追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

文字の大きさ
上 下
52 / 158
第2章 聖女。灼熱の王国を駆け巡るのです!

16. 逃走劇

しおりを挟む
16. 逃走劇




 私は本の知識を使いソルファス騎士団の騎士たちを撃退し、何とか列車から脱出することに成功するのです。そして大きな警報が列車の外まで鳴り響く、さすがは精鋭部隊なのです。もう気づかれたのです。でも私はすぐにみんなと合流ができたのです。そしてロゼッタ様を先頭に街の外に走っていく。

「師匠どうするの!?」

「とりあえずワシに着いてくるのじゃ!ワシの記憶が正しければ必ず逃げられるのじゃ!」

「サリア様大丈夫?」

「はい。急ぎましょう!」

 そして砂漠が広がる外に出てしばらく走り続ける。

「うむ。見えてきたのじゃ。」

 ロゼッタ様が指を指す方向に大きな洞窟らしきものが見えるのです。

「師匠あそこは?」

「大昔に砂漠を渡るために作った遺跡洞じゃ。あそこを抜ければ王都の近くの街まで行くことができるのじゃ。昔は砂漠鉄道などなかったからのう」

「さすがはロゼッタ様なのです!伊達に長く生きてないのです!」

 なるほど。ロゼッタ様はその遺跡洞の存在を知っていたのですね。そしてサリア様が話す。

「すいません。皆さんを危険な目に会わせてしまって……こんなことなら淡い期待を持たなければ良かった……」

「ダメなのです。サリア様がそういう考えを持ってはいけないのです。それにここで立ち止まっていても仕方ないのです。ここは覚悟を決めて進むしかないと思うのです」

「アリーゼ様……はい」

 私がそう言うと、サリア様は私の手を握りながら答えてくれる。その手はとても暖かくて優しいものだったのです。

 私たちはそのまま砂漠の遺跡洞に向かって進んでいくのです。そして遺跡洞に着く、中は洞窟そのもので地面は砂で埋め尽くされており、まさに天然の通路なのですね。

「ソルファス騎士団は追ってきてないよね?あたし怖いんだけど……」

「ミルディさん大丈夫。その時はボクが騎士を倒すから!」

「フィオナ……格好いい!」

「えへへ」

 そんな会話をしながら先に進む。これだけ自信が持てるようになったフィオナが頼もしいのは私も嬉しい限りなのです。

「そういえばアリーゼはどうやって列車から抜け出してきたの?あたし結構心配だったんだけど?」

「それは男性に身体を見られるのは抵抗があるのですと言ったのです。1人の騎士に街に女性騎士を呼びに行ってもらって、そしてもう1人の騎士を連れ出して、このロッドでちょいっという訳なのです!」

「あの広大な砂漠で下着姿になっていたお主がか?笑うのじゃが?」

「あれは違うのです!サンドリザードを倒すために仕方なくなのですよ!」

 本当に大変だったのです。しかもサンドリザードを倒したら倒したでまた大変な目にあったのです。そう全身日焼けはするし、しばらく身体が熱くて眠れなかったのです。本当に思い出したくもないのです。

 それから少し歩くと光が見え、出口が見えてくる。そこには小さな街が広がっていた。

「あれ?王都の近くの街って……」

 私たちが見た光景はまさに廃墟の街だった。建物はボロボロになっており、人が住んでいる気配はない。おそらくこの街にはもう誰も住んでいないのですね……

「うむ……ここはラストン。大昔ワシが拠点にしておった小さな街じゃ。もう廃れてしまったのか……残念じゃの……」

「師匠……元気だして!」

「ありがとうフィオナ」

 そういうロゼッタ様は悲しい顔をしているのです。時代は流れるのです。ロゼッタ様があの時見ていた栄えているラストンの姿はもう見ることはできないのですね。そう思うと少し残念です。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~

夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】 「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」 アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。 理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。 もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。 自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。 王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると 「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」 オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが…… アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。 そして今日も大きなあの声が聞こえる。 「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」 と

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

「次点の聖女」

手嶋ゆき
恋愛
 何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。  私は「次点の聖女」と呼ばれていた。  約一万文字強で完結します。  小説家になろう様にも掲載しています。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

処理中です...