追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

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第1章 聖魔法?そんなの知らないのです!

32. お説教の時間なのです

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32. お説教の時間なのです



 とにかく無事なようで何よりなのです。とりあえずロゼッタ様に事情を聞いてみることにします。話を聞くと海賊たちは全部で4人。私とミルディが見たあの2人の男、魔法船を動かしてる者、あとは海賊の頭。

 どうやら原因を探していたところ操縦室に行きその魔法船を動かしている者を操縦室の椅子に座っていたところを後ろから忍び寄り倒したようなのです。

「やっぱりすごいのですロゼッタ様は!」

「あっいや……そいつは自滅したのじゃ。ワシが後ろから声をかけたら驚いて滑って頭をうって気絶しただけなのじゃ。だからワシはなんもしておらん」

「そんな本の物語のようなドジな人いるんだね……」

 そうなると後は3人の海賊たちなのです。私はロゼッタ様に言われて甲板に向かうことにするのです。こんな狭い場所で魔法で戦えないと言っていたので。それは同感なのです。

 そのまま甲板に出るとその海賊たちは先回りしていたのです。

「お前らか俺様たちの邪魔をするのは?」

「いましたぜ!あのガキ!」

「他にも仲間がいたのか」

 私たちは戦闘態勢を取る。まず最初に動いたのは海賊の頭だった。大きな斧を振り回しこちらに向かってくる。そしてその後ろには他の二人の男が武器を構えながら様子を伺っている。

 私は意識を深いところまで潜っていく「世界書庫」に入り、戦う方法を探す。そしてその本を見つけ中のページを開く。

【大きい武器を持つ相手と戦う方法~聖女様編~】
 1.まず相手の攻撃の威力を利用して受け流しましょう。(構え重要)
 2.次に相手が油断したところで全力で殴り倒します。(驚愕します)
 3.最後はしっかりとお仕置きをしてあげると反省します。(たぶん)
 4.最後にもう一度だけチャンスをあげましょう。(これは任意)

 ふむふむ。なるほどなのです。

「ど、ど、ど、どうすんの!?」

「落ち着けミルディ!戦うしかないじゃろ!」

 1人で騒いでいるミルディは放っておくのです。ロゼッタ様が守ってくれるのです。私は昔読んだ物語の主人公のように海賊の頭に言い放つのです!

「死ぬ覚悟はあるのですね?武器を向けた以上その覚悟が!」

 決まったのです!さてボコボコにしてやるのです!

「なんだぁこの女?威勢だけはいいようだが、すぐに黙らせてやるよ。この斧で真っ二つにしてな!」

「後悔しても知らないのですよ?」

「それか……お前良くみたら、いい身体してるな、股を開くなら助けてやってもいいがな?」

 そう言って下品に笑う船長らしき男はさらに近づいてきた。全く仕方ないのです。私はロッドを握りしめる。

 そしてついに私の目の前まで来た時、男の振り下ろしてきた斧を受け止める。凄まじい衝撃ですが、なんとか受け止めることができたのです。本当は避けたかったのですけど、船を傷つけるわけにはいかないのです。

 そのまま力を込めて押し返す。よろけたところにすかさずロッドを叩き込む。

 バキッという音と共に男の持っていた斧が砕け散った。男は信じられないと言わんばかりに自分の手を見つめていた。

「あ、ありえない……こんな細腕の女が……!?」

 さて。お説教の時間なのです。本の通りに力を受け流す体勢をとれてよかったのです!私は両手でロッドを握りしめ振りかぶる。

「ひぃっ!?」

「悪いことをしたのなら償いが必要なのです。特別に聖女の私が十三の説法を教えてあげるのです。一つ。目に見える出来事は全て真実。二つ。半端な覚悟で武器を向けてはいけません」

 そう言いながら私は海賊の頭をロッドでボコボコにしていく。

「三つ。貴方はすでに負けている。四つ。女性に公然の場で卑猥な言葉を言ってはいけません。五つ……」

「ま、待てぇえ!!ふごっ!ふが!降参だ!!」

「六つ。七つ。八つ。九つ。十。」

 ダメなのです。これは説教なのです。悪いことをしたのなら償いが必要なのです!大聖女ディアナ様も言っているのです!

「もうやめ……うわああああああ!?」

「十一。十二。十三…….終わりなのです!」

 私は最後の一撃で海賊の頭を吹き飛ばす。そして壁に叩きつけられ白目をむいて気絶する。これで全部終わったのです。

 戦いに夢中だったのですが、ロゼッタ様の方を見ると残りの2人の海賊の男たちも倒れてるのです。どうやらロゼッタ様も倒したようです。

「さすがロゼッタ様なのです!」

「こっちは片付いたぞアリーゼ。そっちはどうじゃ?」

「はい。お説教してあげたのです!」

 私が答えるとロゼッタ様は海賊の頭を見て一瞬哀れみの顔をしたのです。そして私を見て呆れたような顔をしています。なんですか?褒めてくださいなのです。こうして私たちの戦いは幕を閉じるのでした。
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