゼッタ様は前線に行く。そしてリスティ様はゆっくり歩きながら人々に近寄りました。人々は突然現れた四聖女の姿を見て驚きつつも助かったという思いが強く感謝の声を上げているみたいです。そして……聖女リスティ様の言葉を聞きました。
「恐れないでください!私は聖エルンストの四聖女リスティ=ローレン!私が皆様を必ず救います!どうか落ち着いてください!」
街の人々はそのリスティ様の言葉を聞いて、希望に満ちた表情になっていくのです。さすがは四聖女様なのですね!
その様子を見て、私は本当に大丈夫なんだと思いホッとした気持ちになったのです。リスティ様はそのまま街を囲うように聖魔法で強力な結界を張る。それはこの前のものとは違う結界なのです。
そして……私は聞こえたのです
リスティ様が小さく……一言だけ呟いたのが……
「さぁ……見せて……本物かどうかを?」
すると……
ドクンッ!!と私の胸が熱くなるのです。熱い……身体中に激痛が走るのです。息ができないのです……目の前が見えなくなって……誰か……助けてください……
「うっ…ぅぅ…」
「アリーゼ様?……アリーゼ様!?」
バタッ! 私が倒れた音と同時にフィオナの声が聞こえたような気がしますが私の意識はそのまま遠退いて行きました。
目を覚ますと見覚えのない天井が見える。あれ?ここはどこでしょう?ベッドで寝てるみたいなのです。辺りを見回すとどうやら個室のようなのです。
一体ここは……確か……そうです。アルスメルタの街に着いてリスティ様が聖魔法の結界魔法を使った時に、突然心臓が激しく痛み出して苦しくて倒れてしまったのです……
まさか……病気になったとかじゃないのです!? 私が慌てるとガチャリという音がして1人の女性が入って来ました。聖女リスティ様なのです
「あら、聖女アリーゼ。目が覚めたんですね」
「あ、はいなのです。すいません迷惑をかけて……」
良かったのです……でも……リスティ様を見た瞬間、身体中を何かが駆け巡るのです。これは……恐怖?リスティ様を恐れている?なぜ?こんなに緊張するのは初めてなのです……
リスティ様は私を見るなり笑顔を浮かべる。でもその瞳はとても冷たく感じるのです。まるでそこに存在しないものを見るように見つめられてるような錯覚に陥りそうになる……まるで……私ではなく……私に何かを見るような……そんな時だったのです
ズキンッ!!!またあの時の発作が起きる。苦しいのです……何だかもう頭がぐちゃぐちゃになって来るのです。そして私は気を失ってしまう。
「やはり……私の考えは当たっていたようですね?あなたには資格があるわ……もちろんこの事は、まだ聖エルンストの教会には報告しませんよ?これからもこの世界を救う聖女として頑張ってください……私の理想を体現するまで……ね?ふふっ」
その声は私の耳には届かなかったのです。
魔法都市ルナノワールの西にあるアルスメルタの街に魔物の軍勢が現れたという情報を聞いて私たちは馬車で街に急ぐことにしたのです。こうも魔物討伐ばかりだと……心配になるのですね。でもロゼッタ様もフィオナも凄く強くなっているのです。それと今回は、あの聖エルンストの四聖女のリスティ様も一緒なので安心なのです。
アルスメルタの街へ向かう馬車の中でロゼッタ様が真面目な顔をして私に話しかけてくるのです。何かありましたかね?
「アリーゼ。一つ言っておくぞ」
「何ですかロゼッタ様?」
「あの四聖女リスティ=ローレンには気をつけるのじゃ。あやつはお前が「聖痕」が消え、聖魔法を使えないことを知っているかもしれん……そんな口振りじゃった」
私はその言葉を聞いた時少し動揺してしまいました。どうしてロゼッタ様はそんなことを言ったんでしょうか。リスティ様は聖女なのです……でもロゼッタ様は続けて言うのです。
「だから聖女であるからと言って信用するでないぞ。それに聖女の使命は世界の秩序を守るのものと言っておったが……それだって怪しいものじゃ。ワシはあやつら聖エルンスト……特に四聖女は信用できないと思っておる」
「師匠……」
私は聖女リスティ様にそこまで警戒する必要あるのかと思いました。でもあの時……ソルファス王国で処刑を止めて、アリア様を助けてくれたのは事実なのです。
それにロゼッタ様はあの大聖女ディアナ様の親友のはず……もしかして過去に何かあったのですかね?
