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追憶の章 魔女と聖女の始まり
7. クレープの魔女
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7. クレープの魔女
私たちは東の洞窟の『黒い魔物』を倒した。街に戻りギルドに報告していつもの料理店で夕飯を食べることにする。
「はぁ~疲れた……」
私は椅子に深く腰掛けて背もたれによりかかる。そして目の前のステーキに手をつけずに天井を見上げた。
「お疲れ様ですロゼッタ様」
「本当に凄かったロゼッタ様!」
「……ありがとうギル坊、ルナ」
私を労ってくれる言葉が嬉しくて少し照れてしまう。それにしてもあそこまで強力な魔法を使うとは思わなかった。そして私は1つ気になることがあった。
それはあの洞窟で感じた気配。あれは魔女特有の魔力……もしかしたらあの『黒い魔物』は呪魔法?そんなことを考えながら目の前のステーキを一口食べる。うん美味しい!やっぱりこの店は最高ね!
今はそんなことを考えるのはやめにする。きっと考えれば考えるほど泥沼にはまるだろうから。それよりご飯ご飯。私が次の一口のステーキを口に運ぼうとした時、その料理店の扉が開く。
カランコロンッ ……誰かしら?そう思って入り口を見ると、そこには見たくもない人物がなぜかそこにいた。長い銀髪、燃えるような赤い目、少し強調した胸。そして純白のローブに身を包む女性。そうあいつだ。
「あら、あなたはいつぞやの?」
彼女は私を見て微笑んだ。なんなのこいつ?なぜここにいるのかしら?聖エルンストの聖女ディアナ。
「…………」
私は無視を決め込むことにした。ここで反応すればこいつの思う壺だわ。私は何事もなかったかのようにステーキを食べ始めた。
「あらあら。無視をするなんて子供じゃあるまいし。そんなんだから最後のクレープを食べれないのではないんですか?クレープの魔女さん?」
「あんたねぇ!」
「あ。そうでしたあなたにかまっている暇はなかったんでした。すいませんこのリーベル・アイルに『竜殺しの魔女』『極悪非道の魔女』がいると聞いたのですが、ご存じありませんか?」
ディアナは店主や他のお客様に尋ねている。なんでこいつは私を探しているの?
「あの今のロゼッタ様のことじゃないんですか?」
「えぇロゼッタ様!そんなに有名なの!」
「静かにしてギル坊!ルナ!」
それにディアナが気付き、またテーブルに戻ってくる。最悪。なんでこんな奴が来るのよ……本当に嫌になるわ。
「ほえー。クレープの魔女さんがあの『竜殺しの魔女』『極悪非道の魔女』なんですか。まぁ行いの悪さなら納得ですね」
「黙りなさい。帰るわよギル坊、ルナ」
私は立ち上がり、店を出ようとする。すると後ろから声をかけられた。
「待ってください!」
私は足を止める。振り返るとディアナが真っ直ぐこちらを見ていた。
「まだ何か用かしら?私は用がないんだけど?」
私はディアナを睨みつける。それを見たディアナは表情を一切変えない。こいつのこの感情を感じさせないのムカつくのよ。
「少し聞きたいことがあります。時間をください」
「断るわ」
私は即答する。もうこの女に関わりたくない。早く帰らせてほしい。
「いいから座ってください。これは重要な話なんです」
ここで揉めてもお店にも迷惑だし、私はギル坊とルナを先に宿屋に帰らせる。私の気持ちを知ってか知らずかディアナは強引に私を座らせた。くそっ……私は諦めて席につく。そしてディアナも対面するように椅子に腰掛けた。
「話って何よ。私は暇じゃないの」
「東の洞窟の『黒い魔物』を討伐したのはあなたで間違いないんですね?」
「それがどうしたの?悪いけどさっきも言った通り、私は忙しいの。要件があるなら手短にして頂戴」
「なら単刀直入に言います。何か感じませんでしたか?」
そうまっすぐ私を見て聞いてくるディアナ。もしかして魔女特有の魔力の事?でもなんでそれをディアナが知っているの?
