7 / 8
旅立
第4特別警察隊
しおりを挟む
「これはこれは……ド派手に暴れたもんだなァ……」
ロクサが立ち去ってからものの数分で警備隊が到着、ダグラス夫妻は後片付けよりも先に事情聴取を受けていた。勿論ロクサ達の事は伏せてこれ以上事を荒立てぬように言葉を選びつつ質問された問いに答えていた。
そんな中、甲冑を身に纏う兵士の中に見慣れぬ制服の男が紛れ込んでいた。その男は煙草を口に加え荒らされた店内を見回っている様子だった。
「つまり強盗集団を倒した人は、正門とは逆方向に走り去っていったわけですね?」
「そ、そうです……嫁と一緒にそれは見ていましたので間違いないかと……なぁ、イザリア?」
話の辻褄を合わせる時間すら無かった、しかし彼女も同じ気持ちでダグラスの話に合わせるようにこくりと首を頷かせた。
「______黒髪で紅コート羽織った奴がヒーローだろう?」
煙草を加えていた男がいつの間にか自分のすぐ側に立っており、見事にロクサの特徴を言い当てた為にダグラスの心拍数は上がった。
「主人、隠し事は良くねぇ……人間正直に生きていくのが筋ってもんだ。嘘が笑って済ませられるなら警察は不要、でも度が過ぎちまえば俺達の出番って、訳だ」
今回だけは笑ってやる、と床に煙草の灰を落とすと靴で踏み男は酒場の外で出ていった。
「天草ァ!天草何処行った!!」
「はい!天草弥助(あまくさ やすけ)、ここに居ますとも!何時もよりも神経が苛立ってそうですねっ、桐生さん!お団子食べます?俺の食べかけですが」
漸く尻尾を掴んだ煙草の男、桐生宗介(きりゅう そうすけ)は部下である天草弥助を呼び付けると差し出された団子をパシッと受け取りモッチャモッチャと食し始めた。
「ふっふっふっ……気分が良いと団子さえも美味ぇじゃねぇか……。天草ァ!隊長に緊急連絡しろ!各門番に数人残して残りの全兵力を全部こっちに回せとなァ!!」
「無理です!隊長はさっき好みのお姉さんだと付き纏っていたらその方がニューハーフと知りカルチャーショックを受けて先にホテルへお戻りになられました!ああいう時の隊長は使い物になりません!全指揮を執るのは桐生副隊長、貴方であります!此方、アルデンティア軍事施設に繋がる通信装置です!どうぞ、Telって下さい!」
何という体たらく、泣く子も黙る第4特別警察隊の隊長として恥ずかしくないのだろうか。怒りと情けなさを持ちつつも仕方なく隊長代理としての役割を果たすべく、桐生は天草から通信装置を受け取り連絡をし始めた。
「此方アルデンティア軍事施設です、何かお困りでしょうか?」
「えと、あの、えと、その、えーっと、んーと……じ、実はですね、あっ、頭の中真っ白になった、ご、5分だけ待ってもらって良いですか?」
ガチャ!ツー……ツー……
「天草ァ!ここの国の兵士共は役に立ちそうもねぇぞ!いいか、第4特別警察隊の名前に泥を塗るような真似は許されねぇ……俺達二人で空賊野郎を逮捕するぞ!」
「イェイ!流石に電話で人見知りが発生する桐生さん!何処までも付いていきますぜー!」
ロクサが立ち去ってからものの数分で警備隊が到着、ダグラス夫妻は後片付けよりも先に事情聴取を受けていた。勿論ロクサ達の事は伏せてこれ以上事を荒立てぬように言葉を選びつつ質問された問いに答えていた。
そんな中、甲冑を身に纏う兵士の中に見慣れぬ制服の男が紛れ込んでいた。その男は煙草を口に加え荒らされた店内を見回っている様子だった。
「つまり強盗集団を倒した人は、正門とは逆方向に走り去っていったわけですね?」
「そ、そうです……嫁と一緒にそれは見ていましたので間違いないかと……なぁ、イザリア?」
話の辻褄を合わせる時間すら無かった、しかし彼女も同じ気持ちでダグラスの話に合わせるようにこくりと首を頷かせた。
「______黒髪で紅コート羽織った奴がヒーローだろう?」
煙草を加えていた男がいつの間にか自分のすぐ側に立っており、見事にロクサの特徴を言い当てた為にダグラスの心拍数は上がった。
「主人、隠し事は良くねぇ……人間正直に生きていくのが筋ってもんだ。嘘が笑って済ませられるなら警察は不要、でも度が過ぎちまえば俺達の出番って、訳だ」
今回だけは笑ってやる、と床に煙草の灰を落とすと靴で踏み男は酒場の外で出ていった。
「天草ァ!天草何処行った!!」
「はい!天草弥助(あまくさ やすけ)、ここに居ますとも!何時もよりも神経が苛立ってそうですねっ、桐生さん!お団子食べます?俺の食べかけですが」
漸く尻尾を掴んだ煙草の男、桐生宗介(きりゅう そうすけ)は部下である天草弥助を呼び付けると差し出された団子をパシッと受け取りモッチャモッチャと食し始めた。
