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<第二章 第3話>
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<第二章 第3話>
生後三日目。朝になると、スノーティが屋外を確認した。寝室の木製窓も開けたので、窓から外が見えた。外は、中庭だ。樹木も雪に覆われているので、見える範囲はすべて雪景色だ。
刺客の足跡から、やはり一名だったようだ。刺客は、建物全体の周囲を確認していた。屋内への侵入経路を探していたようだ。
アイシアが子どもたちと住むこの建物は、南の離宮と呼ばれている。
もともとは賓客用の宿泊施設だ。南側が、広い中庭になっている。春になると花壇に花が咲き誇る。北側は、居間の玄関ドアから伸びる通路で、王城本体と連結されている。
中庭の周囲は、十メートルを超える高い石壁で囲まれている。
そのため、中庭への侵入経路は、中庭の南端にある出入り口だけだ。その出入り口は分厚い青銅製扉が設置してある。青銅製扉の高さは二メートルほどで、その上にはさらに一メートルほどの石壁がある。その石壁の上には、高さ一メートルの青銅製の柵が設置してある。柵の棒の先端が槍のように尖っているタイプだ。
青銅製扉は内側から南京錠で施錠されているため、刺客は、合計四メートルの高さを乗り越えて、中庭に侵入したようだ。
スノーティとアイシアの会話と、テレパシー能力のおかげで、だいたいの状況は分かった。レイニー自身は屋外に出ていないが、スノーティとアイシアの会話中、スノーティが思い浮かべた屋外の状況が、テレパシー能力によって視覚映像として伝わってきた。
南の離宮は、室内への侵入可能な経路は、わずかだ。
寝室は、大型木製窓の一箇所だけだ。
居間は、大型木製窓一つと、中庭に出るための木製ドア、それに王城本体へ続く通路に出るための玄関ドア、計三箇所だ。
メイド部屋は、中庭に出るための勝手口の木製ドアと、中型の木製窓の二箇所。
室内には、明かり取りや空気の入れ換え用の窓がいくつもあるが、それらの窓は、高い位置にある細長いタイプだ。鳩ならば出入り可能だろうが、小さすぎるため、人間の侵入は不可能だ。
よって、刺客の侵入可能な経路は、合計六箇所。どの窓も、どのドアも、頑丈な木製だ。破壊するには、ある程度の時間がかかる。もちろん、大きな物音もする。刺客が静かに侵入するのは不可能だ。
スノーティは昼間、しばらくの時間、姿が見えなかった。戻ってくると、かんぬき型の鉄製の鍵を手にしていた。どうやら、王城の修繕局に行き、鍵や金具類を手に入れてきたようだ。寝室の木製窓の中央部に、かんぬき型の鉄製の鍵を設置した。
さらに、細長い木の板二枚を、木製窓の内側から、釘で打ちつけた。刺客の侵入を阻止するためだ。もっとも、刺客が本気で破壊を試みれば、時間稼ぎ程度の役にしか立たない。
その作業が終わると、スノーティは、寝室の壁の高い位置に、L字型の金具をいくつか設置した。なにをするのかと思って見ていると、その金具に、槍を横にして掛けた。
槍といっても、かなり小ぶりだ。長さは一メートル半弱。穂先は、刃渡り十五センチくらい。棒の部分も、かなり細い。小ぶりなのは、メイドたちが使用するためだ。
刺客が侵入したときに、短剣で戦うのは分が悪いからだ。
アイシアは、恐れていた。次は、複数の刺客が襲ってくるのではないか、と。
午前中の段階で、アイシアは自分の夫である国王に、手紙を書いた。その手紙は、メイド長のスマーティアが、王城のメイドに手渡した。本来ならば、一時間ほどで国王の元に届くはずだ。だが、夕方までに返事の手紙は帰ってこなかった。
アイシアは、基本的に南の離宮に引きこもっている。理由は、暗殺を防ぐためだ。妊娠してからは、完全に南の離宮に引きこもっており、夫の国王とも会っていない。
そのため、夫に要望があるときは、手紙でやりとりをする。今回も、手紙で、刺客による暗殺未遂の報告をした。南の離宮の周辺警備を強化するように要望した。
だが返事は、その日は来なかった。
