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第2章 聖女。灼熱の王国を駆け巡るのです!

12. 聖女。諭す

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12. 聖女。諭す



 私は案内されて奥の部屋に入りサリア様に椅子に腰掛けるように言われる。内装もキレイなのですね……やはり王族専用の大型魔法船は違うのですね……

「聖女アリーゼ様。さぁそちらに」

「ありがとうなのです」

「紅茶はお好き?それでよろしいですか?」

「はい。お願いなのです」

 そうするとサリア様は紅茶を入れるために一度部屋から出ていく。さて、ここから本番なのです!私は意識の深いところまで潜る。「世界書庫」お目当ての本を探しそれを手に取りページをめくる。

【秘密を聞き出す誘導会話術】
 1.相手の心をほぐし油断させる
 2.相手が自分の話を聞いてくれるような状態を作る
 3.自分の情報を相手に話す
 4.どんな手段を使ってでもまずその人の信頼を勝ち取る
 5.誘導成功後相手にこちらから質問をして話を逸らさないようにする
 6.最後の最後まで相手にとって一番良い提案をする。

 ……なるほどです。この本を読んだ限りだと私の実力だったら、もしかしたら洗脳とかもできちゃうかもしれないのです!なんて。もしできたとしても、そこまでするつもりは全くないのですが。

 すると紅茶と少しのお菓子を持ってサリア様が戻ってくる。さて、聖女の実力を見せる時なのです!聖女は常に困っている人を助ける存在。間違いなく困っているサリア様のことをすべて聞き出してみせるのです!私は早速話を切り出していく。

「美味しそうなお菓子なのです!これはソルファス王国の名産か何かなのですか?」

「ルプレの実のクッキーです。確かに……温暖地方にしかない果実なのでそうかもしれないですね。でも名産ってわけではないと思いますよ?」

 よしよし順調なのです!もっともっとサリア様の心をほぐすのです!

「う~ん美味しいのです!ちなみにこれってどこで作られたものなんでしょうか!?すごく気になるのです!」

「これは……お恥ずかしいのですけど、私の手作りなんですよ?」

「手作り!?凄いのですサリア様は!それなら他の料理も得意なんですかね?」

「多少なら」

 よし。次は私の話を聞いてもらう、そして私の情報をサリア様に話す。

「得意なことがあって素晴らしいのです。実は私も得意なことがあるのですよ!一度読んだ本の内容を覚えていることなのです!」

「聖女様は読書をよくしていると聞いたことがありますが、内容まで覚えているのは凄いですね?」

「それほどでもないのです!だから昨日言わなかったのですけど、実は私たちは王都に行こうと思っているのです」

「えっ!?いつですか!?」

「明日なのです。元から古代遺跡群や魔導大図書館に観光することが目的だったのです。たぶん今日で砂漠鉄道の資金が貯まるはずなのです」

 私がそう言うとその言葉に反応してしまったのかサリア様がとても悲しい顔をする。うまく誘導できたのです。やはり……何か理由があるのですね。

「あのサリア様?魔導大図書館には大量の本が数万冊あると聞いたのです。でもそれを閲覧するには国王の許可が必要と聞いたのです」

「えっ……あっ確かにそうですね……」

「でも私は王族の方と気軽に話すことができるような身分ではないのです。何か方法はありますかね?どうしても魔導書が読みたいのです……」

 今度は私が悲しげな表情を作り尋ねるのです!でもこれは本当の事なのですけど。まぁこれで大丈夫なのです。もうひと押ししてみるのです! するとサリア様は私に提案してくるのです。

「あの!それなら私も王族ですし良かったら力になりますよ?」

「いいのですか?ありかとうございますなのです!」

「だから……私を王都まで連れていってください。お願いします」

「はいなのです!」

 作戦通りの展開になったと思うのです!!その言葉を聞いて私はサリア様の顔を真剣な顔で見る。

「……それならなぜ王都に行きたいのか話してほしいのです。私は話したのです。次はサリア様の番なのです」

「え?その……私は……」

「私は聖女なのです。困っていることがあるなら聞くのです」

「わかりました……」

 そこからは少し長い話でしたが要約させていただくとするならば、唯一の家族の妹さんを助けたいとのことでした。

 サリア様の小国ジルベールは1週間前にソルファス王国に制圧され、妹のアリア様は捕虜扱いで王城へ、サリア様は大型魔法船で逃げていたとの事。しかし魔法石がつきてラインストーンに停泊していたようなのです。

 そのアリア様は今ソルファス王城で捕虜になっているみたいなのです。でもサリア様のジルベールは小国の王族。そんな国よりももっと上の大国の王城での扱いなんて想像を絶するものだと思うのです……そして、いつ反逆者として処刑されるかわからない。だから姉として助けに行ってあげたいとのことだったのです。

「処刑……人は決して人の命を奪ってはいけないのです」

「……どの大国も秘密裏に行っています。恐怖で力と権威を振るい民衆を支配する……大国ならば仕方のないことです」

「そんな悲しいことが……」

「私が乗っていたこの大型魔法船の存在も、もう報告されているでしょう。だから時間がない。せめて妹のアリアだけでも助けたい……」

 そう泣きながら私に伝えてくる。私はその涙を拭ってサリア様に優しく話す。

「私が一緒に妹さんを助けるのです。だから安心してくださいなのです。聖女は困っている人を助ける存在なのです。」

「ありがとう……聖女アリーゼ様……」

 サリア様は笑顔で私に答えてくれた。こうやって笑顔を見せてもらえるだけで嬉しく思ってしまうのです。こうなった以上必ずアリア様を救いましょう。私は改めて決意を固めていくのでした
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