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98. 友達くらいなら
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98. 友達くらいなら
そして約束の週末。オレと夏帆は黒崎の待つ駅前に行くことにする。今だになんで黒崎がオレと夏帆のデートについてくるのかは理解不能であった。
「先輩怒ってますか?」
「別に怒ってないが?」
「本当は夏帆ちゃんと二人きりじゃなくて
残念とか思ってるんじゃないですかー」
「別に。お前とはいつも二人きりだろ」
「いやーん。先輩ったら!」
なんだこいつ?もしかしてオレをからかいたいだけなのか? そんなことを考えながら歩いているうちに駅前に着く。そこには既に黒崎がいた。
「あっおはよう神原君、白石さん。」
「ああ、おはよ。ってか本当に来たんだなお前……」
「えっ?だって今日は二人のデートを見守るっていう役目があるじゃない。学級委員として」
こいつは何を言っているんだ? まさか本当に監視する気なのか?
「まぁまぁ先輩行きましょう!いつも通りに手を繋いで」
「繋いでねぇだろ!」
「またまた~照れちゃって~」
全く……朝っぱらからテンションの高い奴め……。
「ふむふむ。手をいつも繋いでいると。」
「黒崎お前もメモを取るな!」
「別にいいじゃない。何か問題でもあるのかしら?」
「もう、恥ずかしがり屋さんですねぇ先輩は!」
まったく調子狂うぜ……。こんな奴らにペース乱されてたら身が持たないぞ……。とりあえず行くところを決めているわけじゃないので適当に歩いていくことにした。まずは本屋に行きたいと夏帆が言ったのでそこに向かう。その間もずっと夏帆はご機嫌だった。
「先輩。わたしちょっとお手洗いに行ってきますね。」
「わかった。」
夏帆がトイレに行ったあと、オレは黒崎に話しかける。
「なぁ。オレと夏帆のデート見て何か楽しいのか黒崎?」
「そうね。普通なら面白くはないと思うけど、私は神原君の意外な一面が見られるんじゃないかと思って楽しみにしてるわ。」
意外?一体何のことだろうか?
「それにしてもあなた達本当に仲良しよね。羨ましいくらい。私にはそういう友達いないから。」
「そうなのか?」
「えぇ。みんな私が学級委員長だから近寄ってくるだけで私のことなんてどうとも思っていないわ。でも神原君と白石さんは違う。ちゃんと私を見てくれてる気がして嬉しいの。」
そう言う彼女の表情はとても穏やかだった。確かに彼女はクラスでは人気者だし誰からも好かれているように思える。だがそれは上辺だけのもので中身がないものだと思っていた。しかし彼女にとってはそれが大きな悩みになっていたようだ。
「神原君はどうして白石さんのことが好きなの?」
唐突な質問だったが特に答えにくいものではなかった。
「さぁな。気がついたら好きになっていただけだよ。」
「そっか。そういうものかもしれないわね。」
しばらくすると夏帆が戻ってきた。
「お待たせしました!あれ?なんか仲良くないですか?怪しい……浮気注意報ですよ!」
「なんだよそれ」
それから三時間ほどかけてオレ達は色々な場所を見て回った。ゲーセンに行ったり服を買ったりした。
「今日はありがとう。色々楽しかったわ」
「なぁ黒崎。その……また遊ぼうな。オレたち友達だろ?」
「え?あ、うん。もちろんよ。白石さんが良ければね?」
オレの言葉を聞いた瞬間、黒崎の顔が赤くなったように見えた。気のせいかな。
「いやー今日はいい一日になりました!先輩のおかげですね!」
「なにがだよ?」
「だって先輩の優しい一面も見れましたし!黒崎さんはきっとお友達が欲しかったんですね!」
「そうなのかもな……」
「でも、勝手に二人きりでとか会ってたら私怒りますからね!」
「そんなことするわけないだろ」
「ねぇ先輩。手を繋いで帰りませんか?デートなんですし」
「はいはい」
こうしてオレ達のデートは終了した。帰り道、手を繋いだ夏帆は終始ご機嫌だった。
そして約束の週末。オレと夏帆は黒崎の待つ駅前に行くことにする。今だになんで黒崎がオレと夏帆のデートについてくるのかは理解不能であった。
「先輩怒ってますか?」
「別に怒ってないが?」
「本当は夏帆ちゃんと二人きりじゃなくて
残念とか思ってるんじゃないですかー」
「別に。お前とはいつも二人きりだろ」
「いやーん。先輩ったら!」
なんだこいつ?もしかしてオレをからかいたいだけなのか? そんなことを考えながら歩いているうちに駅前に着く。そこには既に黒崎がいた。
「あっおはよう神原君、白石さん。」
「ああ、おはよ。ってか本当に来たんだなお前……」
「えっ?だって今日は二人のデートを見守るっていう役目があるじゃない。学級委員として」
こいつは何を言っているんだ? まさか本当に監視する気なのか?