「感じるわけないでしょう?どうして私が感じないといけないの?」
「クレープの魔女さん。私言いましたよ、これは重要な話だと。誤魔化さないでください」
そう言って真剣な眼差しを向けるディアナ。誤魔化しているつもりはないんだけど。
「……わかったわ。話すからその呼び方やめてくれない?不愉快だわ。私はロゼッタ」
「わかりました。では話してくださいロゼッタさん」
私はディアナに説明をした。東の洞窟で魔女特有の魔力を感じたことを。そしてそれを聞いたディアナは静かに話始める。
「ここ最近、各地で黒い魔物……いや『黒い魔力』が確認されているのです。その『黒い魔力』は人間を襲い、そしてその人間の身体に侵食していく。そして最後には理性をなくし、人を襲う怪物となるのです」
「なるほどね。それが魔女特有の魔力だから私を疑ってるってことかしら?ふざけるのも大概にしてもらえないかしら?私は魔女だけど『黒い魔力』なんて知らないわよ。」
「では質問を変えます。そういう能力の魔女を……」
私は机を思い切り叩く。そしてディアナの言葉を遮った。それでもまったく表情を変えない。本当にムカつくのよこいつ。
「そんな魔女は知らないし、だいたいあんたたちの物差しで物事をはかるんじゃないわよ。魔女は馴れ合いなんかしないし、誰が何をしようと関係ない。だから私には関係ない。失礼するわ」
私は席を立ち、店を出る。するとディアナが私を呼び止めた。
「待ってください!まだ話は終わってないです!」
「しつこいわよ!あんた聖女なんでしょ!?あんたのその無駄な正義感に私を巻き込まないでちょうだい!」
「無駄な正義感ではありません!このままでは間違いなく世界は滅びてしまうのです!」
「だったらあんたがどうにかしなさいよ!私がなんで世界を救わなくちゃいけないの!そんなの知った事じゃないわ!」
「それは……」
ディアナは言葉を詰まらせる。
「もういいでしょ?私は行くわよ」
私はその場を離れ、宿屋へと帰った。
「ふぅー」
私は宿の部屋に入り、ベッドに倒れこむ。疲れたわ……本当に。まさかあんなところでディアナに会うとは思わなかった。なんであいつがこの国にいるのかしら。どうでもいいか……もう寝よう。
私たちは東の洞窟の『黒い魔物』を倒した。街に戻りギルドに報告していつもの料理店で夕飯を食べることにする。
「はぁ~疲れた……」
私は椅子に深く腰掛けて背もたれによりかかる。そして目の前のステーキに手をつけずに天井を見上げた。
「お疲れ様ですロゼッタ様」
「本当に凄かったロゼッタ様!」
「……ありがとうギル坊、ルナ」
私を労ってくれる言葉が嬉しくて少し照れてしまう。それにしてもあそこまで強力な魔法を使うとは思わなかった。そして私は1つ気になることがあった。
それはあの洞窟で感じた気配。あれは魔女特有の魔力……もしかしたらあの『黒い魔物』は呪魔法?そんなことを考えながら目の前のステーキを一口食べる。うん美味しい!やっぱりこの店は最高ね!
今はそんなことを考えるのはやめにする。きっと考えれば考えるほど泥沼にはまるだろうから。それよりご飯ご飯。私が次の一口のステーキを口に運ぼうとした時、その料理店の扉が開く。
カランコロンッ ……誰かしら?そう思って入り口を見ると、そこには見たくもない人物がなぜかそこにいた。長い銀髪、燃えるような赤い目、少し強調した胸。そして純白のローブに身を包む女性。そうあいつだ。
「あら、あなたはいつぞやの?」
彼女は私を見て微笑んだ。なんなのこいつ?なぜここにいるのかしら?聖エルンストの聖女ディアナ。
「…………」
私は無視を決め込むことにした。ここで反応すればこいつの思う壺だわ。私は何事もなかったかのようにステーキを食べ始めた。
「あらあら。無視をするなんて子供じゃあるまいし。そんなんだから最後のクレープを食べれないのではないんですか?クレープの魔女さん?」
「あんたねぇ!」
「あ。そうでしたあなたにかまっている暇はなかったんでした。すいませんこのリーベル・アイルに『竜殺しの魔女』『極悪非道の魔女』がいると聞いたのですが、ご存じありませんか?」
ディアナは店主や他のお客様に尋ねている。なんでこいつは私を探しているの?
