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第4章 アイテム屋を救え!元商人のポーション大作戦!
1. すごく不器用な人
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1. すごく不器用な人
ギルド『フェアリーテイル』に天才魔法少女ことアンナが仲間になってから1週間。オレたちは順調にギルド経営をこなすことができていた。開店前、オレはふとみんなを見る。
リリスさん。すべてのスキルをマスターした完璧超人。クエストボードには彼女の『おすすめワンポイント』が書いてあり、初心者や初級冒険者の助けになっている。ダンジョン攻略依頼用のマッピング地図も人気だ。
ジェシカさん。元上級者の冒険者ギルドで働いていた経験から、誰よりもギルドに詳しい。仕事もできるし、顔馴染みの素材屋を紹介してくれたり、オレにアドバイスをくれたりと本当に頼りになる。
エドガーさん。ベテラン盾騎士としてギルドに来る冒険者にアドバイスもしてくれる。同行依頼も人気があり、ギルドの利益確保もしている。最近はアンナの指導役兼保護者みたいなところもある。アンナは生意気だけど、なんだかんだエドガーさんと仲良くしている。いつもアンナは文句言ってるけどな。
そしてアンナ。まだ実力は未熟だが、持ち前のポジティブさで仕事を頑張ろうとしている。同行依頼はまだ少ないけど、これからの仕事に期待だ。
とか考えたが……オレは一体このギルドで何してるんだ?そりゃギルドマスターとして経営の資金管理やギルド機関への依頼書の申請などはやってるけど……。
「エミルくん。どうしました?その受付カウンターばかり拭いてますけど?」
「え?あっすいません。つい考え事を……」
いけないいけない。今は開店前で掃除中だったな。
「というか。そこはジェシカちゃんがいつも座ってる受付カウンターじゃないですか。そんな露骨にアピールしなくても、ジェシカちゃんみたいな恋愛弱者なんて少し強引に行けば簡単に落とせますって!チョロいですから!」
またジェシカさんに毒が吐かれる。ジェシカさんはそれを無視している……というより関わらないようにしている。でも、なんかリリスさんが言ってることはあながち間違いじゃなさそうなので変に反論もできない。とりあえずオレは否定しておく。
「いや、別にそういうわけじゃ!オレは別にジェシカさんのことを好きとかでは!」
「じゃあ嫌いなんですか?」
「いや……そういうのではなくてですね?」
「ちょっとエミル!遊んでないで仕事しなさいよ!アタシだってやってるんだから!もう!マスターのくせにだらしないわね!」
「アンナが真似するだろう?良い見本になれよ。頼むぞマスター」
アンナやエドガーさんにまで怒られたよ。なんか最近こんなのばっかな気がする。まぁ楽しいからいいんだけどな。
「あのマスター。私、素材屋のおじさんに呼ばれてて、開店したら一緒に来てくれない?」
「ジェシカさん。分かりました」
「デートですか?ジェシカちゃんも遠回しに誘うなんて可愛いですね!でもエミルくんは女の子なら誰でも良さそうなので適当に誘えば付き合ってくれると思いますよ?なんかジェシカちゃんとエミルくんは似てますね。ダメですよもう大人なんだから少しは考えないと。」
なぜか今度はオレにも毒が吐かれる。というよりオレとジェシカさんをからかってるよなリリスさんは。
「違うわよ。なんか頼みごとがあるみたいなの。いつもお世話になってるから聞いてあげようと思って」
確かにジェシカさんの紹介で素材を買い取ってもらえるようになったし、困ってるなら話を聞いてあげるべきだな。信頼こそ経営の基本だから。
そしてオレとジェシカさんはそのまま素材屋に向かうことにする。
「ねぇマスター聞いてもいい?リリスさんは私のこと嫌いなの?いつも悪口言われるんだけど?」
「いや……あれは悪口というより、愛情表現だと思う。素の自分を包み隠さず見せてるし。だからオレたちのこと信頼してるんだよ」
リリスさんの毒舌はジェシカさんだけに向けられているわけではない。他の人にもよく言っている。
