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119. 秋と冬の友
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119. 秋と冬の友
今日から夏帆は実家に帰っている。だから久しぶりに1人だ。さすがにオレはあいつみたいに人の実家にまで押し掛けるようなことはしない。
特にやることもないので、ボーッとテレビを見たり、ゲームをしたりしていたがすぐに飽きる。正直、夏帆がいないと何も面白くなくなってきている。というより夏帆がいないとダメになってしまっているのかもしれない。
「……まさか本当はオレのほうが夏帆に依存しているのか?」
自分で言った言葉が意外にも心に刺さった。そんなことはないと思いたいが、確かにそうかもしれない。いつも一緒にいるからこそ気づかないだけで、本当は夏帆に依存してしまっているのだろうか?
「……とりあえず出かけるか」
このまま家にいたらもっと変なことを考えてしまいそうだ。それならいっそ外に出たほうがいいだろう。
ということでオレは財布だけを持って、近くのスーパーへと買い物に出かけた。買い物を終えて家に帰る途中、見知った顔を見つける。あれは…………。
「おーい、黒崎!」
声をかけると黒崎はこちらを振り返って笑顔で手を振る。
「あら。こんにちは神原君。お買い物かしら?」
「ああ。黒崎もか?」
「ちょっと本屋にね。そういえば夏帆ちゃん今ご実家に帰ってるのよね?浮気しちゃダメよ?」
なんでこいつにまで言われなきゃならないんだか。まぁ冗談だとわかってはいるが。
「するわけないだろ」
「ねぇ今からカフェにでも行かない?」
「は?」
「どうせ暇してるんでしょ?だったら私とお話しましょう?私たち親友でしょ?」
「親友?まぁ別にいいけど……」
「じゃあ決まり!早速行きましょうか」
半ば強引に連れて来られたが、まぁ仕方がない。それに誰かと話したいと思ってたしちょうど良かったのかもしれない。しばらく黒崎と色々話した。意外に黒崎はおしゃべりだったのが印象的だった。
「今日は楽しかったわ。ありがとう神原君」
「いや、それは構わないんだけど……。何でいきなりあんなこと言い出したんだよ?」
「え?だって神原君が寂しいと思って」
「……別に寂しくなんてねぇし」
「ふふっ。そういうことにしておくわね」
「どういう意味だよ」
「ううん。なんでもないわ。夏帆ちゃんによろしくね?」
「おう。またな」
こうしてオレたちは別れた。本当によくわからない女である。でも友達か……。そういえば友達と呼べるやつもオレにはいないもんな。一緒に時間を潰してくれた黒崎に少しだけ感謝をするのだった。
今日から夏帆は実家に帰っている。だから久しぶりに1人だ。さすがにオレはあいつみたいに人の実家にまで押し掛けるようなことはしない。
特にやることもないので、ボーッとテレビを見たり、ゲームをしたりしていたがすぐに飽きる。正直、夏帆がいないと何も面白くなくなってきている。というより夏帆がいないとダメになってしまっているのかもしれない。
「……まさか本当はオレのほうが夏帆に依存しているのか?」
自分で言った言葉が意外にも心に刺さった。そんなことはないと思いたいが、確かにそうかもしれない。いつも一緒にいるからこそ気づかないだけで、本当は夏帆に依存してしまっているのだろうか?
「……とりあえず出かけるか」
このまま家にいたらもっと変なことを考えてしまいそうだ。それならいっそ外に出たほうがいいだろう。
ということでオレは財布だけを持って、近くのスーパーへと買い物に出かけた。買い物を終えて家に帰る途中、見知った顔を見つける。あれは…………。
「おーい、黒崎!」
声をかけると黒崎はこちらを振り返って笑顔で手を振る。
「あら。こんにちは神原君。お買い物かしら?」
「ああ。黒崎もか?」
「ちょっと本屋にね。そういえば夏帆ちゃん今ご実家に帰ってるのよね?浮気しちゃダメよ?」
なんでこいつにまで言われなきゃならないんだか。まぁ冗談だとわかってはいるが。
「するわけないだろ」
「ねぇ今からカフェにでも行かない?」
「は?」
「どうせ暇してるんでしょ?だったら私とお話しましょう?私たち親友でしょ?」
「親友?まぁ別にいいけど……」
「じゃあ決まり!早速行きましょうか」
半ば強引に連れて来られたが、まぁ仕方がない。それに誰かと話したいと思ってたしちょうど良かったのかもしれない。しばらく黒崎と色々話した。意外に黒崎はおしゃべりだったのが印象的だった。
「今日は楽しかったわ。ありがとう神原君」
「いや、それは構わないんだけど……。何でいきなりあんなこと言い出したんだよ?」
「え?だって神原君が寂しいと思って」
「……別に寂しくなんてねぇし」
「ふふっ。そういうことにしておくわね」
「どういう意味だよ」
「ううん。なんでもないわ。夏帆ちゃんによろしくね?」
「おう。またな」
こうしてオレたちは別れた。本当によくわからない女である。でも友達か……。そういえば友達と呼べるやつもオレにはいないもんな。一緒に時間を潰してくれた黒崎に少しだけ感謝をするのだった。
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