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59. 周りを固める

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59. 周りを固める



 オレは今実家に帰ってきている。なんとそこに白石がやってきた。そしてなぜかオレの両親と仲良くしている。それが気に入らない。

「もう秋人。こんな可愛い彼女がいるなら言っておきなさい。母さん困っちゃうわよ?」

「そうだぞ、秋人。父さんも困るだろ。お前が女の子を連れてくるなんて初めてのことなんだから」

「いやこいつが押し掛けてきただけだからな?それにオレと白石は付き合ってねぇんだって!こいつが勝手に押し掛けてるだけだよ!」

「またまた照れちゃって!この前、先輩の部屋にお泊まりしたじゃないですか?それに毎週週末は私が手料理を作ってますし、デートだって何回もしてますよ?」

「それは……」

「私。嘘ついてませんよね先輩?」

 くそっ……確かに嘘じゃねぇけど……その顔やめろ。言い返せなくなるだろうが……それになんだよこのアウェイな状況は!ここはオレの実家だぞ!ホームだろうが!

「あらあらお盛んね。そこまでの関係なのね!母さん嬉しいわ!」

「まぁ、秋人も男だからそういうこともあるさ。これからも秋人をよろしく頼むね夏帆ちゃん」

「はい!任されました!」

「頼む白石。お前はもう黙っててくれ……」

「でも本当に仲良しでいいわねー。あっそうだ秋人、雛山さんのところの千春ちゃん。来年秋人の高校受験するらしいわよ。そしたら夏帆ちゃんの後輩にもなるわね?」

 雛山千春。オレの従妹だ。昔からよく一緒に遊んでいたが最近会っていない。元気にしてるのかあいつ……。

 そんなこんなで夜を迎える。変な気をつかった両親のせいで、当然のごとく白石はオレの部屋で寝ることになる。地獄だ……

「先輩のご両親すごくいい人ですね!」

「なぁお前なんで来たんだよ。いくら何でもやりすぎだぞ!」

「ごめんなさい……でも私も先輩がいないの寂しくて……いつも一緒が当たり前のようになってたから……」

 そう、白石は俯きながら答える。それはズルいんじゃないか白石……でも、こいつも一人暮らしをしているんだもんな。悪気がなかったことくらいわかっている。それでも文句の一つも言ってしまう。

「はぁ……もうわかったよ。それなら今度からは言っておけよな。いきなり来られても迷惑だぞ?」

「はい。先輩はやっぱり優しいです。本当に先輩が私の彼氏で良かったです!」

「だから彼氏じゃねぇだろ!うぜぇ……」

「ひどいですよ先輩!私ウザくないですよ~!」

 そう言ってオレの背中をポカポカ殴ってくるが痛くはない。ただ本当にウザい。

 こうして、白石はオレの両親にも気に入られてしまった。こうやって周りを固めていきやがる。そしてこいつはどんどんオレの平穏を奪っていく……それでも心のどこかでこんな生活も悪くないなと思う自分がいた。
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