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77. ガツガツ系女子

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77. ガツガツ系女子



 そして週末。オレは夏帆と共に映画館へ歩いて向かっている。

「映画楽しみだなぁ~せっかくだからランチもしちゃうのはどうですか先輩?」

「まぁいいんじゃね?」

「ですよね?じゃあ決まりですね!」

 そう言って笑顔を見せる夏帆。こんなに嬉しそうな表情をされるとこちらもなんだか嬉しい気持ちになる。

「そう言えば何の映画を見るんだ?夏帆」

「ふっふーん、それは着いてからのお楽しみです!まあそんなに難しいものじゃないので安心して下さい」

「ああ分かったよ」

 それから会話が途切れることなく、気づけば目的地に到着していた。映画館に着くとすぐにチケットを買いに行く。

「恋愛映画か……うん。女子が好きそうなジャンルだよな」

「恋愛映画って結構楽しいんですよね!行きましょうか先輩!」

 そうこうしているうちに上映時間が迫ってきたため、急いで席へと座る。

『お待たせしました。それでは上映いたします』

 スタッフさんのアナウンスの後、照明が落ちていき辺りが真っ暗になった。そしてスクリーンには映画の予告が流れ始める。

『これは私の大好きな人が経験した物語……』

『私はあの人のことが大好きだったのに……なんで!?どうして!?』

『もう私達は戻れないところまで来てしまったのかもね』

『もう私たちの関係はここまでなのかな……?』

 様々なラブストーリーの映画の予告が次々と流れていく中、隣にいる夏帆は真剣に画面を見つめている。今気づいたけど周りはカップルばかりだ。なんかちょっと恥ずかしいな……

 それからあっという間に時間は過ぎていき、ついに本編が始まった。しばらく映画を見ていると横にいる夏帆が気になってふと顔を見る。するとそこには目を輝かせながら見入っている姿が映った。その瞳からはキラキラとした光が放たれており、思わずドキッとしてしまうほど可愛かった。

 そんな夏帆の横顔を眺めていると、視線を感じたのかこちらを見てニコッと微笑む。そして映画のラストシーンの主人公の言葉。

『この時間がずっと続けばいいな……』

 そしてエンドロールが流れた。この映画の主人公は幸せになれたのだろうか。そんなこと考えてしまうほど素晴らしい作品だった。

「いやぁ面白かったですね先輩!特にヒロインの女の子が男友達のことを好きになりながらも、それでも想いを伝えないところがとても良かったと思います!」

「へー。お前とは真逆のような気がするんだが……共感できるんだな?」

「失礼ですね~私そんなガツガツしてますか?」

「してるが?お前はガツガツ系だろ?」

「むぅ……」

 頬を膨らませて拗ねる夏帆。なんだよその顔うぜぇ……でも可愛い。

「腹減ったな。メシ食べに行こうぜ夏帆」

「はい!ここなんてどうですか?パスタが美味しいって書いてありますし!さぁさぁ行きましょう!」

 そう言ってオレの腕を引っ張って歩き出す。さっきのラストシーンを思い出す。『この時間がずっと続けばいいな……』そうオレも思うのだった。
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