追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

文字の大きさ
上 下
12 / 158
第1章 聖魔法?そんなの知らないのです!

11. 馬車の旅路

しおりを挟む
11. 馬車の旅路




 馬車の旅が始まり、小さな村や街を経由して2日ほど経ったのです。今のところは何も問題なく順調に進んでいるのです。

 そして今日はいよいよシルクナートの街に到着するのです。どんなところなのかとても楽しみなのです!

ちなみにこの馬車は乗合馬車と言って決まったルートを定期的に行き来しているものらしいのです。

 だから道中に他のお客さんもいるし、護衛の騎士やギルド冒険者の人も乗っているのです。

「ミルディ。あの剣士の方強そうなのです」

「えっ?あっうん。そうだね……って言うかあまりはしゃがないでよ。子供じゃないんだし恥ずかしいから。というかアリーゼっていくつなの?」

「私は14なのです」

「はぁ?もしかしてあたしの事バカにしてる?」

 ミルディがなぜか少し怒っているのです。おかしいのです。世の中の女性は少し自分の年齢を若く言うと本に書いてあったのです!それなのになんで怒ってるのかわからないのです。

「もしかしてアリーゼさ……サバ読んでるの?」

「え……本に書いてあったのです!違うのですか!?」

「いや、アリーゼくらいの年齢は無駄なの。それはもっと年上の方なら通用する方法だから。あたしは17。アリーゼの本当の年齢は?」

「今年19なのです。私の方がお姉さんなのです!」

 私は笑顔で答えるがミルディは大きなため息をつき、頭を横に振っていたのです。失礼だと思うのです!そんな感じで和気あいあいと話しながら馬車は進んで行く。

 しばらくすると道が悪くなりガタゴト揺れだしたのです。そして馬車が止まる。

「すいませんお客様!少し待っていていただけますか?」

「何かあったのかな?でも仕方ないか」

「なんでしょう?気になるのです」

 馬車の中がざわつき始める。私が気になり窓からヒョコっと顔を出すと馬車を引いているお馬さんが動けなくなっていました。

 こういう時は疲労による衰弱状態というのが普通なのですが、その様子を見る限り違うようなのです。

 私は馬車を降りそのお馬さんを確認することにしました。

「あなた獣医様ですか?私にも原因が分からなくて…こんなこと初めてです」

「私はただの聖女なのです」

「えっ聖女様?」

 馬車を引いていた男性はあの時のミルディと同じ反応をしています。でも、もう慣れてきたのです。とりあえず引き続きお馬さんの様子を確認してみる事にするのです。するとそのお馬さんは右前足で一生懸命地面を掻いているのです。

 私が右側に回り込むとすぐに原因がわかったのです。本に書いてあったのです!私はすぐに馬車の窓から中にいるミルディを呼ぶことにしたのです。

「あのミルディ。すり鉢を持ってますか?」

「すり鉢?あるけど……」

「あと皆さんの中にクコの実とポーションを持っている方はいますか!」

 私の呼び掛けに1人の若奥様がクコの実を持っていたので分けてもらいました。あとはポーションなのですが……

「ポーションならオレが持っている。これでいいのか聖女様?」

「助かるのです!ありがとうございます」

 先程の剣士さんがポーションを分けてくれました。あとはクコの実をすり鉢で細かく潰してポーションと完全に混ざるように混ぜ合わせる。完成なのです!

 私はその完成した液体をお馬さんの右目に何回かに分けてかける。するとお馬さんは走りたそうに元気になったのです。その様子を見て馬車の中にいた他の人達も歓声を上げる。

「聖女様今のは一体……」

「粉塵病なのです!お馬さんが一生懸命走ってくれてたので、土埃などが右目に溜まってしまったのですよ。人間と違って目を掻けないので、視界が見えなくなって走れなくなったのです!」

「獣医様でもないのに凄い……ありがとうございます聖女様!」

 いい気分なのです!やっぱり本の知識は優秀なのです!さっきの年齢の件は違ったみたいですけど……。

 まぁこういうこともあるのです!細かいことは気にしないことにしておくのです!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~

夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】 「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」 アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。 理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。 もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。 自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。 王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると 「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」 オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが…… アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。 そして今日も大きなあの声が聞こえる。 「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」 と

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。

みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」 魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。 ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。 あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。 【2024年3月16日完結、全58話】

処理中です...