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93. 知ってる
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93. 知ってる
文化祭の最後を締めくくるキャンプファイヤーの準備が校庭でおこなわれている。このキャンプファイヤーは昔からの恒例行事とあって、毎年、かなりの盛り上がりをみせるのだ。
「ねぇねぇ先輩知ってますか?文化祭のキャンプファイヤーの炎の前で告白したカップルは幸せになれるって噂があるんですよ!ロマンチックですよね!」
「本当に女はそういうの好きだよな?」
「いいじゃないですか!憧れるんですもん」
そう言ってほっぺたを膨らませる夏帆。だから去年クラスでは文化祭のあとに『誰々と付き合った』『フラれた』とかそういう話があがっていたのか……。
そしてしばらくすると炎がともされる。その炎を眺めながら、みんなは文化祭の終わりを名残惜しむかのように話していた。
「初めての文化祭も楽しかったですし、これで終わりと思うと少し寂しいですね……」
夏帆が言った。確かにそうだ。もう終わってしまうんだな……という実感が湧いてくる。
「なぁ夏帆。ちょっと来てくれ」
「はい?」
そういうとオレは夏帆を連れて校舎の中に入っていく。校舎の中にはほとんど人は残っていない。おそらくほとんどの人がキャンプファイヤーを見に行ったり、教室に残っているとしても友達同士で集まっておしゃべりをしているだろうから。そんな静かな廊下を二人で歩く。そしてたどり着いた場所は屋上だった。
「どうしたんですか屋上なんて?」
「ここからなら2人でキャンプファイヤー見れるだろ?」
「少し遠いような気もしますけど……?」
「まぁそれは気にすんなって」
そこから見える2人だけの景色。周りには誰もいない。風の音だけが聞こえる。
「綺麗……」
思わず夏帆は呟いた。確かに目の前に広がる光景は幻想的だった。オレンジ色に輝く炎。それを囲むように集まる生徒たち。その中心にある大きな木がまた雰囲気を出していた。だからオレは初めて自分の意志で夏帆に伝えるんだ。
「夏帆。お前に伝えておきたいことがあるんだけどさ」
「なんですか?」
「お前はいきなりオレの部屋に押し掛けてきて、いつもうるさいしウザいし面倒なやつだけど。お前と一緒にいれてオレは幸せだと思う」
「先輩……」
「オレはお前が好きだよ」
オレの言葉を聞いた夏帆は微笑みながら言った。
「知ってます。」
「そっか……」
「私ずっと待ってたんですからね?」
「悪かった。」
「私も好きです。先輩のことが大好きです」
「ああ。知ってる」
「これからもずっと一緒にいて下さい」
「もちろんだ」
その言葉と同時にオレたちは唇を重ねた。文化祭最後のキャンプファイヤーを見ながら。
文化祭の最後を締めくくるキャンプファイヤーの準備が校庭でおこなわれている。このキャンプファイヤーは昔からの恒例行事とあって、毎年、かなりの盛り上がりをみせるのだ。
「ねぇねぇ先輩知ってますか?文化祭のキャンプファイヤーの炎の前で告白したカップルは幸せになれるって噂があるんですよ!ロマンチックですよね!」
「本当に女はそういうの好きだよな?」
「いいじゃないですか!憧れるんですもん」
そう言ってほっぺたを膨らませる夏帆。だから去年クラスでは文化祭のあとに『誰々と付き合った』『フラれた』とかそういう話があがっていたのか……。
そしてしばらくすると炎がともされる。その炎を眺めながら、みんなは文化祭の終わりを名残惜しむかのように話していた。
「初めての文化祭も楽しかったですし、これで終わりと思うと少し寂しいですね……」
夏帆が言った。確かにそうだ。もう終わってしまうんだな……という実感が湧いてくる。
「なぁ夏帆。ちょっと来てくれ」
「はい?」
そういうとオレは夏帆を連れて校舎の中に入っていく。校舎の中にはほとんど人は残っていない。おそらくほとんどの人がキャンプファイヤーを見に行ったり、教室に残っているとしても友達同士で集まっておしゃべりをしているだろうから。そんな静かな廊下を二人で歩く。そしてたどり着いた場所は屋上だった。
「どうしたんですか屋上なんて?」
「ここからなら2人でキャンプファイヤー見れるだろ?」
「少し遠いような気もしますけど……?」
「まぁそれは気にすんなって」
そこから見える2人だけの景色。周りには誰もいない。風の音だけが聞こえる。
「綺麗……」
思わず夏帆は呟いた。確かに目の前に広がる光景は幻想的だった。オレンジ色に輝く炎。それを囲むように集まる生徒たち。その中心にある大きな木がまた雰囲気を出していた。だからオレは初めて自分の意志で夏帆に伝えるんだ。
「夏帆。お前に伝えておきたいことがあるんだけどさ」
「なんですか?」
「お前はいきなりオレの部屋に押し掛けてきて、いつもうるさいしウザいし面倒なやつだけど。お前と一緒にいれてオレは幸せだと思う」
「先輩……」
「オレはお前が好きだよ」
オレの言葉を聞いた夏帆は微笑みながら言った。
「知ってます。」
「そっか……」
「私ずっと待ってたんですからね?」
「悪かった。」
「私も好きです。先輩のことが大好きです」
「ああ。知ってる」
「これからもずっと一緒にいて下さい」
「もちろんだ」
その言葉と同時にオレたちは唇を重ねた。文化祭最後のキャンプファイヤーを見ながら。
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