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追憶の章 魔女と聖女の始まり
20. 不吉な予感
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20. 不吉な予感
私たちはメルティアの魔法鍛冶屋に向かうことにする。ルナはどうやら何かを作りたくて鉱石を集めていたみたいね。
「いらっしゃーい!あっロゼッタ様とディアナ様。こんにちは!」
「こんにちは。今日はこの子があなたに用があるみたいなの。お願いできるかしら?」
ルナはメルティアに作って欲しいものを依頼し始める。一体何を作りたいのかしら?
「すごく楽しみ!早くできないかなぁ~!」
「あのさルナ。さっきの人は?」
「え?カイトさんのこと?カイトさんは冒険者なんだけど、探索スキルがすごいの!だから鉱石を探すのを手伝ってもらったんだ!最初は私がカイトさんの為に一緒に依頼してさ」
なるほど。じゃあ別にルナはカイトの事が好きとかそう言うのじゃないのね。そんなことを考えているとルナが頼んだものが出来上がる。
「出来たよ~!どうぞ!」
「わぁ!キレイ!ありがとう!」
「それは……リングですか?」
「そうだよディアナ様!これが私のでこっちがギル君の!お互いの魔力を感知できるやつ!これなら離れても安心だもんね!」
ルナは初めからギル坊のために?だから内緒で依頼をしてたのか。甘酸っぱいわね。なんかこっちが恥ずかしくなるわ。
「ルナさんは本当にギルフォードさんのことを想っているんですね」
「ディアナ様!当たり前だよ!だってギル君は私のとっての運命の人だもん!一緒に魔法都市で頑張るんだから!」
「えぇ!?運命って!ルナはギル坊の事が好きとか!?」
「うん!大好き!弟みたいでさ。私何かおかしい?」
「いえ。おかしくはないですよ」
そう言うことね。まったく心配して損したわ。私たちは宿屋に戻り、ルナがギル坊にリングを渡すと、朝とはうって変わって元気になっていた。単純なやつ。でもこれで一件落着かしら? そしてその日の夜。
「えへへ」
「……気持ち悪いわよギル坊?」
「ひどいですよロゼッタ様!ボク嬉しいんですよ。ルナさんがボクのことを好きだなんて!」
「弟としてでしょ?自惚れるな」
「それでもです!しかもお揃いの魔道具まで……もう幸せすぎてどうにかなりそうです!」
「はいはい。よかったわね」
ギル坊はすっかりご機嫌で、ずっとニヤけている。そんなギル坊を見てるとこっちまで笑顔になる。まぁ喜んでくれるならいいか。
「あ。もしかして嫉妬してますかロゼッタ様?」
「は?」
「いつかロゼッタ様にもいい人見つか……」
私は今まで以上の速さでギル坊にアイアンクローをかます。ガキが……マウントとってやがるわ。
「ねぇ?今なんて言ったのかしら?もう一回言ってみなさいよギル坊?」
「いたっ!痛いですロゼッタ様!冗談ですから!すみません許してください!」
「ふんっ!次ふざけたこと抜かすとマジでぶっ飛ばすからね!」
「は……はいぃ……」
「ふぅ……よし。寝る前にお風呂に入ろうっと。覗くんじゃないわよ?」
ギル坊が落ち着いたので私はお風呂に入る。今日は色々あったなぁ。明日も早いし早く寝ることにしよう。
そして翌朝。
「おはようございます!ロゼッタ様!いい天気ですよ!寝てたらもったいないです!」
「朝からうるさいわよギル坊」
「ほら!行きましょう!」
「はいはい」
いつものように朝の訓練をしてから朝食を食べてギルドに向かう。さすがにこの時間だと混んでいて受付に行くまでに少し時間がかかりそうだ。
「わぁ!混んでるね!」
「ロゼッタ様!ボクはここでルナさんと待ってますね。ディアナ様と行ってきてください」
そう言って私の背中を押すギル坊。わかったわよ。本当に思春期の男は困るわ。
とりあえず簡単な魔物討伐依頼を受けギルドをあとにする。街を歩いていると一匹の黒猫が寄ってきて、私に纏わりついてくる。
「あら?黒猫?」
「ニャァー」
「わぁ!可愛い!」
「本当ですね。飼い猫でしょうか?でも黒猫って不吉な予感しますけど」
私はしゃがみこんで猫を抱き上げる。大人しくしていて人懐っこいなぁ。
「名前は……クロかしら?」
「安直ですね」
「うるさいわよ」
「でも魔女に黒猫はお決まりですよね。やっぱり懐いてますねロゼッタ様に」
「そうね。クロちゃんおいで~」
私が呼ぶと素直についてきてくれる。この子賢いわね。
「あの。遊んでいる場合じゃないですが?」
「仕方ないでしょ?私の人柄に惹かれてくるんだから」
「ロゼッタさんが言うならそうなのかもしれませんね」
ディアナは微笑む。何笑ってんのよ。私にはわかるわ。どうせバカにしてるんでしょう?
