追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

文字の大きさ
上 下
48 / 158
第2章 聖女。灼熱の王国を駆け巡るのです!

12. 聖女。諭す

しおりを挟む
12. 聖女。諭す



 私は案内されて奥の部屋に入りサリア様に椅子に腰掛けるように言われる。内装もキレイなのですね……やはり王族専用の大型魔法船は違うのですね……

「聖女アリーゼ様。さぁそちらに」

「ありがとうなのです」

「紅茶はお好き?それでよろしいですか?」

「はい。お願いなのです」

 そうするとサリア様は紅茶を入れるために一度部屋から出ていく。さて、ここから本番なのです!私は意識の深いところまで潜る。「世界書庫」お目当ての本を探しそれを手に取りページをめくる。

【秘密を聞き出す誘導会話術】
 1.相手の心をほぐし油断させる
 2.相手が自分の話を聞いてくれるような状態を作る
 3.自分の情報を相手に話す
 4.どんな手段を使ってでもまずその人の信頼を勝ち取る
 5.誘導成功後相手にこちらから質問をして話を逸らさないようにする
 6.最後の最後まで相手にとって一番良い提案をする。

 ……なるほどです。この本を読んだ限りだと私の実力だったら、もしかしたら洗脳とかもできちゃうかもしれないのです!なんて。もしできたとしても、そこまでするつもりは全くないのですが。

 すると紅茶と少しのお菓子を持ってサリア様が戻ってくる。さて、聖女の実力を見せる時なのです!聖女は常に困っている人を助ける存在。間違いなく困っているサリア様のことをすべて聞き出してみせるのです!私は早速話を切り出していく。

「美味しそうなお菓子なのです!これはソルファス王国の名産か何かなのですか?」

「ルプレの実のクッキーです。確かに……温暖地方にしかない果実なのでそうかもしれないですね。でも名産ってわけではないと思いますよ?」

 よしよし順調なのです!もっともっとサリア様の心をほぐすのです!

「う~ん美味しいのです!ちなみにこれってどこで作られたものなんでしょうか!?すごく気になるのです!」

「これは……お恥ずかしいのですけど、私の手作りなんですよ?」

「手作り!?凄いのですサリア様は!それなら他の料理も得意なんですかね?」

「多少なら」

 よし。次は私の話を聞いてもらう、そして私の情報をサリア様に話す。

「得意なことがあって素晴らしいのです。実は私も得意なことがあるのですよ!一度読んだ本の内容を覚えていることなのです!」

「聖女様は読書をよくしていると聞いたことがありますが、内容まで覚えているのは凄いですね?」

「それほどでもないのです!だから昨日言わなかったのですけど、実は私たちは王都に行こうと思っているのです」

「えっ!?いつですか!?」

「明日なのです。元から古代遺跡群や魔導大図書館に観光することが目的だったのです。たぶん今日で砂漠鉄道の資金が貯まるはずなのです」

 私がそう言うとその言葉に反応してしまったのかサリア様がとても悲しい顔をする。うまく誘導できたのです。やはり……何か理由があるのですね。

「あのサリア様?魔導大図書館には大量の本が数万冊あると聞いたのです。でもそれを閲覧するには国王の許可が必要と聞いたのです」

「えっ……あっ確かにそうですね……」

「でも私は王族の方と気軽に話すことができるような身分ではないのです。何か方法はありますかね?どうしても魔導書が読みたいのです……」

 今度は私が悲しげな表情を作り尋ねるのです!でもこれは本当の事なのですけど。まぁこれで大丈夫なのです。もうひと押ししてみるのです! するとサリア様は私に提案してくるのです。

「あの!それなら私も王族ですし良かったら力になりますよ?」

「いいのですか?ありかとうございますなのです!」

「だから……私を王都まで連れていってください。お願いします」

「はいなのです!」

 作戦通りの展開になったと思うのです!!その言葉を聞いて私はサリア様の顔を真剣な顔で見る。

「……それならなぜ王都に行きたいのか話してほしいのです。私は話したのです。次はサリア様の番なのです」

「え?その……私は……」

「私は聖女なのです。困っていることがあるなら聞くのです」

「わかりました……」

 そこからは少し長い話でしたが要約させていただくとするならば、唯一の家族の妹さんを助けたいとのことでした。

 サリア様の小国ジルベールは1週間前にソルファス王国に制圧され、妹のアリア様は捕虜扱いで王城へ、サリア様は大型魔法船で逃げていたとの事。しかし魔法石がつきてラインストーンに停泊していたようなのです。

 そのアリア様は今ソルファス王城で捕虜になっているみたいなのです。でもサリア様のジルベールは小国の王族。そんな国よりももっと上の大国の王城での扱いなんて想像を絶するものだと思うのです……そして、いつ反逆者として処刑されるかわからない。だから姉として助けに行ってあげたいとのことだったのです。

「処刑……人は決して人の命を奪ってはいけないのです」

「……どの大国も秘密裏に行っています。恐怖で力と権威を振るい民衆を支配する……大国ならば仕方のないことです」

「そんな悲しいことが……」

「私が乗っていたこの大型魔法船の存在も、もう報告されているでしょう。だから時間がない。せめて妹のアリアだけでも助けたい……」

 そう泣きながら私に伝えてくる。私はその涙を拭ってサリア様に優しく話す。

「私が一緒に妹さんを助けるのです。だから安心してくださいなのです。聖女は困っている人を助ける存在なのです。」

「ありがとう……聖女アリーゼ様……」

 サリア様は笑顔で私に答えてくれた。こうやって笑顔を見せてもらえるだけで嬉しく思ってしまうのです。こうなった以上必ずアリア様を救いましょう。私は改めて決意を固めていくのでした
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。

ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」  出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。  だがアーリンは考える間もなく、 「──お断りします」  と、きっぱりと告げたのだった。

処理中です...