紅い空賊リベリオン

lindaman

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旅立

オトナの時間

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「武術は?格闘術は?……まさか護身術も伝授していないのではあるまいな」

ゴロツキ達を他所にロクサは淡々とダグラスに質問をしていた、まさかの一撃敗退に吃驚したのかいつもよりも早口でダグラスに攻める言葉を浴びせる。

「ふ、普通の子供に育ててたから……その、争いとかそんなのとは無縁で……ほ、ほら!彼女だって同じ性格だったろう?それに君とは正反対の性格を希望してたじゃないかぁ……」


「それでも護身術の1つや2つぐらい習得させておくべきだ、……はぁ、お前達夫婦がレオンを甘やかせて育てていたと言うのが分かった」

レオンの手当に向かってくれ、そう告げるとロクサはゴロツキ達の方に向かって歩き始める、急いでレオンの所に向かったダグラスは既にイザリアの介抱を受けていたレオンの様子を伺った。あれだけの強烈な蹴りを腹部に受けたらまだ柔らかい身体、大きな痣があるだろうとシャツを捲るもそこには痣など何処にもなく無傷な状態だった。

今思えばそうだった、レオンの怪我と言う物を見たことが無い。外で転んでも膝を擦り剥く事もなく、注射も針を刺すのに一苦労、丈夫な身体なんだろうと気にも止めていなかったが今の攻撃を目の当たりにし確信に至る。この子は普通の子供じゃない、と。



「今晩は、強盗集団諸君。少しいい提案を考えたのだが、耳を傾けて貰えないだろうか?」

ゴロツキ集団が勝手に酒場で盛り上がり始め、途中でまだコルクを開けてない酒の瓶を片手に持ちロクサは一人で集団らに声を掛けた。

「この店は私の友が汗水垂らして増築させた店、6年前はこんなに大きい酒場ではなかったのだよ。真っ当に働いた人間が成功をさせた結果が今に至っているんだ」

キュポッとコルクを抜き、ゴロツキが持つグラスに酒を注いでやると気が利くと言う理由で皆ロクサの話に耳を傾き始めた。

「人間誰しもチャンスが存在する、誰しもだ。ドン底から這い上がり成功する人間は必ず居る、報われる時が来る。だから君達はこんな非道な事などせずに……今すぐに職安に行ってこい!」

殻になった瓶を逆さに持ち、思い切り一人の男の後頭部に殴りつけると不意の一撃にダメージが増加したのか、テーブルに前のめりになり戦闘不能に陥る。

その拍子に割れた酒瓶を捨てると襲いかかってくるゴロツキ達からバックステップで距離を取り、ロクサは身構える事無く不敵な笑みを見せていた。

「悪い事は言わない、ノビた男を連れてこの店を出ていくんだ。そして今度は真っ当に働いて日銭を稼ぎ、この店に慰謝料を支払って自分の金で美味い酒を飲みに来い。……自分で稼いだ金で食べる食事や飲み物は格別に美味いものだぞ?」

金の偉大さについて話すも仲間がやられた事に対して既に聞く耳を持たなくなったゴロツキ達は完全な戦闘モードに移行していた。全員が得物を持つ中、ロクサはレオンを連れて帰る目的のみの為に武器を置いてきてしまっていた。

「死ねやこのサングラス野郎がっ!!」

ハンマーを振り上げる男に視線を移し、足者に飛散していた皿の上にフォークとスプーンが乗っているのを見ると皿をハンマー男に蹴り飛ばし宙に舞う銀色のフォークとスプーンを片方ずつキャッチする。

得物ではないが、両方の手に何かを掴むのは久々で自然に昔を思い出し口角が少し上がる。

「一応、2年前に二刀流で活動してた時期があってだな……私よりも上手い使い手が居たからやめたよ」

「知るかそんなの!!それごと叩き壊してやる!!」

大剣で攻撃を仕掛けてきた男に身構えると攻撃が当たる瞬間にフォークを相手の得物にヒットさせ、その反動で敵の体幹を崩すとロクサは直ぐに懐に飛び込み鳩尾を突いてダウンを取っていく。

「な、何で武器が食器に負けてるんだ!?」
「そんなにあの食器は頑丈に出来てるのか!?」

今の光景を目の当たりにした男達から困惑の声が聞こえ始める、既に敵は3人ダウン中。

「さぁ、どうする。一度しかない人生、食器に負けた男と言う嫌な思い出……残したくはないだろう?」

クルクルとフォークとスプーンを回しながら少し戦意喪失が見え始めてきたゴロツキ集団にロクサは冗談混じりで言った。



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