追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

文字の大きさ
上 下
4 / 158
第1章 聖魔法?そんなの知らないのです!

3. 聖女。投げる

しおりを挟む
3. 聖女。投げる



 私は森の街道で倒れていた鍛冶屋さんの女性を助けたのです。やはり聖女というものは困っている人を救う存在なのです。

「もう大丈夫なのですね。良かったのです」

「あの……ありがとう。あたしはミルディ。この先のルベルタで魔法鍛冶屋をやってるの。あなたは?」

「私はアリーゼなのです。ただの聖女なのです」

「えっ聖女?」

 明らかにこのミルディは驚いている様子なのですが……なぜでしょう?私はよくわかりませんって表情をしながらキョトンとした雰囲気を出してみる。

 それよりも今はそれよりも聞きたいことがあるのです。それは「ご飯」の話についてなんです。まず最初に言っておく事があるのです。

「あの私はお腹がすいているのです。何か持ってませんか?もう動きたくないのです」

「ああ……ごめん。あたし食糧は持ってないんだ」

 ガーン……なのです。はぁ……なんて無慈悲な……大聖女ディアナ様……私を見捨てるのですか。そんな時上空にモンスターが現れる。

「ありゃスカイバードじゃん。でもかなり上の方に飛んでいるから安全だけど」

「……スカイバード。あの鳥食べれるのです?」

「え?うん。普通に狩ったスカイバードは食用として市場でも出回ってるけど……」

 それなら我慢の限界なのです。あの鳥をお昼御飯にしましょう!ここはミルディにも手伝ってもらうのです!先ほど助けたのでせめてものお礼も兼ねてもらうべきなのです。

「ミルディ手伝ってくださいなのです。あのスカイバードを倒すのです」

「いいけど、あたしはこの金槌しか持ってないよ?しかもあんな高いところにいるし」

「えっと……ありました。このくらいの石を集めてください」

「はい?もしかして投石で落とすつもり!?」

「止めはその金槌でお願いなのです」

 ミルディは怪訝そうな顔をしていましたが私がお願いした石を探してくれる。

 多分これだろうという大きさを見つけてきてくれると、それを手に持ち、昔読んだ本だとこの角度でこの向きで……力一杯投げるのです!!!

 ザクッ──私の投げた石は見事にスカイバードの翼に当たり落ちて来る。そのまま落下して羽ばたくこともできなくなり地面へと衝突し、そのまま息絶えてしまったのです。

「ふふん。どんなもんなのです!金槌の出番はありませんでしたね!」

「ははっ……」

「さていただくのです!ナイフで捌かないと。あっミルディ手伝ってください。スカイバードの羽根を綺麗に傷つけないようにむしっておいてください。それと嘴は金槌で叩いて綺麗に削り粉末状にしておいてなのです」

「あっうん。わかった」

 私はナイフで綺麗にスカイバードを捌く。ミルディは私に頼まれたように事を進めている。

 そしてその下準備が整ったところで火を起こすことにする。薪を集めてきて枝葉を積み、それに私が拾ってきた木材を組み立てる。あとは火起こしなのです。この紐と木をこうしてあの本の通りに。

「うりゃああああぁぁぁぁなのです!」

 豪快に火がつく。やはり本の知識は優秀なのです!

 そして串に刺した肉を焼いていく。ジュージューといい音と香ばしい匂いが漂ってくる。そして焼けたことを確認してから食べる。

 う~ん!美味しいのです。調味料がないのが少し残念なのですが、それは無粋というものでしょう。笑顔でお肉を頬張っているとミルディが私に質問をしてくる。

「あのさ。アリーゼって何者?」

「えっ?私はただの聖女なのです」

 私は自分の姿を見る。白いローブ、鉄のロッド、あとは……聖女のオーラ(?)どこから見ても教会の人間。だからそう答えたのです。だってそれが事実なのですから。

「いやいやおかしいでしょ!どう見ても熟練冒険者じゃん。あたしを助けてくれたあの方法や、投石技術、この獲物を軽く捌く技術や火起こしもだけど。それにこの羽根や嘴は何に使うのよ!?」

 なぜこんな勢いで確認されているのかは意味がわからないのですが、教えてほしいと言うことなら教えてあげるのです!

「あれは以前本で読んだことを今日初めて実践したのです。成功して良かったのです!あとお願いしたものは換金所に持っていくのです。スカイバードの羽根は染め物に使えるのです、嘴は神経毒に効果があるのですよ?」

「だからそれが熟練冒険者だと言ってんのよ……しかも本の知識って……」

 ミルディは額に手を押さえて何故か困っていますが、とりあえずミルディを助けることができて良かったのです!

 やっぱり本の知識は優秀なのです!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

処理中です...