「……もしかしたらワシと同じなのかも知れんの……」
「えっ同じなのです?」
「いやこっちの話じゃ。とりあえず警戒はしておくのじゃ」
そういうとロゼッタ様はそれ以上は何も言いませんでした。それからしばらくして私たちはアルスメルタの街に到着しました。
今は何とか騎士団やギルド冒険者、屈強な街の男性たちが魔物の軍勢を食い止めてくれておりまだ被害はそこまで出ていない様子なのです。でもすぐそこまで迫る魔物の恐怖に街の人々は慌てて逃げ惑っています。
「何とか間に合ったのじゃな。さて……どうするのじゃ?聖女リスティ?」
「そうですね……まずは街の住人の不安を取り除きましょう。それが先決ですね。それと、あなた様は魔女なのですよね?少しの間、前線に加勢して魔物をお願いできますか?」
「……分かったのじゃ。フィオナ、アリーゼを頼むのじゃ」
「うん。わかった師匠」
そう言ってロゼッタ様は前線に行く。そしてリスティ様はゆっくり歩きながら人々に近寄りました。人々は突然現れた四聖女の姿を見て驚きつつも助かったという思いが強く感謝の声を上げているみたいです。そして……聖女リスティ様の言葉を聞きました。
「恐れないでください!私は聖エルンストの四聖女リスティ=ローレン!私が皆様を必ず救います!どうか落ち着いてください!」
街の人々はそのリスティ様の言葉を聞いて、希望に満ちた表情になっていくのです。さすがは四聖女様なのですね!
その様子を見て、私は本当に大丈夫なんだと思いホッとした気持ちになったのです。リスティ様はそのまま街を囲うように聖魔法で強力な結界を張る。それはこの前のものとは違う結界なのです。
そして……私は聞こえたのです
リスティ様が小さく……一言だけ呟いたのが……
「さぁ……見せて……本物かどうかを?」
すると……
ドクンッ!!と私の胸が熱くなるのです。熱い……身体中に激痛が走るのです。息ができないのです……目の前が見えなくなって……誰か……助けてください……
「うっ…ぅぅ…」
「アリーゼ様?……アリーゼ様!?」
バタッ! 私が倒れた音と同時にフィオナの声が聞こえたような気がしますが私の意識はそのまま遠退いて行きました。
目を覚ますと見覚えのない天井が見える。あれ?ここはどこでしょう?ベッドで寝てるみたいなのです。辺りを見回すとどうやら個室のようなのです。
一体ここは……確か……そうです。アルスメルタの街に着いてリスティ様が聖魔法の結界魔法を使った時に、突然心臓が激しく痛み出して苦しくて倒れてしまったのです……
まさか……病気になったとかじゃないのです!? 私が慌てるとガチャリという音がして1人の女性が入って来ました。聖女リスティ様なのです
「あら、聖女アリーゼ。目が覚めたんですね」
「あ、はいなのです。すいません迷惑をかけて……」
良かったのです……でも……リスティ様を見た瞬間、身体中を何かが駆け巡るのです。これは……恐怖?リスティ様を恐れている?なぜ?こんなに緊張するのは初めてなのです……
リスティ様は私を見るなり笑顔を浮かべる。でもその瞳はとても冷たく感じるのです。まるでそこに存在しないものを見るように見つめられてるような錯覚に陥りそうになる……まるで……私ではなく……私に何かを見るような……そんな時だったのです
ズキンッ!!!またあの時の発作が起きる。苦しいのです……何だかもう頭がぐちゃぐちゃになって来るのです。そして私は気を失ってしまう。
「やはり……私の考えは当たっていたようですね?あなたには資格があるわ……もちろんこの事は、まだ聖エルンストの教会には報告しませんよ?これからもこの世界を救う聖女として頑張ってください……私の理想を体現するまで……ね?ふふっ」
その声は私の耳には届かなかったのです。
21
お気に入りに追加
377
あなたにおすすめの小説
【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~
夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】
「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」
アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。
理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。
もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。
自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。
王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると
「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」
オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが……
アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。
そして今日も大きなあの声が聞こえる。
「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」
と
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる