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第1章 聖魔法?そんなの知らないのです!
17. 聖女と聖魔法の始まり
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17. 聖女と聖魔法の始まり
魔女ロゼッタ=ロズウェルに招かれ、私とミルディは家の中に入ることにしたのです。
「えっと……修理する魔道具はどれ?」
「そこにある魔法の杖じゃ。もう何年も前に壊れてのぅ。代わりになるものを作ろうにもワシには作る術がないからの」
「なるほど。まぁ……普通の魔法の杖だよね?このくらいならあたしでも直せそう。オッケー、じゃあこの辺りの場所借りるね?」
そう言ってミルディはロゼッタに頼まれた魔道具を修理し始める。私は……目の前のテーブルに並べられた美味しそうな料理を見てお腹が鳴るのです。うぅ……拷問なのです。そしてロゼッタは椅子に腰かけると私を見て言うのです。
「ん?食べても良いぞ?どうせ1人じゃ食べきれん」
「!?いただきますなのです!」
そう言ってテーブルに置かれた料理を食べ始める。う~ん!見た目も味も完璧なのです!ミルディの分も取っておくのです!私が夢中で食べる姿をロゼッタが微笑んで見ている。ふと気になり質問してみることにしました。
「あの……なんでしょうか?」
「さっきまで毒とか言っておったのに、警戒もせず良く食べるのぉ?」
「あっ。はわっ……そんな……」
「毒など入っておらん。いつの時代の魔女じゃそんなことをするのは?」
呆れた様子で言われてしまいました……でも確かにその通りなのです。今はもう魔法や薬などがある時代、毒や呪いだののは、それこそ物語に出てくる魔女のイメージですよね。そしてロゼッタが私に質問をしてくる。
「アリーゼと言ったな?お主、聖女なのか?」
「そうなのです。でも「聖痕」が消えてしまって教会を追い出されてしまったのです!だけど私は聖女なのです!」
「なるほど……」
私の答えを聞いてロゼッタは難しい顔をしています。何かまずいことでもあるのですか?しばらく考え込むように腕を組み目をつむりました。しばらくして目を開けると私に衝撃的なことを告げるのです。
「……ワシはかつて、お主と同じく「聖痕」が消えた聖女に1人だけあったことがあるのじゃ……」
「えっ「聖痕」が消えた聖女!?」
「その前に聖女という存在がなぜ生まれたのかを教えておいてやろう」
驚いている私に対してロゼッタは真剣な表情をして語り始めました。
―――約500年前、この世界には4人の勇者が魔王を倒し世界を救った。しかし倒したはずの魔王はまだ生きていたのだ。それが邪神である。
邪神は4人の勇者をとてつもない圧倒的な力で殺し世界を闇で覆いつくそうとした。だがそれを止めたのは女神だった。
女神は自身の命と引き換えに邪神の魂を封印したのだ。その時、女神の力の一部が世界中に散らばったと言われている。
散っていった力の一部は自然物へと姿を変えていった。そして時が流れ、女神の力の一部を宿した者達が現れた。その者たちのことを人々はいつしかこう呼ぶようになった。
【聖女】と―――――
そこまで話してロゼッタは紅茶を一口飲む。
「聖女は女神の力を持った存在。人々を癒し、守る力を与えられた者のことじゃ」
「女神の力……」
そしてそのままロゼッタは一息ついた後また話し出す。
――その後世界に平和が訪れたかと思われたのだが、突如として空から黒い光の柱が立ち上りその中から魔物が現れ始めた。それを見た人々は絶望する。このままではいつか滅ぶのではないかと思ったからだ。
しかしそんな中、立ち上がった者がいた。
それは、後に世界の奇跡と呼ばれる大聖女ディアナ。彼女は人々を救うため立ち上がり、魔物を倒すため様々な手段を模索した。
その中の一つが身体のどこかに魔力を刻む「聖痕」を宿し、聖女が唯一使うことのできるもの。『聖魔法』。その力で世界を救ったと――
これが聖女の始まり……そして聖魔法の始まり……ロゼッタの話を聞き終えると私は感心してしまった。まさかこんな歴史があったなんて知らなかったのです。本の知識以上のことを聞いて凄く勉強になったのです!やはり魔女ともなると博識なのですね。
魔女ロゼッタ=ロズウェルに招かれ、私とミルディは家の中に入ることにしたのです。
「えっと……修理する魔道具はどれ?」
「そこにある魔法の杖じゃ。もう何年も前に壊れてのぅ。代わりになるものを作ろうにもワシには作る術がないからの」
「なるほど。まぁ……普通の魔法の杖だよね?このくらいならあたしでも直せそう。オッケー、じゃあこの辺りの場所借りるね?」
そう言ってミルディはロゼッタに頼まれた魔道具を修理し始める。私は……目の前のテーブルに並べられた美味しそうな料理を見てお腹が鳴るのです。うぅ……拷問なのです。そしてロゼッタは椅子に腰かけると私を見て言うのです。
「ん?食べても良いぞ?どうせ1人じゃ食べきれん」
「!?いただきますなのです!」
そう言ってテーブルに置かれた料理を食べ始める。う~ん!見た目も味も完璧なのです!ミルディの分も取っておくのです!私が夢中で食べる姿をロゼッタが微笑んで見ている。ふと気になり質問してみることにしました。
「あの……なんでしょうか?」
「さっきまで毒とか言っておったのに、警戒もせず良く食べるのぉ?」
「あっ。はわっ……そんな……」
「毒など入っておらん。いつの時代の魔女じゃそんなことをするのは?」
呆れた様子で言われてしまいました……でも確かにその通りなのです。今はもう魔法や薬などがある時代、毒や呪いだののは、それこそ物語に出てくる魔女のイメージですよね。そしてロゼッタが私に質問をしてくる。
「アリーゼと言ったな?お主、聖女なのか?」
「そうなのです。でも「聖痕」が消えてしまって教会を追い出されてしまったのです!だけど私は聖女なのです!」
「なるほど……」
私の答えを聞いてロゼッタは難しい顔をしています。何かまずいことでもあるのですか?しばらく考え込むように腕を組み目をつむりました。しばらくして目を開けると私に衝撃的なことを告げるのです。
「……ワシはかつて、お主と同じく「聖痕」が消えた聖女に1人だけあったことがあるのじゃ……」
「えっ「聖痕」が消えた聖女!?」
「その前に聖女という存在がなぜ生まれたのかを教えておいてやろう」
驚いている私に対してロゼッタは真剣な表情をして語り始めました。
―――約500年前、この世界には4人の勇者が魔王を倒し世界を救った。しかし倒したはずの魔王はまだ生きていたのだ。それが邪神である。
邪神は4人の勇者をとてつもない圧倒的な力で殺し世界を闇で覆いつくそうとした。だがそれを止めたのは女神だった。
女神は自身の命と引き換えに邪神の魂を封印したのだ。その時、女神の力の一部が世界中に散らばったと言われている。
散っていった力の一部は自然物へと姿を変えていった。そして時が流れ、女神の力の一部を宿した者達が現れた。その者たちのことを人々はいつしかこう呼ぶようになった。
【聖女】と―――――
そこまで話してロゼッタは紅茶を一口飲む。
「聖女は女神の力を持った存在。人々を癒し、守る力を与えられた者のことじゃ」
「女神の力……」
そしてそのままロゼッタは一息ついた後また話し出す。
――その後世界に平和が訪れたかと思われたのだが、突如として空から黒い光の柱が立ち上りその中から魔物が現れ始めた。それを見た人々は絶望する。このままではいつか滅ぶのではないかと思ったからだ。
しかしそんな中、立ち上がった者がいた。
それは、後に世界の奇跡と呼ばれる大聖女ディアナ。彼女は人々を救うため立ち上がり、魔物を倒すため様々な手段を模索した。
その中の一つが身体のどこかに魔力を刻む「聖痕」を宿し、聖女が唯一使うことのできるもの。『聖魔法』。その力で世界を救ったと――
これが聖女の始まり……そして聖魔法の始まり……ロゼッタの話を聞き終えると私は感心してしまった。まさかこんな歴史があったなんて知らなかったのです。本の知識以上のことを聞いて凄く勉強になったのです!やはり魔女ともなると博識なのですね。
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