そして黒猫のクロを連れて行くわけには行かないので、近くの公園に放した。するとそのまま走りだして行ってしまった。本当に猫はきまぐれよね。
それから私たちは目的の場所に向かいながら魔物を狩っていた。特に問題もなく順調に進んでいる。このままなら早めに帰れるかもしれない。そんなことを考えていた時だった。突然地面が揺れだす。
「なに!?地震?」
「いえ。これは……地中から何か来ます!」
私は杖を構えて様子を伺う。しばらくすると土煙の中から大きな蜘蛛が出てきた。あれは……ジャイアントスパイダー?確か生息地はもっと東の方にあるはずなのに……
「なんでこんなところに?」
「ロゼッタさん。油断しないでください」
「わかってるわ。こいつは強い。気をつけて戦うわよ」
まったく。不吉な予感があたるなんて。こうして私たちは強力な魔物と戦うことになったのだった。
私たちはメルティアの魔法鍛冶屋に向かうことにする。ルナはどうやら何かを作りたくて鉱石を集めていたみたいね。
「いらっしゃーい!あっロゼッタ様とディアナ様。こんにちは!」
「こんにちは。今日はこの子があなたに用があるみたいなの。お願いできるかしら?」
ルナはメルティアに作って欲しいものを依頼し始める。一体何を作りたいのかしら?
「すごく楽しみ!早くできないかなぁ~!」
「あのさルナ。さっきの人は?」
「え?カイトさんのこと?カイトさんは冒険者なんだけど、探索スキルがすごいの!だから鉱石を探すのを手伝ってもらったんだ!最初は私がカイトさんの為に一緒に依頼してさ」
なるほど。じゃあ別にルナはカイトの事が好きとかそう言うのじゃないのね。そんなことを考えているとルナが頼んだものが出来上がる。
「出来たよ~!どうぞ!」
「わぁ!キレイ!ありがとう!」
「それは……リングですか?」
「そうだよディアナ様!これが私のでこっちがギル君の!お互いの魔力を感知できるやつ!これなら離れても安心だもんね!」
ルナは初めからギル坊のために?だから内緒で依頼をしてたのか。甘酸っぱいわね。なんかこっちが恥ずかしくなるわ。
「ルナさんは本当にギルフォードさんのことを想っているんですね」
「ディアナ様!当たり前だよ!だってギル君は私のとっての運命の人だもん!一緒に魔法都市で頑張るんだから!」
「えぇ!?運命って!ルナはギル坊の事が好きとか!?」
「うん!大好き!弟みたいでさ。私何かおかしい?」
「いえ。おかしくはないですよ」
そう言うことね。まったく心配して損したわ。私たちは宿屋に戻り、ルナがギル坊にリングを渡すと、朝とはうって変わって元気になっていた。単純なやつ。でもこれで一件落着かしら? そしてその日の夜。
「えへへ」
「……気持ち悪いわよギル坊?」
「ひどいですよロゼッタ様!ボク嬉しいんですよ。ルナさんがボクのことを好きだなんて!」
「弟としてでしょ?自惚れるな」
「それでもです!しかもお揃いの魔道具まで……もう幸せすぎてどうにかなりそうです!」
「はいはい。よかったわね」
ギル坊はすっかりご機嫌で、ずっとニヤけている。そんなギル坊を見てるとこっちまで笑顔になる。まぁ喜んでくれるならいいか。