「あの今のロゼッタ様のことじゃないんですか?」
「えぇロゼッタ様!そんなに有名なの!」
「静かにしてギル坊!ルナ!」
それにディアナが気付き、またテーブルに戻ってくる。最悪。なんでこんな奴が来るのよ……本当に嫌になるわ。
「ほえー。クレープの魔女さんがあの『竜殺しの魔女』『極悪非道の魔女』なんですか。まぁ行いの悪さなら納得ですね」
「黙りなさい。帰るわよギル坊、ルナ」
私は立ち上がり、店を出ようとする。すると後ろから声をかけられた。
「待ってください!」
私は足を止める。振り返るとディアナが真っ直ぐこちらを見ていた。
「まだ何か用かしら?私は用がないんだけど?」
私はディアナを睨みつける。それを見たディアナは表情を一切変えない。こいつのこの感情を感じさせないのムカつくのよ。
「少し聞きたいことがあります。時間をください」
「断るわ」
私は即答する。もうこの女に関わりたくない。早く帰らせてほしい。
「いいから座ってください。これは重要な話なんです」
ここで揉めてもお店にも迷惑だし、私はギル坊とルナを先に宿屋に帰らせる。私の気持ちを知ってか知らずかディアナは強引に私を座らせた。くそっ……私は諦めて席につく。そしてディアナも対面するように椅子に腰掛けた。
「話って何よ。私は暇じゃないの」
「東の洞窟の『黒い魔物』を討伐したのはあなたで間違いないんですね?」
「それがどうしたの?悪いけどさっきも言った通り、私は忙しいの。要件があるなら手短にして頂戴」
「なら単刀直入に言います。何か感じませんでしたか?」
そうまっすぐ私を見て聞いてくるディアナ。もしかして魔女特有の魔力の事?でもなんでそれをディアナが知っているの?
「感じるわけないでしょう?どうして私が感じないといけないの?」
「クレープの魔女さん。私言いましたよ、これは重要な話だと。誤魔化さないでください」
そう言って真剣な眼差しを向けるディアナ。誤魔化しているつもりはないんだけど。
「……わかったわ。話すからその呼び方やめてくれない?不愉快だわ。私はロゼッタ」
「わかりました。では話してくださいロゼッタさん」
私はディアナに説明をした。東の洞窟で魔女特有の魔力を感じたことを。そしてそれを聞いたディアナは静かに話始める。
「ここ最近、各地で黒い魔物……いや『黒い魔力』が確認されているのです。その『黒い魔力』は人間を襲い、そしてその人間の身体に侵食していく。そして最後には理性をなくし、人を襲う怪物となるのです」
「なるほどね。それが魔女特有の魔力だから私を疑ってるってことかしら?ふざけるのも大概にしてもらえないかしら?私は魔女だけど『黒い魔力』なんて知らないわよ。」
「では質問を変えます。そういう能力の魔女を……」
私は机を思い切り叩く。そしてディアナの言葉を遮った。それでもまったく表情を変えない。本当にムカつくのよこいつ。
「そんな魔女は知らないし、だいたいあんたたちの物差しで物事をはかるんじゃないわよ。魔女は馴れ合いなんかしないし、誰が何をしようと関係ない。だから私には関係ない。失礼するわ」
私は席を立ち、店を出る。するとディアナが私を呼び止めた。
「待ってください!まだ話は終わってないです!」
「しつこいわよ!あんた聖女なんでしょ!?あんたのその無駄な正義感に私を巻き込まないでちょうだい!」
「無駄な正義感ではありません!このままでは間違いなく世界は滅びてしまうのです!」
「だったらあんたがどうにかしなさいよ!私がなんで世界を救わなくちゃいけないの!そんなの知った事じゃないわ!」
「それは……」
ディアナは言葉を詰まらせる。
「もういいでしょ?私は行くわよ」
私はその場を離れ、宿屋へと帰った。
「ふぅー」
私は宿の部屋に入り、ベッドに倒れこむ。疲れたわ……本当に。まさかあんなところでディアナに会うとは思わなかった。なんであいつがこの国にいるのかしら。どうでもいいか……もう寝よう。
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