上 下
20 / 51
第3章 最強の天才魔法少女現る???

2. 適性検査

しおりを挟む
2. 適性検査



 自称最強の天才魔法少女ことアンナをギルド内に入れ、ギルドはいつものように開店する。ちなみにアンナの冒険者登録はジェシカさんが担当し、リリスさんはいつものように冒険者を担当している。

「じゃあここに名前を書いて」

「分かったわ。えっと最強の天才魔法少女アンナ……っと」

「……書き直して。最強の天才魔法少女はいらない」

「なによ!せっかく書いたのに!!」

 ジェシカさんが淡々と手続きをする。それを見てふてくされるアンナ。なんか騒がしい子だな。

「武器はその樫の杖ね。とりあえず適性検査をするからその水晶玉に手を置いて」

「ふん。仕方ないわね。こう?」

 そしてアンナが手を置くと水晶玉が光り始める。適性検査。それはギルド冒険者登録の際にその冒険者のジョブや属性を判別できるものだ。これは冒険証にも記載され、ギルド冒険者になるために必要。ちなみにギルド冒険証はこの世界の身分証にもなる。

「えーと……属性適正は火と雷。ジョブはアーチャー、ガンナー、ウィザードが◯。時点でシャーマンやシーフ。どうする?」

「もちろん!天才魔法少女で登録して!」

「じゃあウィザードね。はい次」

「天才魔法少女って言ってるでしょ!」

 ジェシカさんはアンナを無視して淡々とすすめていく。まぁいちいち構ってたら面倒だからその方がいいか。するとアンナがジェシカさんに話しかける。

「ねぇ。あなたジェシカだっけ?」

「うん。そうよ。何か質問?」

「あなた彼氏いないでしょ?」

 「……いないけど何?」

 「今どきそういうクール系なんか流行らないわよ?あなたそんなんじゃモテないわよ?」

「そこのプチトマトちゃんの言う通りですよ?この前のチラシ配りも恥ずかしがっちゃって、いつまで立っても垢抜けないですよそれじゃ?少しくらい男を弄ぶくらいの女の色気を出してくださいジェシカちゃん。もう19なんだから」

「……悪かったね。女の色気がなくて」

 なぜか隣で受付をしているリリスさんも割り込むように毒を吐く。

「それとわざわざ言うまでもないと思いますけど、あの時ジェシカちゃんのパンツ見てましたからねエミルくんは。あの格好でしゃがんじゃダメですよ。」

 そして更にリリスさんがそう言うとジェシカさんは顔を一気に赤くしてオレを睨み付ける。オレは一瞬で目をそらすことにする。オレにまで被害が出るのか!?

「……私の話はいいでしょ。それよりギルド冒険者について説明するね。まずギルドランクだけど、Fからスタート。依頼をいくつかこなしていけばEに上がるから頑張って」

「はぁ?なんで最強の天才魔法少女のアタシがFランクなわけ!?」

「あと依頼の受注の仕方を教えるから。依頼はクエストボードから好きなのを取ってこの受付に持ってくる。依頼をこなして、報酬を受け取ったら完了。何か質問ある?」

「無視しないでよ!アタシは最強なのよ?最強のアタシをFランクにするなんておかしいじゃない!」

「ないね?じゃあギルド冒険者についての説明はこれで終わり。次はギルドについて説明していくね」

「ちょっと!話を聞きなさいよ!」

 その後もギャアギャアと騒ぐアンナを無視しながらジェシカさんはギルドの説明をしていく。

「以上がギルドのルールになるんだけど、何か質問はある?」

 ジェシカさんはそう言い終えると、一息つく。アンナさんはというと、頬を膨らませている。

「ふん!最強の天才魔法少女であるアタシをバカにしてるんでしょうけど、今に見てなさいよね!」

「はいはい。それじゃ適性試験を選んで」

「適性試験?なにそれ?」

 適性試験とはギルド冒険者が冒険証を発行してもらうための最初の試験のことだ。これに合格すれば晴れてギルド冒険者として認められることになる。

「知らないの?ギルド冒険者は誰でもなれるものじゃないの。最低限の魔法や戦闘スキルがないと無理よ?とりあえず『採取』か『討伐』のどちらか選んで」

「ふん!そんなの楽勝よ!『討伐』の方を選ぶわ!だって『採取』とか地味だし」

「分かった。『討伐』ね。ならゴブリン5体の討伐。立会人はマスターお願いできる?」

「へ?オレ?」

 急に指名される。マジ?オレは戦えないんだけど……。万が一があったらヤバいじゃん。それなら絶対リリスさんやエドガーさんの方がいいぞ?

「だってマスター暇でしょ?」

「いや暇って……それならリリスさんの方が適任じゃ?」

「私ですか?良いですけど、言うこと聞かなかったら事故に見せかけてそこのアンナちゃんは星になるかもしれませんよ?久しぶりにレンジャーのトラップのスキルとか使いたいですよね?動けば動くほど痛みに喘ぐ罠バサミなんて最高ですよね?それからそれから……」

「よし!オレが行きます!頑張ってなアンナ」

 リリスさん怖すぎ。本当にやりそうで怖いから仕方ないのでオレが一緒に行くことにする。

「アタシには必要ないけど、決まりなら仕方ないわね。エミル。アタシの邪魔しないでよ?」

「はいはい。それじゃ行ってきまーす」

「お2人ともお気をつけて」

 こうしてオレはアンナを連れて近くの森に向かい『適性試験』のゴブリン討伐をすることになるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。 ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。 最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。 だが、俺は知っていた。 魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。 外れスキル【超重量】の真の力を。 俺は思う。 【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか? 俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

眠る竜は目覚めを知らない

狭山ひびき@バカふり160万部突破
ファンタジー
皮肉屋で唯我独尊、毎日をぐうたらと過ごしていた翆のもとに、突然彼を睡竜国の国主に迎えたいと使者が訪れた。 なにごとにもやる気のない翆は、それを断ろうと、幼なじみの葉姫を連れ、睡竜国に向かう。 そこで翆を待ち受けていたのは、どろどろした陰謀で……。

転生特典:錬金術師スキルを習得しました!

雪月 夜狐
ファンタジー
ブラック企業で働く平凡なサラリーマン・佐藤優馬は、ある日突然異世界に転生する。 目を覚ますと、そこは見知らぬ森の中。彼に与えられたのは、「錬金術師」としてのスキルと、手持ちのレシピブック。 素材を組み合わせてアイテムを作る能力を持った優馬は、錬金術を駆使して日々の生活を切り開いていく。 そんな彼のもとに集まったのは、精霊の力を持つエルフの少女・リリア、白くフワフワの毛並みを持つ精霊獣・コハク。彼らは王都を拠点にしながら、異世界に潜む脅威と向き合い、冒険と日常を繰り返す。 精霊の力を狙う謎の勢力、そして自然に異変をもたらす黒い霧の存在――。異世界の危機に立ち向かう中で、仲間との絆と友情を深めていく優馬たちは、過酷な試練を乗り越え、少しずつ成長していく。 彼らの日々は、精霊と対話し、魔物と戦う激しい冒険ばかりではない。旅の合間には、仲間と共に料理を楽しんだり、王都の市場を散策して珍しい食材を見つけたりと、ほのぼのとした時間も大切にしている。美味しいご飯を囲むひととき、精霊たちと心を通わせる瞬間――その一つ一つが、彼らの力の源になる。 錬金術と精霊魔法が織りなす異世界冒険ファンタジー。戦いと日常が交錯する物語の中で、優馬たちはどんな未来を掴むのか。 他作品の詳細はこちら: 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】 『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/270920526】

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

処理中です...