「まぁまぁ先輩行きましょう!いつも通りに手を繋いで」
「繋いでねぇだろ!」
「またまた~照れちゃって~」
全く……朝っぱらからテンションの高い奴め……。
「ふむふむ。手をいつも繋いでいると。」
「黒崎お前もメモを取るな!」
「別にいいじゃない。何か問題でもあるのかしら?」
「もう、恥ずかしがり屋さんですねぇ先輩は!」
まったく調子狂うぜ……。こんな奴らにペース乱されてたら身が持たないぞ……。とりあえず行くところを決めているわけじゃないので適当に歩いていくことにした。まずは本屋に行きたいと夏帆が言ったのでそこに向かう。その間もずっと夏帆はご機嫌だった。
「先輩。わたしちょっとお手洗いに行ってきますね。」
「わかった。」
夏帆がトイレに行ったあと、オレは黒崎に話しかける。
「なぁ。オレと夏帆のデート見て何か楽しいのか黒崎?」
「そうね。普通なら面白くはないと思うけど、私は神原君の意外な一面が見られるんじゃないかと思って楽しみにしてるわ。」
意外?一体何のことだろうか?
「それにしてもあなた達本当に仲良しよね。羨ましいくらい。私にはそういう友達いないから。」
「そうなのか?」
「えぇ。みんな私が学級委員長だから近寄ってくるだけで私のことなんてどうとも思っていないわ。でも神原君と白石さんは違う。ちゃんと私を見てくれてる気がして嬉しいの。」
そう言う彼女の表情はとても穏やかだった。確かに彼女はクラスでは人気者だし誰からも好かれているように思える。だがそれは上辺だけのもので中身がないものだと思っていた。しかし彼女にとってはそれが大きな悩みになっていたようだ。
「神原君はどうして白石さんのことが好きなの?」
唐突な質問だったが特に答えにくいものではなかった。
「さぁな。気がついたら好きになっていただけだよ。」
「そっか。そういうものかもしれないわね。」
しばらくすると夏帆が戻ってきた。
「お待たせしました!あれ?なんか仲良くないですか?怪しい……浮気注意報ですよ!」
「なんだよそれ」
それから三時間ほどかけてオレ達は色々な場所を見て回った。ゲーセンに行ったり服を買ったりした。
「今日はありがとう。色々楽しかったわ」
「なぁ黒崎。その……また遊ぼうな。オレたち友達だろ?」
「え?あ、うん。もちろんよ。白石さんが良ければね?」
オレの言葉を聞いた瞬間、黒崎の顔が赤くなったように見えた。気のせいかな。
「いやー今日はいい一日になりました!先輩のおかげですね!」
「なにがだよ?」
「だって先輩の優しい一面も見れましたし!黒崎さんはきっとお友達が欲しかったんですね!」
「そうなのかもな……」
「でも、勝手に二人きりでとか会ってたら私怒りますからね!」
「そんなことするわけないだろ」
「ねぇ先輩。手を繋いで帰りませんか?デートなんですし」
「はいはい」
こうしてオレ達のデートは終了した。帰り道、手を繋いだ夏帆は終始ご機嫌だった。
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