「だとしたら……ふふ。すごく不器用な人。」
「そうかもな」
オレたちはそんな会話をしながら素材屋に向かうのだった。
ギルド『フェアリーテイル』に天才魔法少女ことアンナが仲間になってから1週間。オレたちは順調にギルド経営をこなすことができていた。開店前、オレはふとみんなを見る。
リリスさん。すべてのスキルをマスターした完璧超人。クエストボードには彼女の『おすすめワンポイント』が書いてあり、初心者や初級冒険者の助けになっている。ダンジョン攻略依頼用のマッピング地図も人気だ。
ジェシカさん。元上級者の冒険者ギルドで働いていた経験から、誰よりもギルドに詳しい。仕事もできるし、顔馴染みの素材屋を紹介してくれたり、オレにアドバイスをくれたりと本当に頼りになる。
エドガーさん。ベテラン盾騎士としてギルドに来る冒険者にアドバイスもしてくれる。同行依頼も人気があり、ギルドの利益確保もしている。最近はアンナの指導役兼保護者みたいなところもある。アンナは生意気だけど、なんだかんだエドガーさんと仲良くしている。いつもアンナは文句言ってるけどな。
そしてアンナ。まだ実力は未熟だが、持ち前のポジティブさで仕事を頑張ろうとしている。同行依頼はまだ少ないけど、これからの仕事に期待だ。
とか考えたが……オレは一体このギルドで何してるんだ?そりゃギルドマスターとして経営の資金管理やギルド機関への依頼書の申請などはやってるけど……。
「エミルくん。どうしました?その受付カウンターばかり拭いてますけど?」
「え?あっすいません。つい考え事を……」
いけないいけない。今は開店前で掃除中だったな。
「というか。そこはジェシカちゃんがいつも座ってる受付カウンターじゃないですか。そんな露骨にアピールしなくても、ジェシカちゃんみたいな恋愛弱者なんて少し強引に行けば簡単に落とせますって!チョロいですから!」
またジェシカさんに毒が吐かれる。ジェシカさんはそれを無視している……というより関わらないようにしている。でも、なんかリリスさんが言ってることはあながち間違いじゃなさそうなので変に反論もできない。とりあえずオレは否定しておく。
「いや、別にそういうわけじゃ!オレは別にジェシカさんのことを好きとかでは!」
「じゃあ嫌いなんですか?」
「いや……そういうのではなくてですね?」
「ちょっとエミル!遊んでないで仕事しなさいよ!アタシだってやってるんだから!もう!マスターのくせにだらしないわね!」
「アンナが真似するだろう?良い見本になれよ。頼むぞマスター」
アンナやエドガーさんにまで怒られたよ。なんか最近こんなのばっかな気がする。まぁ楽しいからいいんだけどな。
「あのマスター。私、素材屋のおじさんに呼ばれてて、開店したら一緒に来てくれない?」
「ジェシカさん。分かりました」
「デートですか?ジェシカちゃんも遠回しに誘うなんて可愛いですね!でもエミルくんは女の子なら誰でも良さそうなので適当に誘えば付き合ってくれると思いますよ?なんかジェシカちゃんとエミルくんは似てますね。ダメですよもう大人なんだから少しは考えないと。」
なぜか今度はオレにも毒が吐かれる。というよりオレとジェシカさんをからかってるよなリリスさんは。
「違うわよ。なんか頼みごとがあるみたいなの。いつもお世話になってるから聞いてあげようと思って」
確かにジェシカさんの紹介で素材を買い取ってもらえるようになったし、困ってるなら話を聞いてあげるべきだな。信頼こそ経営の基本だから。
そしてオレとジェシカさんはそのまま素材屋に向かうことにする。
「ねぇマスター聞いてもいい?リリスさんは私のこと嫌いなの?いつも悪口言われるんだけど?」
「いや……あれは悪口というより、愛情表現だと思う。素の自分を包み隠さず見せてるし。だからオレたちのこと信頼してるんだよ」
リリスさんの毒舌はジェシカさんだけに向けられているわけではない。他の人にもよく言っている。
「だとしたら……ふふ。すごく不器用な人。」
「そうかもな」
オレたちはそんな会話をしながら素材屋に向かうのだった。
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