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66. 穴場
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66. 穴場
夏休みも残すところ残り10日。オレと白石は電車でキャンプができるというスポットに向かっている。
「まだ着かないのか?」
「あともう少しですよ先輩!穴場中の穴場ですから先輩も気に入ると思いますよ!」
あともう少しって……さっきも言ってたぞ?こんな感じで電車を降りてから2時間くらい山を歩いている。
最近思ったのだが、こいつはある意味悪友じゃないだろうか?女だが気兼ねなく接することのできる友人だ。
可愛いと思ったりするのは、こいつが元から可愛いだけでオレが好きとかそういうのではない。この前ドキドキしたのも祭りの余韻だ。絶対。その証拠に、今日はただキャンプを楽しむだけだ。そうそれだけだ。
「先輩?着きましたよ」
白石がオレを呼ぶ声で、思考の沼から抜け出す。
「お、おう。着いたか」
「はい!ここが穴場スポットです!この川で釣りもできるんですよ?」
白石が指さした先には、澄んだ水が流れる川があった。その水は底が見えるほど澄んでおり、川魚も見えるほどだ。
「先輩!早速テントを立てちゃいましょう!」
「ああ。そうだな」
川の横の平らな場所にテントを立てる。準備は予め済ましてあるため、テントを張る作業はすぐに終わった。
……というか穴場っちゃ穴場だが……周りに誰もいないのだが?
「なぁ白石……オレたち以外いないのは気のせいか?」
「あまりこの場所まで来ないんだと思いますよ?もっと駅の近くに設備の整ったキャンプ場がありますし」
「は?」
「やっぱりキャンプするなら本格的にやりたいじゃないですか!楽しみですね!」
……オレたちは素人だろうが。なんでわざわざキャンプ玄人がやるような場所でやるんだよ……
「先輩!早速ですけどお昼ご飯にしましょう!キャンプと言えば焼きそばですよね!」
白石はそう言うと、鞄からエプロンを取り出し身に着けた。その仕草が何とも言えず可愛いく、オレはつい目を逸らしてしまった。
「先輩?どうしたんですか?」
「い、いやなんでもない」
可愛いなんて言える訳がない。ましてやエプロンをつけただけなのに目を逸らしたなんて絶対に言えない。くそ……白石の行動が気になってしまう……
「先輩?せ・ん・ぱ・い!」
「わ、わかったから顔を近づけるなよ!」
顔をぐいっと近づけてくる白石をなんとか引き離す。なぜか心のどこかで残念だと思っている自分がいた。いや、残念ってなんだよ……
「あ。先輩、私が可愛いからって……まだ時間早いですよ!お楽しみは夜までとっといてください!」
「なんだよお楽しみって!別に期待してねぇから!」
「一緒にテントで寝るの楽しみですね~?さすがに先輩もテントの外では寝れませんもんね~?」
「お前……だからこんな穴場に……」
騙しやがったな白石……こうして白石とのキャンプが始まるのだった。
夏休みも残すところ残り10日。オレと白石は電車でキャンプができるというスポットに向かっている。
「まだ着かないのか?」
「あともう少しですよ先輩!穴場中の穴場ですから先輩も気に入ると思いますよ!」
あともう少しって……さっきも言ってたぞ?こんな感じで電車を降りてから2時間くらい山を歩いている。
最近思ったのだが、こいつはある意味悪友じゃないだろうか?女だが気兼ねなく接することのできる友人だ。
可愛いと思ったりするのは、こいつが元から可愛いだけでオレが好きとかそういうのではない。この前ドキドキしたのも祭りの余韻だ。絶対。その証拠に、今日はただキャンプを楽しむだけだ。そうそれだけだ。
「先輩?着きましたよ」
白石がオレを呼ぶ声で、思考の沼から抜け出す。
「お、おう。着いたか」
「はい!ここが穴場スポットです!この川で釣りもできるんですよ?」
白石が指さした先には、澄んだ水が流れる川があった。その水は底が見えるほど澄んでおり、川魚も見えるほどだ。
「先輩!早速テントを立てちゃいましょう!」
「ああ。そうだな」
川の横の平らな場所にテントを立てる。準備は予め済ましてあるため、テントを張る作業はすぐに終わった。
……というか穴場っちゃ穴場だが……周りに誰もいないのだが?
「なぁ白石……オレたち以外いないのは気のせいか?」
「あまりこの場所まで来ないんだと思いますよ?もっと駅の近くに設備の整ったキャンプ場がありますし」
「は?」
「やっぱりキャンプするなら本格的にやりたいじゃないですか!楽しみですね!」
……オレたちは素人だろうが。なんでわざわざキャンプ玄人がやるような場所でやるんだよ……
「先輩!早速ですけどお昼ご飯にしましょう!キャンプと言えば焼きそばですよね!」
白石はそう言うと、鞄からエプロンを取り出し身に着けた。その仕草が何とも言えず可愛いく、オレはつい目を逸らしてしまった。
「先輩?どうしたんですか?」
「い、いやなんでもない」
可愛いなんて言える訳がない。ましてやエプロンをつけただけなのに目を逸らしたなんて絶対に言えない。くそ……白石の行動が気になってしまう……
「先輩?せ・ん・ぱ・い!」
「わ、わかったから顔を近づけるなよ!」
顔をぐいっと近づけてくる白石をなんとか引き離す。なぜか心のどこかで残念だと思っている自分がいた。いや、残念ってなんだよ……
「あ。先輩、私が可愛いからって……まだ時間早いですよ!お楽しみは夜までとっといてください!」
「なんだよお楽しみって!別に期待してねぇから!」
「一緒にテントで寝るの楽しみですね~?さすがに先輩もテントの外では寝れませんもんね~?」
「お前……だからこんな穴場に……」
騙しやがったな白石……こうして白石とのキャンプが始まるのだった。
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