ふたたび、夜が来た。生後三日目の夜だ。
真夜中に、ふたたび訪れた。危機的状況が。新たな刺客が、襲来したのだ。
生後三日目。朝になると、スノーティが屋外を確認した。寝室の木製窓も開けたので、窓から外が見えた。外は、中庭だ。樹木も雪に覆われているので、見える範囲はすべて雪景色だ。
刺客の足跡から、やはり一名だったようだ。刺客は、建物全体の周囲を確認していた。屋内への侵入経路を探していたようだ。
アイシアが子どもたちと住むこの建物は、南の離宮と呼ばれている。
もともとは賓客用の宿泊施設だ。南側が、広い中庭になっている。春になると花壇に花が咲き誇る。北側は、居間の玄関ドアから伸びる通路で、王城本体と連結されている。
中庭の周囲は、十メートルを超える高い石壁で囲まれている。
そのため、中庭への侵入経路は、中庭の南端にある出入り口だけだ。その出入り口は分厚い青銅製扉が設置してある。青銅製扉の高さは二メートルほどで、その上にはさらに一メートルほどの石壁がある。その石壁の上には、高さ一メートルの青銅製の柵が設置してある。柵の棒の先端が槍のように尖っているタイプだ。
青銅製扉は内側から南京錠で施錠されているため、刺客は、合計四メートルの高さを乗り越えて、中庭に侵入したようだ。
スノーティとアイシアの会話と、テレパシー能力のおかげで、だいたいの状況は分かった。レイニー自身は屋外に出ていないが、スノーティとアイシアの会話中、スノーティが思い浮かべた屋外の状況が、テレパシー能力によって視覚映像として伝わってきた。
南の離宮は、室内への侵入可能な経路は、わずかだ。
寝室は、大型木製窓の一箇所だけだ。
居間は、大型木製窓一つと、中庭に出るための木製ドア、それに王城本体へ続く通路に出るための玄関ドア、計三箇所だ。
メイド部屋は、中庭に出るための勝手口の木製ドアと、中型の木製窓の二箇所。
室内には、明かり取りや空気の入れ換え用の窓がいくつもあるが、それらの窓は、高い位置にある細長いタイプだ。鳩ならば出入り可能だろうが、小さすぎるため、人間の侵入は不可能だ。
よって、刺客の侵入可能な経路は、合計六箇所。どの窓も、どのドアも、頑丈な木製だ。破壊するには、ある程度の時間がかかる。もちろん、大きな物音もする。刺客が静かに侵入するのは不可能だ。
スノーティは昼間、しばらくの時間、姿が見えなかった。戻ってくると、かんぬき型の鉄製の鍵を手にしていた。どうやら、王城の修繕局に行き、鍵や金具類を手に入れてきたようだ。寝室の木製窓の中央部に、かんぬき型の鉄製の鍵を設置した。
さらに、細長い木の板二枚を、木製窓の内側から、釘で打ちつけた。刺客の侵入を阻止するためだ。もっとも、刺客が本気で破壊を試みれば、時間稼ぎ程度の役にしか立たない。
その作業が終わると、スノーティは、寝室の壁の高い位置に、L字型の金具をいくつか設置した。なにをするのかと思って見ていると、その金具に、槍を横にして掛けた。
槍といっても、かなり小ぶりだ。長さは一メートル半弱。穂先は、刃渡り十五センチくらい。棒の部分も、かなり細い。小ぶりなのは、メイドたちが使用するためだ。
刺客が侵入したときに、短剣で戦うのは分が悪いからだ。
アイシアは、恐れていた。次は、複数の刺客が襲ってくるのではないか、と。
午前中の段階で、アイシアは自分の夫である国王に、手紙を書いた。その手紙は、メイド長のスマーティアが、王城のメイドに手渡した。本来ならば、一時間ほどで国王の元に届くはずだ。だが、夕方までに返事の手紙は帰ってこなかった。
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そのため、夫に要望があるときは、手紙でやりとりをする。今回も、手紙で、刺客による暗殺未遂の報告をした。南の離宮の周辺警備を強化するように要望した。
だが返事は、その日は来なかった。
ふたたび、夜が来た。生後三日目の夜だ。
真夜中に、ふたたび訪れた。危機的状況が。新たな刺客が、襲来したのだ。
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