「あ。もしかして嫉妬してますかロゼッタ様?」
「は?」
「いつかロゼッタ様にもいい人見つか……」
私は今まで以上の速さでギル坊にアイアンクローをかます。ガキが……マウントとってやがるわ。
「ねぇ?今なんて言ったのかしら?もう一回言ってみなさいよギル坊?」
「いたっ!痛いですロゼッタ様!冗談ですから!すみません許してください!」
「ふんっ!次ふざけたこと抜かすとマジでぶっ飛ばすからね!」
「は……はいぃ……」
「ふぅ……よし。寝る前にお風呂に入ろうっと。覗くんじゃないわよ?」
ギル坊が落ち着いたので私はお風呂に入る。今日は色々あったなぁ。明日も早いし早く寝ることにしよう。
そして翌朝。
「おはようございます!ロゼッタ様!いい天気ですよ!寝てたらもったいないです!」
「朝からうるさいわよギル坊」
「ほら!行きましょう!」
「はいはい」
いつものように朝の訓練をしてから朝食を食べてギルドに向かう。さすがにこの時間だと混んでいて受付に行くまでに少し時間がかかりそうだ。
「わぁ!混んでるね!」
「ロゼッタ様!ボクはここでルナさんと待ってますね。ディアナ様と行ってきてください」
そう言って私の背中を押すギル坊。わかったわよ。本当に思春期の男は困るわ。
とりあえず簡単な魔物討伐依頼を受けギルドをあとにする。街を歩いていると一匹の黒猫が寄ってきて、私に纏わりついてくる。
「あら?黒猫?」
「ニャァー」
「わぁ!可愛い!」
「本当ですね。飼い猫でしょうか?でも黒猫って不吉な予感しますけど」
私はしゃがみこんで猫を抱き上げる。大人しくしていて人懐っこいなぁ。
「名前は……クロかしら?」
「安直ですね」
「うるさいわよ」
「でも魔女に黒猫はお決まりですよね。やっぱり懐いてますねロゼッタ様に」
「そうね。クロちゃんおいで~」
私が呼ぶと素直についてきてくれる。この子賢いわね。
「あの。遊んでいる場合じゃないですが?」
「仕方ないでしょ?私の人柄に惹かれてくるんだから」
「ロゼッタさんが言うならそうなのかもしれませんね」
ディアナは微笑む。何笑ってんのよ。私にはわかるわ。どうせバカにしてるんでしょう?
そして黒猫のクロを連れて行くわけには行かないので、近くの公園に放した。するとそのまま走りだして行ってしまった。本当に猫はきまぐれよね。
それから私たちは目的の場所に向かいながら魔物を狩っていた。特に問題もなく順調に進んでいる。このままなら早めに帰れるかもしれない。そんなことを考えていた時だった。突然地面が揺れだす。
「なに!?地震?」
「いえ。これは……地中から何か来ます!」
私は杖を構えて様子を伺う。しばらくすると土煙の中から大きな蜘蛛が出てきた。あれは……ジャイアントスパイダー?確か生息地はもっと東の方にあるはずなのに……
「なんでこんなところに?」
「ロゼッタさん。油断しないでください」
「わかってるわ。こいつは強い。気をつけて戦うわよ」
まったく。不吉な予感があたるなんて。こうして私たちは強力な魔物と戦うことになったのだった。
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