「ふっふっふっ……気分が良いと団子さえも美味ぇじゃねぇか……。天草ァ!隊長に緊急連絡しろ!各門番に数人残して残りの全兵力を全部こっちに回せとなァ!!」
「無理です!隊長はさっき好みのお姉さんだと付き纏っていたらその方がニューハーフと知りカルチャーショックを受けて先にホテルへお戻りになられました!ああいう時の隊長は使い物になりません!全指揮を執るのは桐生副隊長、貴方であります!此方、アルデンティア軍事施設に繋がる通信装置です!どうぞ、Telって下さい!」
何という体たらく、泣く子も黙る第4特別警察隊の隊長として恥ずかしくないのだろうか。怒りと情けなさを持ちつつも仕方なく隊長代理としての役割を果たすべく、桐生は天草から通信装置を受け取り連絡をし始めた。
「此方アルデンティア軍事施設です、何かお困りでしょうか?」
「えと、あの、えと、その、えーっと、んーと……じ、実はですね、あっ、頭の中真っ白になった、ご、5分だけ待ってもらって良いですか?」
ガチャ!ツー……ツー……
「天草ァ!ここの国の兵士共は役に立ちそうもねぇぞ!いいか、第4特別警察隊の名前に泥を塗るような真似は許されねぇ……俺達二人で空賊野郎を逮捕するぞ!」
「イェイ!流石に電話で人見知りが発生する桐生さん!何処までも付いていきますぜー!」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
HPなど根性でなんとかなる! 〜クソステータスだと思ってたらHP0になっても死なない世界不適合者でした〜
ミソ3
ファンタジー
あばらに激痛が走った。 その場に倒れ込む少年は騎士団への入団試験に落ちたことを悟ったが、あまりの激痛にダメージ値が気になり自身のステータスを確認する。そこに記されていたのは【HP0】死の宣告だった。
しかし感覚は正常、おまけに試験官に「早く戻れ」と放り投げられる始末。 ん? 実体がある? 俺まだ生きてる?
突然異世界に召喚された『天草とおる』は与えられたクソステータスとは別に地球で得た能力【根性】で世界のことわりを無視したパワフルライフを送る。
そこに待ち受けているのは騎士学校か、ツンデレヒロインか。
これは根性論で必死に生きる少年の物語。
【毎日更新】
話の最後に対乗るの質問に主人公が回答します。
この小説は小説家になろにて先行公開中です。そちらも是非ご覧ください。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
公爵令嬢のRe.START
鮨海
ファンタジー
絶大な権力を持ち社交界を牛耳ってきたアドネス公爵家。その一人娘であるフェリシア公爵令嬢は第二王子であるライオルと婚約を結んでいたが、あるとき異世界からの聖女の登場により、フェリシアの生活は一変してしまう。
自分より聖女を優先する家族に婚約者、フェリシアは聖女に嫉妬し傷つきながらも懸命にどうにかこの状況を打破しようとするが、あるとき王子の婚約破棄を聞き、フェリシアは公爵家を出ることを決意した。
捕まってしまわないようにするため、途中王城の宝物庫に入ったフェリシアは運命を変える出会いをする。
契約を交わしたフェリシアによる第二の人生が幕を開ける。
※ファンタジーがメインの作品です
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】魔力・魔法が無いと家族に虐げられてきた俺は殺して殺して強くなります
ルナ
ファンタジー
「見てくれ父上!俺の立派な炎魔法!」
「お母様、私の氷魔法。綺麗でしょ?」
「僕らのも見てくださいよ〜」
「ほら、鮮やかな風と雷の調和です」
『それに比べて"キョウ・お兄さん"は…』
代々から強い魔力の血筋だと恐れられていたクライス家の五兄弟。
兄と姉、そして二人の弟は立派な魔道士になれたというのに、次男のキョウだけは魔法が一切使えなかった。
家族に蔑まれる毎日
与えられるストレスとプレッシャー
そして遂に…
「これが…俺の…能力…素晴らしい!」
悲劇を生んだあの日。
俺は力を理解した。
9/12作品名それっぽく変更
前作品名『亡骸からの餞戦士』
異世界帰りの勇者は現代社会に戦いを挑む
大沢 雅紀
ファンタジー
ブラック企業に勤めている山田太郎は、自らの境遇に腐ることなく働いて金をためていた。しかし、やっと挙げた結婚式で裏切られてしまう。失意の太郎だったが、異世界に勇者として召喚されてしまった。
一年後、魔王を倒した太郎は、異世界で身に着けた力とアイテムをもって帰還する。そして自らを嵌めたクラスメイトと、彼らを育んた日本に対して戦いを挑むのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる